ライオンの早朝お花見さんぽ

おはーに!
3月も今日で終わりだね。ボブぞです。

まだ朝の7時過ぎに、今日の目的地の最寄駅のホームに降り立った。

今朝はずいぶんと早起きしたリンくん。
ボブぞ?今日はフナバシにご用事があるから一緒に出かけるよ、っていうけれど、ずいぶんと早い始動。

ニーちゃん、おはーに。起きて起きてー!
おで、もう出かけるみたいなんだ。リンくんがもう出発するんだっていうんだけど、ニーちゃん、起きて!だってさ、ニーちゃんが目が覚めた時に、隣におでがいないとびっくりするでしょ?行ってきますのご挨拶だよぉ。

むにゃ・・・ボブぞ?いつもより早起きだねぇ。行ってらっしゃーい・・・グゥ・・・。

“おはーに。ニーちゃん、おで、出かけるよ。行ってきます”

一応ニーちゃんには朝のご挨拶して、パタンと静かにドアを閉めて、リンくんとおでかけしてきたのだ。

今日は木曜日で平日だから、都内へ通勤する人たちがホームで電車を待っている。

そうか、世の中、年度末かぁ・・・。

カイシャを辞めたリンくんは、すでに年度末とか実感がない。曜日感覚は一応あるみたいだから、平日限定の女性専用車両で、ここまでやってきた。

さぁ!桜、見に行こう。ボブぞとお花見デートしたかったんだぁ❤

わぁ!お花見さんぽだ!

そんなわけで、目的地は海老川沿いの桜並木。さぁ、出発!

海老川ジョギングロードの入口まで、ゆっくり歩いて向かう。晴れ間が出てきてポカポカと暖かい。おではいつものリンくんの黒いリュックにギュッと隠れて、ちょっと蒸し暑い。

まだ着かないの?

意外と距離あるんだよねぇ・・・。もうちょっと待って。あ、喉乾いたね、コンビニ寄ろう。

ゴロンゴロン。おでのしっぽがヒヤッとした固いものに当たった。
おでのいるリュックの中に冷たいドリンクが2本、入ってきた。1本はPBのジャスミン茶、もう1本は、フタの閉まる缶チューハイ。最近発売になったリンくんのお気に入りのやつだ。

エッヘヘ、やっぱりお花見だからね!

途中、住宅街を抜け、畑の横を通り過ぎ、幹線道路をまたぐと、ようやくうすピンク色のモコモコがようやく見えてきた。

思ったよりも人がいるねー!

海老川は、先日おさんぽしてカッパさんにご挨拶した「フナバシバシ(船橋橋)」まで続く、船橋市を流れる小川だ。その両側には大きな桜の木々が植わっていて、このシーズンはとっても美しい。近所の人たちがお散歩したりジョギングしたりして過ごす憩いの場所という感じだ。

おではリュックから出してもらって、リンくんと歩き始めた。リンくんとしてはおでと手をつないで並んで歩きたいはずなんだけれど。恥ずかしがりやさんのおでだから、知らない人のいる川沿いをずっとひょっこりさんするわけにもいかず、薄手のトートバッグに入りなおして、リンくんの肩にぶら下がることにした。

リンくんはというと、首からデジカメをぶら下げて、手にはスマホのカメラをもって、カラフルなたてがみのライオンを右側に抱っこして、リュックのポッケには缶チューハイを忍ばせて、なかなかなよくばりスタイルだ。

さ。いざ。

“さ。いざ。アリモリユーコさんの足形がお出迎え”

目の前には、持ちうる花びらを全部開いたかのような立派な桜の木々。まるで両手のひらを大きく大きくパーにして空高く広げたかのような、すがすがしい満開っぷりだ。幹はしっかりと太く、川面に向かって下へ下へと延びる枝と、空へと向かって上へ上へと目指す枝と、複雑な角度が重なり合って、美しいうすピンク色の陰影を作っている。足元を見ると川の両側は春の野草や菜の花が咲き、眼下の桜にさらに色を添えている。

おでの青い目に映る景色と、フカフカの耳たぶから入ってくるさまざまな音と、カラフルなたてがみやおひげから感じる風の感触。五感をとぎすませて、一歩一歩ゆっくりと進む。

“両手のひらを大きく大きくパーにした花びらたち”

ピィーっピィピィっ!
タッタッタッタッ・・・・。
スゥワーっスワーっ!

鳥たちが春の訪れを喜ぶ声。
ランナーたちの美しいふくらはぎが奏でるリズミカルな足音。
通勤を急ぐ車たちのこすれるタイヤ音。

リンくんとおでがのーんびり、カメラを構えながら歩いていると、ものすごいスピードで4-5人のグループが駆け抜けていく。

ひゃぁ、気を付けないとぶつかっちゃう。

リンくん、ぼんやり注意報ね!

