おっさんグマの旅じたく
「おーっし!できた。」
「あ?できたの?わーい。」
「どれどれ?おっ!ピッタリフィット!オーダーメイドみたいじゃん!ありがとなー!」
わっし、ころすけでっす。
ちょっくら、旅に出てきます。
旅といえば、カバン。それから、帽子。
わっしはお気に入りのシルバーのアタッシュケースに、これまたお気に入りのストローハットをかぶる旅スタイルの予定だ。
一張羅の真っ赤なポロシャツも、出発前に洗濯してもらった。だから、いま、わっしははだかんぼでひなたぼっこをしている。
そうそう。アタッシュケースのこと。どうにも持ち手が小さすぎて、ツキノワグマのわっしの、小さなカラダのわりにはもっちりむっちりした指に、うまくなじまなかったんだよね。だから、リンくんにお願いして、”ひも”を作ってもらったんだ。肩からナナメがけできるひもと、それからちょっと大きな持ち手。このふたつを使って、カラダにぴったりフィットして落っことさないようにするんだ。
リンくん、さっそく100均でわっしの体毛の茶色に合わせた毛糸を買ってきたかと思うと、棒針を2本こねくりまわして、作ってくれた。
「いやー、かぎ針のちょうどいいのがなかったから、無理やりメリヤス編みでひもにしてみた。」
「ちゃんと固定できれば、なんでもいいってことよ。」
そんなわけで、わっし、シルバーのアタッシュケースを持って、さぁ、旅じたくはカンペキだよ。
ケンイツエンチョーから借りたカバンだから、大事に使わないとなぁって思ってたら、おうちでおシゴト中の合間に、ひとこと突っ込まれた。
「なぁなぁ、ころすけ?お前、そのカバンさ、替えのパンツでも入れたのか?」
「・・・わっし、普段からパンツなんてはいてないから!アハッ!」
行きのカバンは空っぽだけど、いっぱいの思い出とお土産話を詰め込んで帰ってくるな。
「リンくんとリンママちゃんのこと、よろしくな。」
うっす、エンチョー、了解。
では、行ってきまーす!
ころすけ
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