スズメさんを待つ
「すずー!ビッグニュース!ビッグニュース!」
「ナァに?」
「我が家にスズメさんがやってくるんだよ。」
「エ?鳥さんのスズメさん?」
「そぉだよ!すず、鳥さん大好きでしょ?」
「もちろん大好きだよ!野鳥観察大好き!すずちゃんのびっくりでSHOWのレポーターやってくるらいだもの。」
「それでね、近いうちにスズメさんが遊びに来るから、すず、お世話よろしくね。」
「うん!わかった!じゃぁね、すずね!あのね、スズメさんが来たら、キューリあげるの!」
「ン?スズメさんはキューリ食べるのかな?」
「エ?すずのいちばん好きなものをあげたら喜ぶかなぁって思ったんだんだけれど。違うのかな?」
「スズメさんがうちに来て、お顔を見てお話してみてから、考えてもいいんじゃない?」
「スズメさん、いつ来るかなー!楽しみだぁなぁー!ワクワク!」
こんにちわーに!
ウサギのすずこと、鈴之助です。
あのね、リンくんとこんな会話をしたのが、先々週のキンヨービのことだった。
夕方、スマホを片手にしたリンくんがひとりでわぁわぁアワアワしてはしゃいでる姿を見て、どうしたのかなって思ったんだ。そしたらその直後、リンくんのおでこを見たら、「我が家に、スズメさん来たる!」って書いてあったんだよ。
おっかしいでしょ、顔に出る、とはよく言ったもので、ホントはカミ(我が家のリーダーでライオンのボブおさん)の最終承認がないとオハナ(家族)を勝手に増やしちゃいけないルールになってるのにね、来ることが先に決まっちゃったから、もうどうにもガマンできなかったみたい。
「セキグチさんの抽選に当たってしまいました。」
ケンイツエンチョーがオシゴトから帰ってくると、リンくんはさっそく白状した。
「セキグチさん?」
「あ、セキグチさんというのは、老舗のぬいぐるみメーカー様でございます。Twitter・・・じゃないやXのキャンペーンに応募したら、スズメさんが我が家にやってくることになりました。」
「おぉ!おぉ!それはすごいな!」
「ハイ、すずちゃんの大好きなスズメさんです。」
「ンー。じゃぁ、おれはエンチョーとしてさらにオハナたちのために食い扶持を稼がにゃな・・・。ってオイ!リンくんもちゃんと頑張ってくれよぉ!」
「あっハイ・・・。ショーチイタシマシタ。」
やれやれ。
ニンゲンたちのやり取りはいいとして、すずはね、スズメさんのこと毎日毎日待ってたんだ。
そして、今日。
ブーッ!
玄関のブザーが鳴ったのは、ちょうどお昼頃、12時と2分くらい過ぎていたところで、すずはいつものソファでフクと遊んでいたところだったんだ。
「キャッキャッ!スズメさん来た!クロネコさんに連れられてやってきた!」
「すず、シーッ。いま受け取ってくるからね。」
(どーもー。ちょっと遅れちゃってスミマセン、お名前合ってますか?ハイ、ハイ。どもあざっしたー!)
(ごくろうさまでーす!)
