ボブ家のはなくそ
ポカポカ
ポカポカ
ライオンのボブぞです。
おっと、ハダカんぼで失礼します。
今日はね、大好きなニーちゃんとネーちゃんと一緒に、大好きなみどりテラス(おうちのベランダ)でおひなたぼっこなの。
それでね、明日はね、はじめましてのオトモダチに会いに行くの。オーサカから遠路はるばるやってくるコたちでね、コロナっちゃんまっさかりの頃にTwitterでオトモダチになって、季節がめぐって気がついたらTwitterがXになっちゃって、半年前に一度会おうとしたら台風が来ちゃってね。そう、それで明日、1年半越しでようやく会うことができるんだよ。
だからね、おでら、ちょっとでもカッコよく・・・いや、ホラ、初対面ならさぁセーケツカン(清潔感)って必要でしょ?それで、リンくんにお願いして、おでらライオン三兄弟、お肌と毛並みのお手入れをしてもらってるの。
まずね、お日さまの光が絶妙に当たる場所に寝っ転がるのね。直射日光が強すぎると日焼けしちゃうから、影のある場所を探すか、それかモーフを上にかけてもらって日陰を作ってもらうよ。
リンくんのおひざの上で、シュパッシュパッってお化粧水(今日は”ファブリーズ”。日によっては”ぬいぐるみのクリーニング屋さん”とかいうやつをやられる)を吹きかけてもらって、それから専用のブラシでシュッシュシュッシュってブラッシングしてもらってね。
さらに今日はスペシャルケア!たてがみの毛先にできちゃった毛玉をハサミで切ってもらったの。
ちょきん。ちょきん。
「ンー。ボブぞはよく遊び回るから、ボブおやボブこに比べると毛玉多いよね。」
「うるさいやい!で、どれくらい取れた?」
「ホラ。」
リンくんが取ってくれた毛玉はすでにリンくんの指先で軽くまとめられていて、そのカタチはまるで、アレみたいだった。
「うわっ!でっかいはなくそ取れた!でへっ!」
「アッハ!ボブぞ、そうか、コレはボブ家のはなくそかぁ・・・!あっははは!」
リンくんは大笑いしながら、手のひらのなかのおでの毛玉たち・・・いんや、おでのはなくそをコロコロと指先でさらにまるめた。そして、自分の鼻先に持っていってニオイをかいだ。
クンクン・・・
「フーン。ニオイもないし、フワフワでさ、よく見るとホラ、ボブ毛の4色が混じってカラフルだしさ、なんだかちょっとかわいいよ?ボブ家のはなくそ。ほォらっ。」
リンくんが指を伸ばして、おでの顔の目の前にはなくそを差し出してきた。
「ひぃー!はなくそヤメテ!」
「それはこっちのセリフじゃい。ボブぞ自身のであって、わたしのはなくそじゃないんだからいいでしょ?」
「そりゃあそうだけどさ。ニンゲンのはなくそなんてお断りじゃい。」
・・・ジィー
んー、確かにね、よく見るとね、おでのはなくそ、ちょっとカワイイ気がしたの。
「なぁリンくん、おで、コイツがなんだか分身みたいに思えてきたぞ。なんかさ・・・捨てちゃうの、もったいない?」
「いやいやいや、そこははなくそですから。捨てますけれども。」
妙な敬語になったリンくん、そのままごみ袋へポイしようとした。
「ちょっと待ったぁ―!」
「へ?ホントに取っておくの?」
「いんや。取っておかないけど、撮っておいてよ。」
「あはー。そだね!そういうことなら、ヨシ。」
リンくんはミラこ(愛機のカメラ、ソニーのミラーレス一眼の愛称だ)を連れてくると、テーブルの上にティッシュペーパーを折りたたみ、その上に、おでのはなくそを、そぉっと置いた。
カシャ
カシャッカシャッ
「んー、せっかくだから、コッチの角度からも。」
カシャッカシャッ
「ボブぞも一緒に入りなよ。」
「んあ?そうだな、おでの分身だもんな。・・・ニーッ!」
カシャカシャカシャッ
おで、ボブ家のはなくそと一緒に、記念に撮ってもらったぞ!
ひとしきり写真を取り終えたリンくんは、もそっとつぶやいた。
「はなくそ取りすぎると、風邪ひいちゃうからね。はなくそはね、ウイルスとかをバリアしてくれてるんだよ。」
「フハッ!それって鼻毛じゃねの?」
「あっ、そっか?でも鼻はほじっちゃいけないんだよ。」
「リンくん、もう全然、しっちゃかめっちゃか支離滅裂アメアラレ。何いってんの?おでのはなくそはね、鼻から出てるわけじゃないの。」
「そうでした・・・。たてがみの毛玉でしたな。・・・じゃ、そゆことで。サヨナラー!」
リンくんは、おでのはなくそをティッシュペーパーに包んで、そぉっとごみ袋の中へ投げ込んだ。
バイバイ、おでのはなくそ。
サヨウナラ、ボブ家のはなくそ。
また会う日まで。
「多分、また半年もすれば出るでしょ、はなくそ。」
「むぅ・・・、リンくん、そしたらまた取ってくれる?」
「いいよ、やさしく取ってあげる。それから、撮ってもあげるよ。」
でへっ!
おではハダカんぼのままリンくんの腕の中に抱っこされて、ニーちゃんとネーちゃんの待つ場所まで戻った。ふたりとも不思議そうな顔でおでとリンくんのことを眺めていた。
「何してたの?」
「エヘヘ、ニーちゃんとネーちゃんにはナイショ。」
「ナァによ―。変なボブぞ。ウフフ。」
さぁー!これで明日オトモダチに会うための身だしなみはカンペキだよ!
しっかり栄養とってたっぷり睡眠とって、明日は早起きしなくっちゃな。
楽しみだなぁ!楽しみだなぁ!
ボブぞ
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