あぜ道歩いてお米を買いに行く

こんにちわーに、ムツです。シチです。

今日は11月ももう2週目のニチヨービ。9月に買った新米がなくなりそうだから、リンくんとケンイツエンチョーの買い出しに一緒について来たの。

ボクたちがいつもお米を買うのは、市内の道の駅だ。地元産のお米をザラザラザラーって量り売りしてくれる。
道の駅っていうと普通はクルマで来る場所かなって思うでしょ?ボクらはね、おうちからテクテクテクテク、約2時間弱の道のりを歩いて買いに来るんだ!運動を兼ねてるから、ウォーキングシューズはいて、リュックをしょってね。あ、ボクらはリンくんのリュックに入って、ジィっとしてるうちに目的地に着くんだ。

駅近くの新興住宅地を抜けて、北へ向かう。パクチー農家さんの売店の横を過ぎると、急に民家がまばらになって、その代わりに広い畑が見えてくる。トラクターに乗ったおじいちゃんが、道路に泥のかたまりを落としながらのんびりと通り過ぎていった。今日はとってもよく晴れていて、空気が乾燥している。ちょっと風が吹くと、土ぼこりがまきあがるから、リンくんは密でもないのに急いでマスクをする。ボクらはリンくんのリュックのなかでじっと息をひそめている。農家さんの古い大きな家を何軒か通り過ぎると、今度は牛さんのニオイがしてくる。白と黒の柄のあるおおきな牛さんたちが、干し草をはむはむしてるのが遠目に見える。

そう、ボクらの暮らす町では、お野菜もお米も作ってるし、なんなら乳牛も飼っていて、おいしいものがいっぱいあるのだ。

田んぼのあぜ道を抜けて、小川沿いを歩く。季節によって鳥たちが行き交う場所だ。冬の訪れを知らせるかのように、水鳥がやってきていた。

「あ、カオナシ、来てるよ。」

「おぉー、どっから来るんだろうねぇ。冬だねぇ」

その水鳥のことを、我が家では”カオナシ”と呼んでいる*。黒い鳥で顔の部分だけが白く、いわゆる”カオナシ”に似ている。(正式名称はオオバンという。でも、やっぱり”カオナシ”にしか見えない。)

いよいよ、大きく開けた田んぼエリアに足を踏み入れる。ここが、まさにボクらが日常食べているお米を作ってくれている田んぼだ。当然だけど、すっかり稲刈りは終わっている。まっすぐに続くあぜ道の先に視線をやると、遠くに大きな建物が見える。それが目的地の道の駅だ。
リンくんは去年の秋に初めてここを歩いてから、すっかりお気に入りになったんだって。近所にこんなに広い空を仰ぎ眺められて、土と草の匂いを感じられる場所があることを誇りに思うんだとか。だから、ボクらは、2-3ヶ月に一度、このあぜ道を踏みしめながら、徒歩でお米を買いに来るようになった。

「あ。白い鳥!シラサギだねぇ。ひとりで何してるのかね。」

「ムツ、シチ、みてごらん、シラサギ!」

ボクらはようやくリュックから出してもらえて、息ができた。

「ぷはっ。あー息苦しかったよぉ。あ、シラサギさん、こんにちわーに。」

ボクらはシラサギさんをしばらく眺めていたけれど、なかなか距離を詰めることは難しかった。向こうも小さな黒いクマと白いクマがセットでやってきたらギョっとしただろう。お互い、それぞれの距離を大切にしよう。遠くから会釈だけして、ボクらは自分たちの道にもどった。

“田んぼのあぜ道を歩く”
“シラサギさん発見!”
“シラサギさんをしばらく眺める”

ゴールの建物まではあと15分ほど。田んぼのあぜ道の終点まで来ると、あとは舗装された川沿いを歩く。今日みたいな気候のいい日はサイクリストがいっぱいいる。ふと、ボクらは追い風だったことに気がついた。すれ違う自転車乗りは皆、強い風に顔を歪ませていた。今朝の天気予報では、午後から下り坂で、雨が降るとのことだった。この風はその予兆に違いなかった。ボクらその追い風に背中を押されるかのように歩みのペースを上げた。
 

まだ午前10時半をまわった頃だというのに、道の駅の駐車場はもういっぱいだった。みんな思い思いに買い物をしたり、食堂に列を作ったり、アイスクリームを食べたりしている。広場でバーベキューをするファミリーたち、サツマイモの詰め放題に熱中する人、ピーナッツの顔出しパネルで遊ぶ子どもたち。みな自由で平和に見える。きっとボクらもそう見えているんだろう。

「ハイッ。じゃあ、いつも通り、よろしくぅ。」

リンくんはここで野菜売り場へ離脱。ボクらはエンチョーと一緒にお米を注文しに行くのだ。

「こーんにぃちわぁ。ひとめぼれ、3kg,玄米でくーださい!」

道の駅の野菜売り場の一角に、お米の量り売り場がある。青いエプロンをしたおじいちゃん店員さんにお願いすると、一粒一粒を大事にすくって、量ってくれるのだ。

みんなカゴにいっぱい野菜を買い込んでいる。ご多分にもれず、うちのリンくんもホクホクした顔でもどってきた。

「えへへ、いい大根あった!いいキャベツもあった。あと、パクチーあった。キューリは安くなかったから、やめた。もうキューリは季節終わりだね。あ、お米ありがとね。」

こうやって、ボクらは、お米とお野菜を無事に手に入れた。ケンイツエンチョーとリンくんとで分担して、背中に大事にしょって、これからオハナのみんなの待つおうちに帰るのだ。

“新米ひとめぼれ!玄米の手書き文字が味があっていいでしょ”

ボクらは、なんてことのないこんなお散歩が、とっても楽しいの。

あっ、ちなみに、帰り道はバスに乗ったよ。さすがにね。

ムツゴロオ、シチゴロオ

“帰り道はバスだよ”

Rin注: オオバンの観察記録はこちらのお話をどうぞ↓↓↓
「ペンギンの野鳥観察」
https://bobingreen.com/2022/02/07/1590/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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