すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第12回 東京港で鵜のなる木

ぐぁーぐぁぁぁぁぁ!
ぐぁーぐぁぁぁぁぁ!

「ひぇー!対岸の木の上でカワウたちが鳴き叫んでるよ。ものすごい数。10羽・・・いや、20羽・・・ううん、もっと、30羽以上?こんな光景、見たことないの!」

“対岸の木の上でカワウさんの群れが鳴き叫んでいるよ”

アァ・・・あまりにびっくりしてしまって、ごあいさつするのを忘れそうになっちゃった!

オトモダチのみなさん、こんにちわーに!
野鳥レポーターのウサギのすずこと、鈴之助です。

今回も始まりましたよ!
すずちゃんのぉぉぉぉぉっ野鳥にびっくりでSHOWぉぉぉぉぉっ!

本日はお初の野鳥観察スポット、トーキョーは大田区にある、東京港野鳥公園にやってまいりました。いつもの撮影担当でありアシスタントのリンくんに加えて、ライオンカメラマンのオヤビン(親分)、ボブぞも一緒に来てるよ。

我が家のチーバから日帰りで行って帰ってこられる野鳥スポットというのをいろいろ探しているなかで、一度は来てみたいと思っていたこの場所。お花の取引なんかで有名な大田市場のすぐそばにあって東京港の名の通り、海に近い公園なんだ。最寄りの駅は、東京モノレールの流通センター駅でね、浜松町駅から羽田空港行きの各駅停車に乗ってやってきたよ。

「おでっ!おで、モノレールコーフンするぅ!楽しぃ!」

“東京モノレールの各駅停車に乗るよ!”
“先頭車両ではしゃいじゃう!”

ボブぞオヤビンってば、コドモみたいなんだからぁ、モノレールに乗るのが楽しみで、一緒についてきたんだって。

「すず、んにゃ、違うもん!すずがトーキョーまで野鳥見に行くっていうから心配で心配で・・・リンくんだけじゃさぁ、なにかあっても頼りがいがないでしょ?その点、おではホラ、ライオンだから!もしものことがあったら、おでが絶対すずのこと守ってやるからな。ボディガードだぞ!」

「フーン?ふふん。オヤビンってばぁ。そんな強がらなくてもいいのに。じゃぁ、オヤビンにもしなにかがあったら、すずがオヤビンのこと守ってあげるね。ウサギさんだけど。」

「ちょっちょっと、わたしのことは誰か守ってくれるの?」

「(・・・せーのっ)・・・はぁー?」

“すずのボディガードのためにやってきたんだもんねーだ”

うふふ。
そんなこんなで、ライオンのボブぞオヤビン、リンくん、そしてすずの3人で未知の公園へ向かったよ。

流通センター駅につくと、そこはその名の通り、流通の中心を担う、広大な倉庫街だった。降りてすぐに目に入るのは、倉庫、倉庫、倉庫。

“最寄り駅は流通センター駅”

「いやいや・・・コンビニ、コンビニでおにぎりと飲みものは調達しなくっちゃ・・・。」

スマホで地図を見ながら倉庫街を歩く。東京団地倉庫、というまるで倉庫の団地のなかに、ひっそりと青い看板があった。

“この倉庫のなかにコンビニがひっそりと”

「ローソンあったぁ・・・!良かった。」

店の前には大きめのトラックが何台か停まっている。自動ドアを入るとすぐにイートインスペース。普通のコンビニにはないくらいに席数が多くて、充電スポットもたくさんあった。客層を考えればまさにこの倉庫街らしく、トラックドライバーさんたちのための、つかの間の憩いの場なのだと気がついた。

無事に大好きなわかめおにぎりをゲットして、改めて野鳥公園へ向かう。幹線道路の歩道をヨチヨチと進み、大きな橋を渡って、さらにテクテクと歩くこと約15分。ずいぶんと排気ガスにまみれたところで、ようやく看板に出会うことができた。

東京港野鳥公園

“東京港野鳥公園まであと300メートル”

それでも、大きな道路を挟んで公園の斜向かいはやはり大きな倉庫街で、東京レールゲートWESTとある。黒、緑、白、さまざまな色の大型トラックが舗装を揺らしながらばんばん走り去っていくさまは、なんだか場違いとしかいいようがなかった。

“カラフルな大型トラックがばんばん走り去っていくよ”

「ねぇ・・・リンくーん。到着したんだよね?到着したけれど、こんなに空気の悪いところに、鳥さん暮らしてるのかな?」

「いやー、ちょっとびっくりしたよね。確かに地図上で見れば倉庫街に隣接してるけれど、思っていた以上の環境だね。野鳥さん、ホントに出会えるのかな?」

「ここまで来たんだから、中に入ってみないとわからないよ!レッツゴー!」

いざ。ドキドキしながら正門のゲートをくぐって、管理事務所で入場券を買ったのだった。
一般オトナが300円。ココは有料施設でね、東京都が管理をしているから、きっとちゃんとしているはずだよね。野鳥観察でちょっと困るのは、おトイレが無かったりあまりキレイじゃなかったりすることなんだよね。すずはウサギさんだからアッチャコッチャで自由にオチッコしちゃうけれどね、リンくんはこう見えても一応ニンゲンだし、オジサンっぽいけれど一応女性だからね、暗くて人目につかない場所っていうのも危ないの。その点、ココはどうやらちゃんとしていそうだったから安心したよ。

“正門の入口ゲート”
“一般オトナ300円。すずはウサギさんだからタダ?”

