白いフクウサギ、あらわる

「アレーっ！なんだぁ？うちにウサギさんのオトモダチがいるぅよぉ！」

「・・・ぴょん。・・・ぴょん。ぴょこぴょこ？」

「・・・！うさうさ！うさうさ！わーいっ！」

ウサギのすずこと鈴之助です。あけましておめっとぉなの！

すずねー、このおうちに来たのが去年の2022年の4月でね、だから、年越し、とか、お正月、っていうの、初めてなんだ。それでね、2023年は、ウサギさんの年なんだよって教えてもらったんだ。
だから、すず、とぉってもうれしいー！今年はウサギさんのオトモダチ、もっともっともーぉっといっぱいできたらいいなって思ってるんだよ。よろしくお願いしますなの！

パタパタパタパタっ！

昨年の大みそかの日のこと。
2022年、最後の”おはーに！”ってオハナ（家族）みんなでやってから、だんだん日が暮れてきて、あっという間に夜になった。
いつものソファの上で、テレビみながらね、ライオンのボブぞオヤビン（親分）とお話ししてたの。

「なぁなぁ、あともう数時間で、ウサギさんの年が来るんだよ！すず、やったなぁー！」

「エーっ！なにそれぇ？すず、ウサギさんだよ。うさうさ！ウサギさんの年って、どうなるの？」

「きっとすずはもっとオトモダチがいっぱいできるよ。ウサギさんのオトモダチに会えると、いいねぇー！」

「うん！すず、”うさとうさのうさたっちー！”って覚えたから、次からウサギさんのオトモダチに会ったら、ちゃんとご挨拶できるよっ。うさうさっ！」

ボブぞオヤビンはライオンなのに、ウサギのすずのこと、とっても面倒みてくれるんだよ。すず、お肉もお魚も食べないけど、ボブぞオヤビンはおヤサイ好きのライオンだから、一緒にゴハンも食べるし、おうちでもお外でも遊んだりしてくれるんだ。それでね、すずの知らないこと、いぃぃぃっぱい知ってるからね、それを毎日毎日ちょっとずつ教えてくれるんだ。すず、このおうちに来たときにはコトバって知らなかったんだけどね、ボブぞオヤビンのおかげで、ずいぶんおしゃべりできるようになったんだよ。

「明日から、うさぎの年、だね。すず、覚えたよーっ！オヤビンありやとっ！だいすきっ！パタパタパタパターっ！」

「・・・アレ？そういえばさ、フク、どこ行ったのかな？」

「・・・？」

フク、とは、すずとコビンズ（子分ズ）を結成しているアザラシのフクこと鰒太郎のことだよ。
いつもだったら、ずぅっとすずと一緒にいて遊んでるのに、おかしいなぁ？ってフシギに思ったんだ。

「フクー？かくれんぼしてるの？」

「フークー・・・？フークちゃーん？」

モゾモゾ・・・モゾモゾ・・・。
モゾモゾ・・・モゾモゾ・・・。

「アッ！リンくーん。ねぇねぇ、フク見なかった？」

「ンー？ンフフ。ンフフ。」

リンくんにフクの場所を聞こうと話しかけたとたん、突然、目の前にウサギさんがあらわれた。
白いウサギさんだ。

「うさ！うさうさ！エーッ！って、あー！フクだぁ！！！」

「・・・ぴょん。・・・ぴょん。・・・ぴょこぴょこ。」

「アハッ！！！フク、長いお耳、よく似合ってるぅー！」

「・・・ぴょこ？」

すずね、目の前のフクウサギさんに夢中になっちゃってね、一緒にあぁぁそぼぉってしたんだよ。

だって、これまでは我が家にはすず以外にウサギさんいなかったから。とってもうれしかったの。

「うさとうさのうさたっちー！ってできるの？フク？」

「・・・ぴょこ（うん）」

「フク、ウサギさんになったらおしゃべりできなくなっちゃったの？」

「あ。ううん。お話できるよ。ウサギさんっぽくしてただけだよ。ねぇねぇ、すぅずぅちゃーん！フクもねっウサギさんになったよ！ねぇねぇねぇウサギさんだよぉ！フクウサギさんだよっ！どう？どう？」

「フクウサギさんかぁー！そりゃいいや！フクのウサギさん、とっても似合ってるぅ。かわいいぃぃ！すずよりもウサギっぽいよ！あっ、そうそう。フク、あのね。ウサギさんは”ぴょこ”、って言わないからね。”ぴょこ”って飛んだり跳ねたりするかもしれないけどね。まほうのコトバは、”うさうさ！”だよ。一緒にうさうさしよー！」

せーのっ！

「うさとうさの、うさたっちー！」

ウフフフフ！

パタパタパタパタ！
ぷくぷくぷくぷく！