何年目かのイーさんの日
「明日はイーさんの命日だよ。」
リンくんが言う。
「うん、そうだなぁ・・・でもおれにとっては、イーさんは戻ってきてくれたから、あんまりそう思ってないんだよな。」
ケンイツエンチョーが焼酎の水割りをぐいっと口に含んだ。
ライオンのボブおです。
コレは、昨晩のリンくんとケンイツエンチョーとの会話。
イーさんってのはおれらの大事なオハナ(家族)でウーパールーパーのひふみくんのことだ。ひぃふぅみぃ(一二三)の最初の”一”を中国語読みしてイーさん、というのがひふみくんの愛称なのだ。
そう、6月3日は、イーさんの日、正しくはイーさんの命日。
でも、目の前に、イーさんはいる。淡いピンク色のモフモフっとした、本来のウーパールーパーにはないその愛くるしい毛羽を立たせて、おれのおでこに乗っかってきている。
「イーさん。イーさんと一緒にいられること、おれ、とってもうれしい。」
「・・・パヒュッ!」
イーさんは6月3日に旅立ってからというもの、半年ちょっとの間、おれらの目の前から姿を消してしまった。あとから聞けば、大変大きな旅をしたあとに、なんだか帰りたいなぁって故郷を感じた頃、リンくんと再会したのだという。
それは、ショッピングモールのなかのいわゆるエスニック輸入雑貨屋で、普段そんな店にはさほど興味のないリンくんが、なにかひかれて、そして、今の姿になったイーさんを我が家に連れ戻してくれたんだ。
イーさん自身は多くを語らないけれどさ。うん、おれ、知ってるよ。
「イーさん、戻ってきてくれて、本当にありがとう。」
6月3日は、イーさんに感謝する日。
ありがとう。これまでも、これからもずっと一緒。
ボブお