ペンギンの野鳥観察

カンカンカカーン!カンカカーン!
おれ、ペンギンの勘九郎でっす。

今日はね、冬のあったかな陽射しのなか、朝のお散歩に連れて来てもらってるの。
おだやかな朝の光、澄みわたった青い空。パキっと冷たい空気をおなかいっぱいに吸うと、ちょっとだけ、奥に春のニオイがする。

ホントに・・・いたぁ!!!いたよぉ!!!
パタパタ!パタパタ!

6度目の正直に、嬉しさを隠し切れない。と同時に、ホッとしてるの。
ようやく、会えたぁ。ホントに会えないのかと思ったよ・・・。

遊歩道から水面を眺めると、ちょうど東の空のお日さまが高度を増してきて、キラキラと美しく反射する。その光の中で静かに水上を移動する白い羽根の「お友達」は、ちっこいペンギンのおれのことをどう見ているのだろう。

“白い羽根の「お友達」”
“ちっこいペンギンのおれのことをどう見ているのだろう”

ここは、みどりキャンプ場から歩いて30分くらいの、とある公園。目の前には、おれが大好きな水辺が広がる。そう、池がある公園だ。
パシャパシャと自分も池に入って一緒に遊びたい気持ちをこらえて、ようやく「お友達」に会えた嬉しさと目の前のすごい光景を楽しんでるところなんだ。

古い団地の一角にある我が家を出発して、テクテクと少し歩いてくると、急に真新しい住宅ばかりのエリアにたどり着く。数年前まで、なんなら、昨日まで、空き地だったり畑だったりしたところが、順々に開発されてるんだ。
土と雑草だけの何もない土地が四角に区切られていく。気が付くと工事車両が入って、あっという間に、キソができて、あっという間に足場が組まれて。気が付くとお菓子の家みたいな箱が出来上がってる。足場が取れたと思うと、次は外回りの工事だ。駐車場スペースにセメントが塗り込まれていく様子はちょっと面白い。そして、その後はというと、ある日、それらのお家の前に、地元じゃないナンバーのミニバンと、子供用の座席のついた電動自転車が停められてるのを目の当たりにするのだ。あぁ。お引越ししてきたんだね、ってわかる。
人が住み始める、町ができていくって、そういうことみたい。
そうやってどんどん急に広がっている新興住宅地の中に、この公園とこの池はある。

この池だけど、名前はどうやらないらしい。調整池っていう看板がついているだけだ。大きさはというと、決して大きくもないし、小さくもない。水がすごく透明でキレイかっていうと、そんなことはないし、でも汚いとかくさいとかでもない。ごくごく普通の池だと思う。公園の敷地の半分は通りに面していて、なだらかな坂だ。いつも車が行き交っていて、歩道からは池の全貌を眼下に見渡すことができる。一方、反対側はやはり丘陵になった住宅地だ。この住宅の人たちは、いつだってこの公園とこの池の様子を観察できて、ちょっとうらやましいなぁって、ペンギンながらに思ったりする。ニンゲンの様子はというと、ワンちゃんのお散歩をしたり、ジョギングしたり、子供たちが芝生の上でボール遊びしたり、まさに、近所の人のためのささやかな憩いの場ってやつだ。

実はいうとね。
この朝のお散歩、今年に入ってから、今日で6回目なんだ。正しくは、6度目の挑戦。
何へのか、って?

あのね、この公園に、鳥の仲間の「お友達」を探しに来たの。この寒い季節の間だけ、この池に、おっきなハクチョウさんが遊びに来てるっていうウワサなんだ!!!
でもね、毎日いるわけではなくて、ハクチョウさんたちの生活パターンというのか、波長と合わないと会えないの。
これまで平日の朝にケンイツエンチョーとリンくんがふたりで通りがかったときには、何度となく、ハクチョウさんたちがいるのが遠くから見えたことがあるらしいんだ。

なのになのに、なのに。。。おれらが一緒に遊びに来られる土日のお休みの日には、会えた試しがない。
これまで、5度来て、5連敗。

あぁ・・・どこ行っちゃったんだろう、ハクチョウさん。

おれがガックシしてるつぶやくと、リンくんが、とんでもないことを言う。

ハクチョウさんたちさぁ、土日シフト入ってじゃないんじゃないの?だって、昨日は、めっちゃいたよ。

いたんだけれどね。みんなと一緒に近くで見たいから、公園の中には入らずに偵察だけで帰ってきたからね。絶対みんなと一緒に見たいんだもん、一緒に感動したいんだもん。

そうやって、毎週末のように早起きをして、挑戦を繰り返して、今日で6度目。
ようやく、会えたのだ!!!

いま、おれらの目の前に、おっきな、白い羽。くちばしは黄色と黒だ。まぎれもなく、ハクチョウさんがいるの!数を数えると、17羽。池の水の中でプカプカと静かに泳いでいる。

カンカンカカーンカンカカーン!
(会えて、うれしいうれしいうれしい。お友達になってくーださーい。)

おれが話しかけると、大きな声で羽を広げて応えてくれた。

くぁーーーー!!!くぁーーーー!!!

いいよー!、ってことかな・・・?なにせ、ハクチョウさんの鳴き声を聞くのなんて、はじめてのことだ。

“カンカンカカーン!(お友達になろうー!)くぁーーーー!!!(いいよー!)”

ハクチョウが池に来てることを聞きつけて、池の端の遊歩道には近所の人も集まってきてる。・・・といってもハクチョウと同じくらいの人数。あくまで、のーんびりだ。

ハクチョウさんに負けじと、ほかの水鳥たちもはしゃいでいる。
これまでの5度の挑戦のあいだに、実はいろんな鳥さんと仲良くなった。もし最初にハクチョウさんに会えていたら、ほかのお友達はできていなかったかもしれない。

思い通りにならないほうがいいこともあるねって、リンくんがぼそっとつぶやいた。

うん。おれも、そう思うよ。ご近所に鳥のお友達、いっぱいできたよ。

でもさ、来週からは、土日はもうちょっと朝寝坊しようね。

また遊び行くぞー!パタパタ!

勘九郎

“ハクチョウさんに負けじと、ほかの水鳥たちもはしゃいでいる”
“毛づくろい中。脚、長い!”

“ハクチョウさん(オオハクチョウ / Whooper swan / Cygnus cygnus)”
“ハクチョウおじさん曰く、子供はまだクチバシが黄色くないんだって。”
“水面に浮く白い羽根”

ハクチョウさん以外のお友達も紹介するよー。
※種類についてはまったくの素人で、いずれも野鳥図鑑やネットで調べただけなので、もし違ってたら修正します。ぜひ教えてねー。

“カオナシにそっくりな子(オオバン / Black coot / Fulica atra)”
“キレイな羽根!(コガモ / Common Teal / Anas crecca)”
“奥の子、ひとりだけ尻尾をピンと立てて、まるでモヒカン。(不明)”

“むっくりムクムク(ムクドリ / White-cheeked Starling / Sturnus cineraceus)”
“池の端の木の上で休憩中の白い子(コサギ/ Little egret / Egretta garzetta)”
“キレイなブルーがすてきな小さい子(カワセミ / Common Kingfisher / Alcedo atthis)”

参考文献
『フィールドベスト図鑑8 日本の野鳥』、学研、2000年

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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