すずはふっかつのじゅもんをおぼえた！！！

しゃっくしゃっく・・・
しゃっくしゃっく・・・

アッ！ウサギのすずこと、鈴之助だよ！

あのね、あのね。
すず、ウサギさんだからね、おヤサイがだいすきなんだ！
細長いみどり色のおヤサイをね、両手で持って、しゃっくしゃっく・・・しゃっくしゃっく・・・て一気に食べるんだよ。

そいでね、おヤサイの中でいっちばん最初に好きになったのはキューリだったんだけどね。
だけど、今の時期はキューリは季節外れだしお高いから、リンくん、買ってくれないんだ。

そしたら、ある日。
スーパーの買い出しから帰ってきたリンくん、自慢げにすずに向かって、こう言ったんだ。

「すずー！いいもの見つけてきたよ！」

「エーッ！いいものー？すずの好きなものー？」

「そうそう。きっと、すず、好きだと思うな！」

リンくんがそう言って見せてきたのは、キューリよりも色がうすくて、先っちょにモサモサしたものがついてて、そいでいくつか節みたいな模様がある、細長いものだった。

「アスパラガスだよ。見切り品になってたの、救出してきた！」

出た出た！リンくんの趣味っ！
うちのリンくんてばね、スーパーの見切り品コーナーをあさっては、「救出」の名のもとにいろいろと買ってくるんだ。「救出」とはよく言ったもので、ヘニャヘニャのしなしなになったほうれん草とか、液状化寸前のニラとか、むらさき色のテープで10パックもまとめられたしいたけとか、ときどきびっくりするようなものまで手にしてくる。（まぁ、最近のフードロス問題を鑑みてうんぬん・・・、みたいなうるさい話まではしてこないのが、せめてもの救いだ。）

「はにゃー？アスパラガスさん、なんか、アタマの先っちょ曲がってるね？オケツのほうは、しなしなだね？」

「うん、見切り品だからね・・・。さ、復活の儀式しよーかな！」

「エッなぁにー？！」

「すず、一緒にじゅもんをとなえようよ。”ふっかつのじゅもん”だよ。」

「ジュモン？フッカツ？なにそれ？」

「いいからいいから。”ふっかつのじゅもん”さぁ！」

ふーん？

しなしなになったアスパラガスさんをフッカツさせられるかもしれないんだって？

「すずのだいすきなしゃっくしゃっくのアスパラガスさんになぁれ！っていえばいいの？」

「いやいや、すず。それだけじゃあ”じゅもん”ぽくないからさ。・・・（ゴニョゴニョゴニョ・・・）」

せーのっ！

「ガスパラアス！ガスパラアス！
ガスパラアス！ガスパラアス！
しゃっくしゃっくのアスパラガスさんの姿にもどぉぉぉーーーーーれっ！
えいえいっ！！！
えいえいっ！！！」