始発電車に乗るライオン

駅に向かう道中で、日の出の時間を迎えた。

集合住宅の壁がオレンジ色に照らされて、今日が始まるの。
ぼぅっと見上げると、カワウが二羽揃って、うす明るんできた空に引かれた何本もの電線をまたいで飛んでいった。

“カワウが二羽、電線をまたいで飛んでいった”

半袖のTシャツにメッシュのパーカーを羽織ってるリンくん、すでにちょっと汗ばんでる。今日も昼間は気温が上がって30℃にもなるらしい。久々に土日とも晴れる予報の梅雨の週末だ。

おではというとね、まだ眠い目をこすりこすり、リンくんの腕に抱かれてユッサユッサと人通りのほとんどない歩道を歩いてるの。

“駅に向かう道中で、日の出の時間を迎えたの”

おはーに!ライオンのボブぞだよ。

今日はね、始発電車に乗って、我孫子まで行くんだよ。

昨日のこと。

「エーっ!電車で行くの?手賀沼まで?」

「うん。だって、ケンイツエンチョーはご用事でいないじゃない?だからクルマじゃ行けないんだよぉ。」

ま、そういうリンくんはゴールド免許保持者なんだけどね。(言うまでもないけれど、身分証明書としてしか役に立っていない。)

そんなわけで、朝4時の目覚ましで起きて支度をして、5時前の始発電車を待つのだ。

電車の到着時刻が近づくにつれ、ホームにはちらほらと人が増えてきた。おでらは先頭車両の位置で待つ。お父さんと息子かなぁ、ふたりベンチに座ってコンビニ飯で腹ごしらえをしている親子がいてほほえましい。

「そろそろ来るかなー、先頭車両で撮影できるかなぁ?」

なんてリンくんがカメラを取り出そうとしていたら。

(エー・・・お客様にお知らせいたします。ただいま、◯×駅と△□◯駅の間で人身事故が発生いたしましたため、上下線ともに運転を見合わせいたします。大変ご迷惑をおかけしまして申し訳ございません。)

「えっ!人身事故・・・???上下線運転見合わせって、おぅぅぅい!まじかぁ・・・。ボブぞ、まさかの始発が運転見合わせ・・・!ヒィー!」

「ンー。リンくーん・・・。。。今日は行かないほうがいいってことかな?」

うーんうーん、とうなりながら一瞬考え込んだリンくん。

結局ルートを変えて向かうことにしたみたい。

「ボブぞ、コッチから回って行ってみよ。」

おおおおお。

というわけで、すごろくでいえば、ひとつ戻る。別の電車に乗るべく一回戻ってホームに到着すると。
 

「あぁ、ちょうど行っちゃった。ここから20分待ちだって。」

「ま。いいさ。急がなくてもいいじゃん?おで、のんびり好きだよ?」

「そだね。わたしもボブぞが一緒にいてくれるから、全然いやじゃないけどね。」

目の前で行ってしまった車両の風の余韻を感じながら、おではリンくんに抱っこされて、ベンチの端っこに座った。

まだ朝5時過ぎたばかり。普段ならおフトンでニーちゃんやオハナ(家族)のみんなと眠っている頃なのだけど、なぜか駅のホームで待ちぼうけしている。

ウィィィィィィィィィィィィイン
ウィィィィィィィィィィィィイン
ウィィィィィィィィィィィィイン

ベンチの反対の端っこから低いモーター音が聞こえてきた。
ハテ???と思うと、

「・・・ヒィッ!リンくん!駅のホームで出勤前のオッサンが髭そってる!電気カミソリの音だったのかぁ・・・!」

「おぉっと!何の音かと思ってびっくりしたぁ。いや、たしかにね、時間効率はいいのかもしれないけどね。あ、でも、まぁあれかぁ、電車内でフルメイクする人、最近見ないけど、それよりはマシかもね。ホームだし。」

・・・フゥ。そんなことにどっきりびっくりしていると、人身事故の影響なのかホームには人がわらわらと増えてきた。

「あ。電車来るよ!ようやくーーー!気を取り直して、レッツゴォー!」

トゥントゥントゥントゥントゥントゥン
トゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥン
トゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥントゥン

武蔵野線の懐かしい発車メロディを聞いて、新松戸駅で常磐線各駅に乗り換える。ホームにはハトがいっぱいいて、フンを落とされるのではとドキドキする。

「うこ💩垂らすなよー!!!こわっ。」

なにせ、ついて先日もリンくんは歩いていたところを鳥さんにフンをボトッとやられた。キャップをかぶっていたからまだ良かったものの、アタマに直撃しているのだ。

我孫子行きの常磐線各駅停車の車両の内装は、ピンク色だった。

「ああ、なるほど、そっか。千代田線直通なのね、それで、小田急の車両なのね!ほぅほぅ!」

終点の我孫子駅に降り立ったのは、予定時刻よりも30分ほど遅れて、6時半をまわっていた。

「とぅぅぅちゃーく!あーびーこっ!」

「我孫子駅だねぇー!さ。ここから手賀沼まで行くよー!鳥さんいっぱいいるといいね。」

“JR我孫子駅に到着でっす!”

「なぁリンくん、おで、ハラへったの。あのさぁ、ケンイツエンチョーに教えてもらったんだけどな、我孫子駅の駅そば、有名らしいぞ!唐揚げそばってのばあってね・・・?」

「アハッ。ソレね。わたしも聞いたよー。まだ開いてないのよ。朝早すぎて。ゴメンね。帰りに寄れたら寄ろうね。」

ガーン・・・!おで、実はコッソリ唐揚げそば楽しみにしてたのになー。むぅ。こういうときのリンくんは、たいがい帰りもスルーするんだぜ。知ってるんだぜ。

そんなわけで、唐揚げそばのクチになってたのをグッとこらえて、駅前のコンビニNew Daysで朝ごはん用に鳥おこわおにぎりを買ってもらった。

おでの始発電車の旅、出鼻をくじかれてちょっと紆余曲折はあったけれど、無事に我孫子駅に着いたよ。
ここからが新たなスタート地点。いざ、手賀沼へ出発じゃー!

いってきまぁーす!

ボブぞ

“いざ、手賀沼へ出発じゃー!”
“手賀沼公園までは我孫子駅から徒歩15分くらい”
“ボート乗り場があるよ”
“手賀沼公園で朝ごはーん!”

手賀沼公園(千葉県我孫子市) 我孫子市公式ホームページ内↓↓↓
https://www.city.abiko.chiba.jp/event/shizennonaka/kouenryokuchi/park/citypark/teganuma.html

「ボブ太郎電鉄」
https://bobingreen.com/2020/08/23/625/

「鳥博士になりたいウサギ」
https://bobingreen.com/2023/05/02/4794/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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