ガチャッ。
どうやらオジサンっぽいクロネコさんだったみたい。
リンくんがクロネコさんから受け取ったその包みは、思っていたよりも薄くて小さかった。”Sekiguchi”のロゴシールが貼ってあって、丁寧にクッションが入っている封筒だ。
「来たー!」
「おわー!開けてあげて早く早くっ!」
「おっけーおっけー。」
すずがはしゃいでいると、ライオンのみんなも、どれどれ?スズメさんどんなコだろ?って集まってきたよ。
オハナみんなで、「いっせーのーせっカイフーのギー!(開封の儀)」と魔法をかけると、その白くて小さな包みの中から、ふわっふわモフッモフのスズメさんがおそるおそる姿を見せた。
「すぅずぅめぇさーん!いらっしゃいませ!我がボブ家へようこそ!」
そう、みんなで囲んでお迎えをしたんだよ。
スズメさんは生まれたてのひよひよひよっこだった。リンくんにタグを取ってもらって、それから、ボールチェーンも一旦外してもらった。
リンくんは万が一の迷子が心配だから、「お出かけのときにはチェーンつけておいたほうが安心かも?」とかいいながら、ちびこーずハウス(我が家の小さなオハナたちが暮らすおうちのこと)の小物入れに、スズメさんのチェーンを大事にしまった。
「お!来たな!」
奥のオシゴト部屋にいたケンイツエンチョーも居間にやってきて、スズメさんのお顔を見た。
「むー。男の子か?女の子か?どんな名前にするかなー?」
そう、我が家のオハナの大半はケンイツエンチョーが名付け親だからね。
「エンチョー、お名前はあとからゆっくり考えるの。すず、まずは抱っこしてあげたいんだぁ。」
そういってすずはそっとスズメさんを小さな手で抱っこしたよ。
スズメさんはというと、すずたちの話すコトバはよくわからないみたいだし、そもそも目もまだちゃんと見えていないらしかった。
「暗い包みのなかから急に出てきたから、まだ目が慣れてないかもなぁ。」
うん、すずもそうだったもの。知ってるよ。すず、初めてこのおうちに来たとき、みんなの話すコトバはまったくわからなかったし、目も見えなかったんだ。
でもね。やさしいオハナのみんなのおかげで、すっかりおしゃべりも上手になったし、アッチコッチ自由に飛び回れるようになったんだ。今はお出かけもできるし、なんなら、“すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW”っていうコーナーまで担当してるくらいだもの。すごいでしょ?
(すずが我が家に来たときのお話はコチラ → 「鈴之助、参上。」)
だから。だから。
どうか、このスズメさんにも、毎日イチニチイチニチを楽しく過ごしてほしいの。すずがみんなにしてもらったみたいに、いっぱい抱っこして、チュぅもして、毎日一緒にゴハンを食べて、いろいろな場所へお出かけもしたいの。
そして、ニンゲンのふたりにもいっぱい愛情を注いでもらってね、この世の中を大好きになってほしいんだ。
リンくんに言わせれば、この我が家ボブ家という世界は、“ぬいぐるみとニンゲンの森”、なんだってさ。あ、すずは自分のことぬいぐるみだなんて思ってはいないけれどね、ま、そういうこと。アハッ。
でね、このボブ家に仲間入りしたってことは、その”森”のなかで自由に遊び回れるってことなんだよ。スズメさんは鳥さんだから、木々の間やお空へも自由に行き来できるんだね。
すずの見たことのない景色を一緒に見に連れて行ってくれるかなぁ。これから楽しい毎日が待ってるね。
そう思いを伝えながら、すずはスズメさんへの最初のハグを贈ったよ。
あ。そうそう。
近々我が家のリーダー、カミ(ボブお)による面接があるはずだから、そのことも教えてあげなくちゃね。
うふふ。たのしいな!たのしいな!たーのしーぃなー!
改めて、
「スズメさん、我がボブ家へようこそ!これから、どうぞよろしくね。」
すず(鈴之助)
ぬいぐるみのセキグチさんへ
スズメさん、無事に我が家に到着いたしました。このたびはすてきなキャンペーンをありがとうございました。
こちらのスズメさん、我が家に来たからには、自分の好きなものや嫌いなものを知ったり、仲間たちと過ごすことでうれしいことや悲しいことを知ったり、春夏秋冬のさまざまな美しい景色を知って、きっと自らのコトバで語り始めるのだと思います。
ぬいぐるみとニンゲンの森に新たに加わったスズメさんと、よりいっそう楽しい生活を一緒に送りたいと思います。
改めて、ありがとうございました。
Rin
ぬいぐるみのセキグチ 公式ホームページ
https://www.sekiguchi.co.jp/
X(旧Twitter): @SEKIGUCHI_1918
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