砂かぶりのピクニック
「ねぇねぇ、ボブぞ、イチョウの色づきをチェックしに行こうよ。」
あーん、おで、今日はおうちでヌクヌクお昼寝の気分だったのになぁ。
後ろ髪をひかれながらも、お外はよく晴れていて、確かにおさんぽ日和だ。まだお昼前のこと。
「んじゃ、ちょっとだけ行きますか。」
去年のこと。きいろきいろのまっきいろ、真っ盛りのイチョウを見に行った公園。まっきいろに輝く木々と、キラキラと金色に光るお日さま。あの日は暑いくらいだったことを覚えてる。
さぁ、今年はどんな具合かな?
「あ、じゃぁぁぁさ、お昼まだだからさ、おにぎり買っていこうよ。」
「おっそれはいいアイディア。いいねぇいいねぇ!ピックニックゥ!」
そんなわけで、途中、スーパーに寄ってお買い物をする。
「リンくんはね、ひじき食べなきゃダメだから、コレね。ひじきごはんのおにぎり。それから、それから、おではね。にたまご!おーでのだぃすきぃーなぁーにーたまごー!」
「いえーい。最高のピクニックメシだね!じゃ、おビーもいっぽんカゴに入れまして!」
おではリンくんと、おにぎりとにたまごとビールいっぽん持って、ホクホクした気分で公園に向かった。
パッと視界が開けると、そこはイチョウ並木。残念ながらというべきか、まだ緑が優勢だったけれど、日当たりのいい枝は黄色く色づき、足元にはすでに葉がちらりほらりと落ち始めていた。
「ンー?なんか上手に黄色くなってないね。去年はさ、きいろきいろのまっきいろの世界だったよね。」
「うん、まだ早いのかな。でも、もう落ちてる葉もあるね。なんだろうね。」
公園は運動場になっているけれど、今日はバットやボール遊びをするニンゲンたちはおらず、ぐっと静かだ。点在するベンチには意外にも先客がちらりほらりといた。ランチ休憩なのか、ゆったりとイップクをするオジサマ、ひなたぼっこしながらボンヤリとまどろむ老人、いちばん黄色く色づいたイチョウの木の前でおしゃべりをするご婦人二人組。ここはおだやかでまったりと時間が進んでいた。
おでらはナナメに公園を横切って、奥に鎮座する土俵まで歩いた。日なたじゃまぶしすぎるし、おでのたてがみが日焼けしちゃうのをリンくんが嫌がって、日かげになっているベンチを探したのだ。ここならあまり人も通らないから、ライオンのおでも、堂々とピクニックランチができそうだ。
プシュっ。
いい音が響いた。
「ピクニックデートに、カンパーイ!」
「カーンパーイ!なぁなぁリーンぐーん、ハラへったぞ。」
「ハイ、ボブぞ、あーん。」
「はむっ。ン、もっぐもっぐ。うめ!」
暦の上ではもう冬なのだという。
あたたかな小春日和に、お外でおっきなおにぎりにかぶりつくのは、とってもココロがヌクヌクした。おさんぽをするといろんな知らないものを知ることができてとってもワクワクする。
誰もいないその土俵の脇で、おでは、ちっちゃな声でつぶやいてみた。
「はっけよぉいのこったのこった」
今年のイチョウの取組はまだ始まったばかりだ。千秋楽の頃、また見に来ようっと。
ボブぞ
Rin注: 去年のイチョウのおはなしはこちら。12月だったみたいね↓
「きいろきいろのまっきいろ」
https://bobingreen.com/2021/12/06/1441/
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