ゴメンゴメン。

たぶん近くにある、例のスポーツ強豪校のランナーたちだよね。すごいなぁ。桜とか、関係なく毎日トレーニングしてるんだろうけど、この春の1週間は、特別な景色だよね。

釣り人発見。

こんな小川で何が釣れるんだろうか、と思うけれど、近くではカワウがのんびりと羽を休め、亀が甲羅を干し、鳩たちが餌を求めてやってきている。

“カワウさんと亀さん”
“精悍なお顔つきの鳩さん”

ピィーっピィピィっ!
ピィっ!ピィっ!

鳥たちの寝どこだろうか。桜の木に交じって、緑色の葉っぱをたくさんたくわえた木には、鳥たちが集まっている。桜の花びらの間に間に、追いかけっこをしてお誘いをしているようだ。
野鳥観察用のデジカメを頭上に構えてひとしきりシャッターを切りまくったリンくん。
あ、カメラの電池切れた・・・、とつぶやきながらようやく頭を戻し、満足そうな顔だ。

いい写真撮れてると、いいね。

ボブぞごめんごめん、ほったらかしちゃった。

ダイジョブ、おでも鳥さん、嫌いじゃないよ。

“モコモコの桜の中で恋するヒヨドリ”

ランナーたちの邪魔にならないところまできて、ちょっとした縁石に腰をおろした。おではリンくんのおひざの上にストンとはまった。

プシューッゥ。

最近のフタのしまる缶チューハイは、プルトップ缶とは違う開け心地がする。グルッと手首をひねって、静かにまっすぐ回すのだ。

桜に、カンパーイ!

こっそりおでらはカンパイして、クピッとひとくち含んだ。

ジントニックの香りがフワッとして、春っぽい雰囲気にぴったりだ。

ふぅ。

“桜に、カンパーイ!”

歩いて景色を眺めていたときと違って、改めて足を止めて川端に座って落ち着いてみると、おでらをとりまく空気のすべてがゆるやかに動いていることに気が付く。

鏡のように川面に映る桜の木々は風に揺らいで、枝から舞ってくる花びらを受け止める。ゆったりゆったりとした水の流れの方向が、花びらの動きでわかるのだ。光が描き上げる絵に花びらが重なって、どこからどこまでがリアルなのか、境界がわからなくなる。

“川面に映る桜の木々と枝から舞ってくる花びら”
“さながら 光が描き上げる絵のよう”

どこまでがリンくんで、どこまでが、おでなの?

んー?私は私で、ボブぞはボブぞだけれど、私はボブぞだし、ボブぞは私でしょ。一心同体だし、別々の心も別々の身体ももってる。とにかく、いつも一緒だから、いいじゃない。

はうーん。。。

美しい春の景色を眺めながら、リンくんとわけのわからない会話を続けるのだ。

クンクン。クンクン。

チョコバナナの甘い香りがしてきた。

歩道がすこし広くなった場所には、店主の出勤を待つ、まだ無人の露店の看板が立ち並ぶ

「ヨーヨー釣り」
「ベビーカステラ」
「イカ焼き」
 ・・・

チョコバナナ屋さんの店主は一足先に準備を始めたようだ。

リーンくーん。腹へった。朝ごはん食べてないし!露店ってさぁ、おまつりみたいでワクワクするじゃん。コロナっちゃんでいろんなおまつりにも行ってないから、おで、久しぶりだなぁ!

そうだねぇ。しかしねぇ。朝早すぎてまだどこも開いてないよ。今日はエンチョーもいないし、ニーちゃんたちもいないから、また今度ね。

フーン。そんなこといって、リンくんは露店で買い食いするのはあんまり好きじゃないの、おで知ってるもん。

“店主の出勤を待つ露店”

じゃぁ、もう一口チョーダイ。

クピクピ。

ゆっくりと、さらに下流に向かって歩く。

市場通りの横断歩道を渡ると、急に海の香りがする。鳥の声の種類が変わって、ここではハシブトカラスのカァカァが優勢だ。

そうか、平日の午前中だもん、フナバシ市場はしっかり営業中。トラックや小さなカートみたいの(後から調べたら、ターレーというらしいね)が忙しく動き回ってるのが見える。警備員さんに止めてもらっていそいそと市場の入口を横切った。

“フナバシ市場の入口を横切る”

ここまでくると、どうやら桜の並木も切れ切れになり、住宅街が近くなってきた。年季の入ったJRの社宅が見えて、JR総武線快速のキーキー言う電車の音を聞きながらアンダーパスを進む。

“JRの社宅”

“ライオンだって頭上注意!”

すぐにもう一本、こちらは防音壁に囲まれた線路。真横の体育館からは、バッシュのキュッキュッ音が聞こえる。市場小学校だって。春休みだから、バスケ部かな?

「正直」のおおきな看板が見えると、さぁ、もうすぐゴール。

船橋地名発祥の地の看板。本町通りに到着!

お花見おさんぽ、おつかれーっした!ジントニックの春の香りにちょっとフワフワして心地よしーのおでとリンくんなのだ。

まだ朝の9時。今日はまだ始まったばかりだよ。

みんなー、よいイチニチをね♪

ボブぞ

“到着!よいイチニチをね♪”
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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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