ボブおの読書感想文 ― 「おれはライオン、特技はオノマトペだもの!!!」

今日、新しいご本がやってきた。最高気温は35℃、外は猛暑だというのに、ご用事で出かけたリンくん。NHKのラジオ講座のテキストと一緒に、もう一冊袋に入っていたのは、ピカピカしたツルツルの横長のご本で、見覚えのあるくまさんが包丁を握ってキャベツをせん切りしている写真が大きく載っていた。

タイトルを読むと、それは、『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』(くま、ワン・パブリッシング、2023年)というらしい。

“新しいご本がやってきたよ!”

「うぉぉぉっ!コレさぁ、リンくんがやってるインスタ(Instagram)ってやつでよくお料理してる、あの”くま”くんのご本?」

おれ、思わずびっくりして、リンくんに聞いた。

「そうっ!そうなのー。めっちゃかわいい・・・。これは買わねばと思って。本屋さんでレシピ本コーナーに面陳列されてたよ。」

「メンチンレツ?」

「あ、うん。目立つように並べられてたよってことね。」

「ほうほう!おれさぁ、”くま”くんのファンなんだよなぁ!スゴイよなぁ!主さんの手を借りずに、あんなにダイナミックに食材を切ったり焼いたりするんだぜ?」

「あー!ボブお、よく知ってるねー。・・・もしかして、わたしがいないときにも、こっそりインスタ見てたりする?」

「いやいや、おれはドッチかっていうとTwitter派だからさぁ・・・あぁそれも青い鳥いなくなっちゃったけど。」

「んまぁ、そうだよねー。その”くま”くんの本だっていうから、ボブおもさぁ、いつか自分のコトバたちを一冊の本にまとめて、世に出せたらいいよねーなんて言ってなかった?」

「まぁ、そうだよなー。いつか、そういうことがあっても面白いかもとは思うよな。」

「ボブおの将来の夢のひとつだね?本を出版すること。カッコいいライオンじゃない。」

「フハッ!」

おれはこの”くま”くんのご本を、妹のボブこと弟のボブぞと一緒に眺めることにした。
すると。

「アロー、アロー(Hallo! Hallo!)」

挨拶をしながら、ちびっこオランダ出身のクマ、ムツ&シチがやってきた。

「クマって言った?わたちたちのこと、呼んだ?」

「アハッ!ムツとシチも気になるのなー?クマって言ったけど、別の”くま”くんのことだよ。”くま”くんのご本、一緒に見よっか。」

「ウンッ!」

おれらがソファの上で集まると、リンくんから突如として課題が出された。

「ハイッ!じゃぁ、オハナ学園夏休みの特別課題ね。せっかくだから、読書感想文書いてみたら?」

「アッ!それおもしろーい!」

そんなわけで、今日は、『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』 を読んで、感想文をまとめてみたいと思うよ。

“クマ・・・?”
“みんなで一緒に読むよ!”

ボブおの読書感想文 ー「おれはライオン、特技はオノマトペだもの!!!」
(副題 『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』を読んで)

※PDF版はコチラ↓↓↓

ジリジリジリジリ。
高速モーターをのせたオモチャかのように、アブラゼミがひっきりなしに鳴いている。

ジリジリジリジリ。
古びたクリーム色のカーテン越しに、尋常じゃないお日さまの光が注いでいる。

ジリジリジリジリ。
朝のストレッチを終えたリンくんが、麦茶のコップを片手にそばにすり寄ってくる。

リンくんというのは、おれの暮らす家のニンゲンのひとりだ。我がボブ家は、おれを含めたライオン3人、それから、たくさんの家族、クマやウサギやアザラシやペンギンや、ネコやイヌやワニなどがいる。それからもうひとり、ニンゲンのケンイツエンチョーというオッサンがいるのだけど、今日はもうオシゴトのために出かけて行ったから、今はいない。

「リンくん、そんなに近くに寄ったらアッチぃよ。せめて汗ふいてから来てよ。」

最近ひどく汗かきなリンくんに、おれは赤いうちわを手渡した。お気に入りのチーバくんのやつだ。

パタパタパタパタ。
大人しくリンくんは一歩下がって、手元であおぎだす。

パタパタパタパタ。
おれは手にした本を、何度も何度も手早くめくる。

パタパタパタパタ。
そこには、じぃっとまっすぐ目を見据えた”くま”くんが耳を動かす姿があった。

今日、おれの本棚に、一冊の本が加わった。『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』(くま、ワン・パブリッシング、2023年)という。おそらく、本屋さんでの分類では、料理本、レシピ本のコーナーに置かれるものなんじゃないかなと思う。家庭での料理の作り方を、解説した内容で、材料の分量や調理器具の説明、手順や注意すべきポイントについて、シンプルにわかりやすく、まとめてくれているものだ。どの料理も写真がキレイで、とてもおいしそう。作ってみたいとも思わせられるものになっている。実際には、おれ自身は料理はしないから、我が家のメシタキ係のリンくんにお願いすることになるのだけれど。

普通のレシピ本ならば、料理研究家を名乗るニンゲンが出てくるか、もしくはニンゲンさえ出てこずに料理だけにフォーカスする内容が一般的だ。テーマは様々で、節約、とか、ダイエット、とか減塩、とか、お弁当、とか、そういうものが世の中にはあふれている。
だけれど、この本は、まったく普通ではない。この本に出てくる料理人、いや、料理”くま”は、正真正銘の”くま”くんだからだ。だから、主軸のテーマは、”くま”くんが作る、というところにある。

