おれのたてがみと雨雲レーダー

ザァーっ

グオォォォォ

シャァーっ

雨。雨。大雨。
風。風。大風。

家路を急ぐクルマが、水しぶきを豪快に上げて過ぎていく。

みどりテラスに出るいつもの窓から、お外を眺める。季節外れの台風とそれの影響によって梅雨前線が刺激されて、センジョーコースイタイ（線状降水帯）ってのができてるらしい。

テレビでもネットでも、気象情報の雨雲レーダーを見ると、普段は見ないような赤や黄色がアッチコッチに見えて、なんだかおれのたてがみみたいなカラフルなボブ毛色に染まっている。そんなところで、おれと張り合わなくていいのにな。

サッシが新しくなってから約半年。つい一昨日、リンくんが窓拭きをしていたんだ。

「いやぁ、半年も経つとさぁ、こんなに砂ぼこりすごいんだぁねぇ。」

そりゃそうだ。だって、我が家は道路を挟んですぐそこが雑木林なのだから。砂ぼこりが積もりに積もって、新品ピッカピカだったサッシにすでに塊になって溜まっていた。

「リンくーん。ココ、拭き残し。」

「あ、アリガト。よく見ないとね。」

一昨日の晴れた朝にそんな会話をしていたのに。

今は、
雨。雨。大雨。
風。風。大風。

大風が窓ガラスに吹き付けて、すっかり洗い流されている。

「ねね、窓ガラス、キレイになるかも！」

リンくん、悠長なこと言ってらぁ。

「おれさぁ。自慢のたてがみが濡れるのは苦手だから。」

「知ってるよ、ボブおは雨が嫌いなわけじゃないけど、たてがみが濡れるのと、それから、カミナリさまが苦手なんでしょ。」

「うん。」

「あとさぁ。おれのたてがみはカラフルでよくホメてもらうけど、雨雲レーダーがカラフルなのは、嫌だよな・・・。」

おれは、オハナ（家族）全員の無事と、それから、オトモダチやオトモダチのオハナのみんなの無事を願うよ。

みんな安全に過ごしてな！

ボブお

春雨を聞き、過ぎるを待つ

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