おれと相合い傘、する?

シトシト・・・シトシト・・・
シトシト・・・シトシト・・・

朝から雨がやまない。
やまない雨はない、でも、まだやまないの。

うーん。
今日はおれの好きな花、アジサイを見に、おさんぽに行こうって約束をしていたのに。

ライオンのボブおです。
おれは梅雨どき、6月の生まれ。毎年アジサイを見るのを楽しみにしているんだ。

「ボブお、アジサイはさ、梅雨の季節のお花だから、傘さして歩いても、悪くないんじゃない?」

リンくんもお出かけしたいものだから、そうやっておれを乗り気にさせようと言ってくるんだ。

「おれ、自慢のタテガミ、濡れちゃうとカッコ悪いじゃん?」

「そんなことないよ。ボブおはいつだってカッコいいよ。」

むーん。

「・・・そぉ?」

「そぉそぉ!さぁ、支度しよ。着くまでちゃんとビニール袋でガードしてあげるよ。せっかくのアジサイの約束。ね?行こ!」

そうやって、おれは説得された結果、ソファから腰を上げたのだった。

家を出発してからテクテクと歩くにつれて、少しだけ小降りになってきた気がする。
このままやむことを少しだけ期待したけれど、お気に入りのアジサイ園に到着すると、むしろ雨は強まった。

せっかくここまで来たのだからと、トートバッグからそぉっと顔を出してみると、ムワッとした我慢出来ないほどの湿気と、草のニオイとホコリの混じったような雨のニオイを感じた。

それと同時に、目に飛び込んできたのは、水を滴らせ、その輪郭をくっきりと際立たせる、色とりどりのアジサイだった。薄紫、濃い紫、赤紫。青紫にペールブルー、ピンクのグラデーションに、紅色、それから、洗練されたホワイト。
そして、アジサイの魅力はね、花だけじゃないんだよ。葉の色の濃淡を見たり、緑の葉脈の凸凹、虫食いの穴まで模様のようで愛おしいの。

「ほわぁ・・・!!!」

おれはすっかり見とれてしまった。

そうか、今日は雨だから。光が優しくて、お日さまの力が少し弱い分、アジサイの繊細な美しさが際立ってるんだぁなと気がついて、おれはちょっと感動してしまった。

おれは8才になったばかりだけどね、これまでに見た8年分のアジサイのなかで、イチバンだと思った。

“水を滴らせ、輪郭をくっきりと際立たせるアジサイ”
“青紫とペールブルー”
“葉脈の凸凹もキレイなの”
“ちょっと変わったカタチのアジサイの花弁”

ニガテだと思っていた雨のおでかけだけど、そうだ、一度やってみたかったことがあるんだった。

(スッ・・・)

「なぁ。・・・おれと相合い傘、する?」

「え?するぅするぅ!ボブお、カッコいいぃぃぃ・・・!」

「アハッ!リンくんとじゃないよ。リンくんはレインコート着てるから、いらないでしょ?」

「えー。。。ちょっと嬉しかったのに。じゃあ、誰に向かって言ったの?」

「エヘヘ。まだ見ぬ、おれのファンのみんなに。」

「あははっ!やるぅ。ボブおファンかぁ。取り合いになっちゃうかもね?」

フハッ!

“おれと相合い傘、する?”

気がついたら、おれは雨に濡れることも忘れて、このひとときを目一杯楽しんだ。決して広い園内じゃないけどね、アチラコチラで頑張って花を咲かせるアジサイと、しっとりとした雨の演出を、愛でるように、ゆっくりと歩き回った。
リンくんはぬかるんだ足元にビクビクしながら、おれはそんなリンくんに抱っこされてるからやっぱりビビりながらだったけどさ。
ちゃんとおれのイチバン好きなひと株も、元気に咲いていることを確認した。黄緑色と青紫のフシギなグラデーションの子だ。

“アチラコチラで頑張って花を咲かせるアジサイ”
“この子、おれがイチバン好きなひと株なんだ”
“紅色の華やかなアジサイ”
“足元がぬかるんでてちょっとビビり顔”

「ねぇねぇ。今日、約束通り、来てみてホントに良かったの!」

「良かった良かった。だけどさ、これ以上遊ぶとホントびしょ濡れになるよ。そろそろ切り上げてゴハン食べて、帰ろう?」

「うんっ!」

ぴーぽぽーぴーぽぽーぽーーぺぽーぺぺー・・・

ちょうど17時のチャイムが鳴った。子どもたちは・・・おうちにかえりましょぉ・・・というアレだった。

おれね、アジサイさんぽは、これからは、あえて雨の日に行くのがいいな。

「おれと相合い傘、する?」

おれと相合い傘してくれる、ボブおファンのみんな、待ってるよぉ!

ボブお

※ボブおの好きなアジサイ園は、京成バラ園のなかにあるよ
京成バラ園 (千葉県八千代市) / 「あじさいコース」がおすすめ!↓↓↓
https://www.keiseirose.co.jp/garden/view/root_map/

「ボブおの好きな花」
https://bobingreen.com/2022/06/26/2207/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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