「ふーむむむ。」

園内の地図を眺めてみるけれども、いかんせん距離感もつかめないし、どこにどの鳥さんがいるかなんてわからない。とにかく練り歩いてみるしかないかなって、そんな軽い気持ちで、遊歩道を歩き始めたよ。

「今日はとってもキレイに晴れてて空も青いし、雲も少なくて風もさほど強くないから、絶好の野鳥日和だよねぇ!」

ボブぞオヤビンは終始ゴキゲンだ。すずは野鳥レポーターというオシゴトがあるから、ノープレッシャーってわけにはいかないのね、ドコかになにか、野鳥さんを発見して、ちゃんとカメラに収めなくっちゃ!そしてこの野鳥にびっくりでSHOWのファンのみなさんにおすそ分けしなくっちゃ!

「すず、鳥さん、探すの!とぉりさぁーん!とぉりさーん、ドッコでっすかー?」

すると。

「あ!第一村人ならぬ、第一鳥さん、発見!」

おにぎりをかじりながら、リンくんが教えてくれた。

“ローソンのわかめごはんのおにぎり、大好き”

「ホラ、あそこ。ヨシ原の中、というか手前に。」

「アァオサァギさーん!やった!やったー!アァオサァギさーん、こんにちわーに!」

アオサギさんがジィっとただずんでいたよ。

“第一鳥さん発見!アオサギさん!”

園内は決してたくさんのお客さんがいるわけではないんだけれど、重装備のニンゲンが結構多いの。重装備、というのはね、大げさじゃなく、ひざのあたりまであるレンズを装着したカメラを肩から下げている人たちのことなの。大砲かな?っていうくらい、なかなか攻撃力もお値段も高そうなのだ。それに引きかえ、リンくんが首から下げているカメラといえば、カメラ界隈のなかではネオ一眼、といわれるジャンルのカメラで、レンズ交換さえできない一体型カメラなんだ。(パナソニックのルミックスシリーズの一台で、我が家では”ルミぞう”と名付けている。)

「うぅ・・・見劣りするなぁ・・・。このだだっ広い東京港野鳥公園の中では、もっと本格的なズーム性能と、それからそれを撮るための三脚と、技術力が必要そうだねぇ。」

リンくんがショボーンとしている。

「なんでいなんでい!おでの愛機、ルミぞうにケチつけるなよ!ルミぞうで、すんげーいい写真撮ってやろうぜ!」

ボブぞオヤビンがカメラマン熱を上げてリンくんにハッパをかけた。

「うん、そだね・・・。堂々と、行こ!」

気を取り直して、ネイチャーセンターなる建物へと入って行くと、そこはまぁなんとキレイに整備をされた観察舎だった。固定式のフィールドスコープが何台も置かれていて、ガラス窓越しではあるけれど、大きな淡水池を向こうまで見渡すことができる。その広さ、野球場がいくつも入りそうなくらいなの。

“えっへん!すず、フィールドスコープ使えるよ!”

このセンターでは何人かのスタッフが常駐してくれているらしく、お願いすれば解説をしてくれるみたい。すずは周りのお客さんが質問している内容を盗み聞きしつつ、どんな鳥さんが集まってきてるのかなって眺めていたよ。

(「ホラ!あそこにカワセミ来てますよねー。カワセミは野鳥愛好家のなかでは特に人気ですね。」)

“かろうじて写ったカワセミさん”

(「あぁ、カワウが羽根をあぁやって大きくバタバタするのはね、体温調節してるんですよ。犬と一緒でね、汗をかけないんです。だから、あぁやって涼しくしてるんですよ。」)

ほぉーーーーっ!おもしろいのぉ!

それにしても、カワウ、カワウ、カワウ。アッチもコッチもかなりカワウの率が高いんだ。オオバンは混じっているけれど、いわゆるカモさんたちがあまりいないんだ。なんでかな?カワウが強すぎるのかなぁ?池の端から端まで、大きなその黒いカラダでもって、羽根をばたつかせながら威嚇するかのように飛び回っているんだ。池の向こう、その遠くに臨むカラフルな箱たちは、コンテナ倉庫でね。この、野鳥が飛び交う自然とニンゲンが営む産業との不釣り合いな姿が、この公園の特徴的なところだなぁと感じたよ。ちゃんと鳥獣保護区に指定して管理しているけれど、当然ニンゲンたちの生活と折り合いつつ、したたかに生きているんだよ。カワウさんたちの大きな鳴き声は、すずにそう教えてくれているかのような気がした。

“冬の水鳥といえばカオナシにそっくりなオオバンさん”
“豪快に水しぶきを上げて泳ぐカワウさん”

ギョエェェェェェッ!グヮァァァァァっ!

