お伊勢さんの夜明け(新年のご挨拶 – 寅 2022年)

あけましておめでとうございます。

2020年に細々と始めたこの”Bob in Camp Green”、2度目のお正月を迎えることができました。

毎回遊びに来てくれている方も、たまに気が向いたときにフラッと寄ってくれる方も、今日初めて来たよって方も、ありがとうございます。

2022年もボブ家の日常をつづっていきますので、お付き合いのほど、どうぞよろしくお願いします。

“あけましておめでとうございます”

楽しいこと、うれしいこと、キレイなもの、おいしいもの。できるだけ、小さな良いことをたくさん積み重ねて、毎日を暮らしていけたらと願って過ごしています。

悲しいこと、さみしいこと、痛いこと、苦しいこと。できるだけ、大きな悪いことは起きないように、万が一何か悪いことがあったとしても、大事に至らずに済むように、と願って過ごしています。

申し遅れました、おれはボブ男。このボブ家のリーダーで、オハナ(ボブ家家族)のまもり神だよ。

実はね、今日新年を迎えるにあたって、ちょっとフライングだけど、昨年の年末のうちに神さまにお会いしてパワーをもらってきたんだ。お伊勢の神さま、アマテラスさんとその仲間の神さまたちだよ。

アマテラスさん、天照大御神は太陽の神さまなんだ。おれはこのパワーをいただきに、お伊勢参りに行ってきたんだ。

そう、それは、2021年12月29日の夜明け前のこと。

ザァッ・・・ザァッ・・・

ザァッ・・・ザァッ・・・

砂利玉を均すように、掃き清めていく音。

ピュピュピュピュ・・・

ピュピュピュピュ・・・

まもなく来たる太陽の光の訪れを教えてくれる鳥の群れの声。

ペコッ。

ペコッ。

誰しもが立ち止まって一礼をするそのさま。

朝6時半前。目の前には大きな大きな鳥居、その向こうには五十鈴川にかかる立派な宇治橋。

おれらは、一の鳥居の前に置かれた、交通整理のためのポールのラインに沿って、立ち止まったの。

先客は、三脚を立ててご立派な中盤一眼レフを構えたカメラマン。その彼の横で、ちっこいデジカメを首からぶら下げて、まるで雪山でスキーをするかのように防寒をしたリンくんに、おれは抱っこされている。

“到着したときにはまだお月さまが出ていたよ”

きっかけは、2021年の12月22日、冬至の朝のこと。テレビの朝のニュースをみていたリンくんが騒いでる。

ねぇねぇ、冬至の日は、お伊勢さんの内宮の宇治橋のど真ん中から日が昇るんだって!!!すごくない?すごくない?でね、冬至の前後2か月間は鳥居の中から日の出するんだって。私たち行く日、見られるかもよ!

そんなわけで、お伊勢参りの旅は、暗がりの早朝からアマテラスさんの日の出を拝むことがハイライトと決まった。そのためにダウンコートやら耳当てやら、中綿入りのレッグウォーマーやらの装備をしたら、さっきの通り、雪山仕様リンくんになった、ってわけ。

ブルブルブルブル・・・。

おれはいつも通りの格好だから、正直ピエッピエだよ・・・。おれも防寒着、欲しかったなぁ・・・。

さっきまでは鳥居の右上のほうに、お月さまがよく光って見えていた。

今はというと、少しずつ空がしらけてきて、だんだんとピンク色が混じってきた。

そう、夜明けだ。

お伊勢さんの内宮の鳥居の前で、夜明けを迎えることができるだなんて、こんなすごいことはなかなか経験できないだろうと思う。だって、おれ、ライオンだよ。お伊勢さんの内宮の鳥居の前で、夜明けを迎えるライオンなんて、聞いたこと、ないだろ?

ジーっと。ひたすらジーっと、鳥居に真正面に向かって、その時を待ち続ける。

時折、鳥たちがお伊勢さんの森から群れで羽ばたいていく。

黒い精悍なカラスが、鳥居の上に停まって、周囲の様子を確認している。

お伊勢さんにいると、どんな景色も、まったく飽きることがない。

” 黒い精悍なカラスが、鳥居の上に停まって、周囲の様子を確認している”

気が付くと、おれらの前を通り過ぎる参拝客が徐々に増えてきたのがわかる。神宮への入場は朝5時からできるから、夜明け前だというのに、どんどんと人が吸い込まれては吐き出されていく。その様子は、まるで空の雲が動いて変化していくのを眺めるのと同じように、ひとつの景色として移ろい続けている。

うん、きっと、何年も何十年も何百年も、続いている。

あのー、この行列、何を待ってるんですか?
日の出を待ってるんですよ、鳥居の中から見えるとかで。

あー!そうなんですかぁ。へぇ!

・・・

そんなやりとりをする声で、ハッと我に返った。周りを見回すと、すごい人が集まっていた。

結構・・・密・・・!

100人どころじゃない人が集まっていた。おれらは、まさにその先頭集団だ。ちょっと恥ずかしいような、こそばゆい気持ちがする。

だって、ニンゲンが100人いるところに、ライオンがいるんだよ。しかも先頭に3人のライオン。おれはリンくんにちょいちょい抱っこされるけれど、妹のボブ子と弟のボブ三は寒いし恥ずかしいからといって、エンチョーが抱きかかえるバッグのなかに潜んでいる。

ボブお。コスコスコスコス!

うんうん。わくわくが止まらない!ドキドキ!

コスコスとは、エンチョーがおれらにしてくれる愛情表現だ。コスコス!ってお鼻をなでてくれるんだ。

神さまの前だからね。大声は出さないよ。そんなやり取りをささやき声でしながら、静かに、静かに待つ。

時計をみると、6時59分。伊勢市の12月29日の日の出予定時刻だ。

んー?空は明るくなってきたけれど、全然そんな気配ない。なにせ雲が結構出ていて、これじゃ見えないのかも???

いやいやしかし隣の超凄腕カメラマンみたいな彼は撮る気満々で準備をしている。きっと見られるんだと思う。。。

このあとが長かった・・・。日の出を待つ第二集団、つまりおれらの後ろの集団が、ざわざわしはじめた。

・・・ねぇ・・・そろそろなのかな?それとも今日は見られないのかな・・・?

ひたすら疑心暗鬼になる群衆。

うん、おれも同じこと思ってる。せっかくここまで待ったけれど見られないのかな?

それでも飽きずに鳥居越しの空を眺める。

さらに1時間あまりが過ぎた。

すると・・・。

うわぁぁぁぁぁぁぁ!

パシャ。パシャ。パシャ。パシャ。

パシャ。パシャ。パシャ。パシャ。

一斉にスマホのシャッター音が重なった。

この瞬間を待ってたんだ。

あぁ・・・太陽の光って、暖かい。

“あぁ・・・太陽の光って、暖かい。”

光を目で確認するよりも真っ先に、おれは全身で、感じ取ったよ。

暖かさのあとに、目を開けていることができないくらいの眩しい光の束。

身震いするような夜明けを体験したよ。こんなライオン、やっぱりほかにはいないと思う。

おはようございます。アマテラスの神さま。

おれはこのパワーをいただいて、これからも毎日、元気に暮らしていこうと思います。ありがとうございます。

改めまして、本年もよろしくお願いします!

2022年 元日

ボブ家一同代表、ボブ男

” 目を開けていることができないくらいの眩しい光の束 “
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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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