しかも、”くま”くんは、頁の右端で、ずぅっとずぅっと、耳をパタパタさせている。

その姿は、おれがリンくんのやっているインスタ(Instagram)ってやつで見ていた動画の、その姿とまったく同じだった。

パタパタパタパタ。
パタパタパタパタ。

ふと、おれがうちわの音が近づいて、おれは顔を見上げた。

「あぁ!”くま”くん、パラパラ漫画みたいになってるんだぁー。すごーい!芸が細かいねぇ。あっ、ちゃんと汗ふきましたぁ。うちわ、アリガトね。」

リンくんが、ぐっと顔を寄せておれの手元をのぞき込んだ。その瞬間、ぷぅんと、夏のニンゲンのニオイがした。スーッとするあの汗拭きシートってやつの、清涼感を無理やり出した、シトラスナントカの香りだ。

おれはちょうどその時、”くま”くんが作る「ツナとトマトの炊き込みごはん」の工程を妄想していたところだった。本を開いて眺めると、ツナ、しめじ、トマト、それから枝豆、それをおだしで炊くという、とってもシンプルな料理のようだ。むーん・・・、とおれは妄想を続ける。具材を鍋に放り込んでコンロにかけるまでは、リンくんに任せておけばいいから、正直なところ、すっとばした。鍋のふたが閉まってから、勝負どころだ。ズドンッ!とガスコンロに鍋を置いて、チチチチチッ・・・とつまみを回す。中強火で沸騰するまで火をかけると、しばらくするとカタカタカタカタ・・・と音が鳴り出す。急いで火を弱めて調整する。そう、我が家には炊飯器がないのだ。いつもお米はガスコンロで炊く、リンくんが。でも、おれはその様子を居間から遠巻きに見ているのが好きなんだ。まだかな、まだかな、炊きたてのごはん、まだかな。ワクワクと、ちょっとだけ心配が重なる。火加減を失敗して、固かったり焦げたりは二度や三度ではないからだ。

レシピによれば、お米が炊きあがってからしゃもじでトマトをつぶして、それから一旦蒸らす。その後に枝豆を最後に加えるのだという。甘くて深みのある枝つきの枝豆をさやから出した瞬間の、プチッ!というその手に残る開放感も、一緒に味わいながら、全身で”くま”くんレシピを体験した。

「コレ、おいしそうじゃん?あー。しかも、まな板いらないってことかぁ、よく考えられてる。あ、ってことは、”くま”くんの得意なせん切りは、残念ながらこのメニューじゃ見られないのねぇ!アハッ!」

シトラスナントカの香りをまとったリンくんに横から口を挟まれて、おれの脳内キッチンは現実に引き戻された。おれは、いままさにふたを開けてお茶碗によそらん!というタイミングまで来ていたのだった。ホカホカの湯気を吸い込んで、しゃもじでひっくり返したそのおこげの香ばしい香りを妄想していたところだったのに。あーぁ、すっかり水を刺された気持ちになった。

「あー、ちょうど今からよそって食べるところだったのに。」

「ヘ?どういうこと?」

よし、こうなれば、現実のものとしようじゃないか。

「リーンくぅーん?コレ、作ってぇー。」

「うん?いいよ。いいけど、せっかくだからさ、夏休みの自由研究にしようか。ボブお、まだ料理したことないでしょ?お料理してお写真撮ってみたら?」

やっぱりうちのリンくんは何もわかっちゃいないんだ。

おれ、”くま”くんのこのご本のおかげで、勇気をもらったよ!おれは、こうやってコトバを紡ぐことが好きなんだ。だから、お料理はリンくんに任せて、おれはやっぱりこうやって生きていこうって思う。はっきりと言ってやった。

「おれはライオン、特技はオノマトペだもの!!!だから、リンくんがお料理してるときの描写、書いてあげる。それが夏休みの自由研究。それならいいでしょ?」

オッケー、と言ってリンくんは台所の方へ向かっていた。

ジリジリジリジリ。
ライオンのはしくれのおれではあるけれども、コトバへの強いキモチが青い炎となって揺れていた。

パタパタパタパタ。
首にタオルを巻いたままのリンくんが、冷蔵庫のドアを何度も開け閉めしては昼食の準備に取りかかっていた。

繰り返す夏の音に耳を澄ませるように、”くま”くんは、頁の右端でおれを見守っていた。

「がんばろうね。」

そう言って、笑いかけてくれているようだった。

オハナ学園 小等科 2年生 ボブお

『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』(くま、ワン・パブリッシング、2023年)公式ホームページ
「ぬいぐるみのくまが料理する!かわいすぎるのに本格的なレシピ32品」
https://one-publishing.co.jp/boku-ha-kuma/

“くま” くん
Instagram: @ku.ma2088 https://www.instagram.com/ku.ma2088/

『ぼくはくま、特技はせん切りやねん!!!』公式 X (Twitter)
X (Twitter): @kumacookingbook https://twitter.com/kumacookingbook

「ボブ家ごはんのレシピ その16 ー もりもりチキンの煮込みハンバーグ」
https://bobingreen.com/2022/11/11/2998/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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