ンー。かわいくない・・・、カワウさんの鳴き声は決してかわいくはないし、ものすごい数の群れだから、むしろ小さなウサギさんのすずからすればちょっと恐怖を感じる。

「でもダイジョーブ!ライオンのおでがいるからね!」

「あ!オヤビン!」

「すずー、ほら、カワウさん、一羽や二羽じゃびっくりしないくせに、30羽もの群れがいたら、引くくらいびっくりしちゃってるじゃない?」

「えへ・・・えへへ。すずちゃんのぉーーー・・・・カワウにびっくりでSHOWぉぉぉぉ・・・・だよ・・・。」

「あらあら、ちょっと怯えてるのな。おでが守ってやるから大丈夫だよ。」

「ううん、カワウさんたち、すずのことは攻撃したりしないよ。むしろ、いまはすずがカワウさんの寝床におじゃまさせてもらっているだけだからね。オヤビン、ライオンだからって強いところばっかり見せて怖がらせちゃダメだからね!」

「おで、ココロやさしいライオン。怖がらせたりしないもん。」

「じゃぁ、おとなしくもうちょっとだけ観察させてもらってさ、静かにしてよう。」

すずがオヤビンにそういうと、オヤビンは観察小屋へ入っていって、リンくんからルミぞうを取り上げて、シャッターを切り始めたのだった。

カシャカシャカシャ
シャシャシャシャシャ

「こういう観察小屋って、すず、初めてだよ!」

木造の小屋で、ニンゲンがカメラや双眼鏡を持って小窓から鳥さんたちを驚かせずに観察できるようにしている建物のことだよ。池に向かってベンチのようになっていて、目線に合わせて抜けていてね。窓にはガラスも入っていないから、反射することなく、レンズだけをニュイっと突き出して撮影を楽しむことができるんだ。小屋のなかは薄暗いのだけれど照明はないから、あくまで自然光で静かぁにして、鳥さんたちの様子をうかがうよ。

“木造の観察小屋の入口だよ”
“観察小屋のなかは薄暗いよ”
“目線のところがガラスなしの窓になっていてここから観察するよ”

「ココ、楽しいぃねぇ!ちょっと池の対岸にいる鳥さんには遠いけれど、よく見えるね!」

「そだねー。ちょっと写真は限界だけど、それでも鳥さんたちが驚かなくていいっていうのが安心だね。」

“カメラマンライオンのおでに任せろ!”

すずたちは今日が初めての東京港野鳥公園で超初心者さんだけれどね、周りはホントにベテランさんたちがたくさんいたよ。観察小屋でひたすらジィっと待ち続けるお兄さん。なんならスマホいじってるくらいだ。きっと狙ったシャッターチャンスのその時がやってくるまで、そこに居座り続けるのだろうなぁ。

すずもオヤビンも全然落ち着けないから、アッチの小屋、ソッチの小屋、と4つの観察小屋を全部制覇して、なんとなくそれっぽい雰囲気で野鳥観察を終えた。

「あー!おもしろかった!でもやっぱりカワウの木がすごかったよね。」

「うん、すず、あれはね、”鵜のなる木”だ思うな。木々の葉が落ちて冬がやってくると、カワウさんたちが実のようになるの。」

「うん、寝床なんだろうけれどね、あの木、ほんとにそう見えるね。」

それからね。ちょっと顔周りの羽根の色が違うカワウさんを見つけたんだ。首のあたりにかけて白い毛が混じっていて、カラダの真っ黒なカワウさんと違ってキレイなの。もしかしてウミウとか別の鵜の種類なのかな?とかオスとメスの違いなのかなぁ?って思っていたら、なんと、違ったの。
あとでおうちに帰ってからリンくんに調べてもらったらね、なんと繁殖期の羽根の色なんだって。しかも、木の上で枝をくわえていたんだけれどね、その動きはまさに求愛行動なんだってー!

「すず、カワウさんの求愛行動も見ちゃった!びっくりびっくりでSHOWぉぉぉぉっ!」

“顔から首周りに白い毛が混じっているのは繁殖期らしいです”
“木の枝をくわえているのは求愛行動だって”

そんなわけで、お初の東京港野鳥公園はカワウさんにびっくりびっくりなイチニチでした。

今度は別の水鳥さんや小さな鳥さんにも目を向けて、まだ見たことのない種類を見つけたいなぁ!それから、ネイチャーセンターのスタッフぅさんに質問もしたいな!

以上ぉ、すずちゃんのぉぉぉぉ野鳥にびっくりでSHOWぉぉぉぉっ!第12回は、「東京港で鵜のなる木」でした!

またお会いしましょぉー!ばいばーい!

「あっ!おでも、ね!バイバーイ!」

すず(鈴之助)

“松の木の上で姿勢を正すカワウさん、カッコイイ!”
“すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW!またお会いしましょぉー!”

東京港野鳥公園 海上公園なび ホームページ
https://www.tptc.co.jp/park/03_08

東京モノレール 公式ホームページ
https://www.tokyo-monorail.co.jp/

「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第11回 冬の手賀沼でオハヨォゴザイマァスーっ」
https://bobingreen.com/2023/12/18/7416/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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