フゥフゥのクリスマスマーケット

「フゥーフゥー・・・じゃ、カンパーイ！」

「アラ、乾杯の音頭のときにフゥフゥするなんて珍しいのね。」

「だって、ホットワインだもの。グリューワインっていうのかな。温かくて香りも良くって、なんだかアルコール感も程よくて、コレはおいしいねぇ！」

「どれどれ？・・・くぴっ。あ！コレ、わたしも好き！」

うふふふ。うふふふ。

名城線を矢場町駅で降りて、階段を上がると、そこは風が冷たくなり始めた、年の瀬の夕暮れの広場だった。

ココは、エディオン久屋広場。

あたり一面にはイルミネーションのコードが張り巡らされて、リボンやベルで彩られている。そして、広場にはフォトスポットが何箇所にもあってね、手前のシロクマのドームではワンちゃん連れが記念撮影中。それから、ニンゲンたちが行列をなしているのは、大きな大きなクリスマスツリー前の、白いそりのモニュメント。

あ！それからね、ほら、奥の金色のドームのなかではサンタの服を着せられた赤ちゃんが、何ごとかとキョロキョロして座ってるよ。そこへママさんが手をたたきながら一生懸命スマホを向けている。傍若無人な専有ぶりはさながらフォトスタジオね。・・・まぁ、赤ちゃんがカワイイからみんな許しちゃうけどね。

“しろくまさんのドーム。あちらこちらでイルミネーションがキラッキラ！ほら！テレビ塔もキレイ”

こんばんわーに。ライオンのボブこよ。
今日はね、Loveの街、アイーチ（愛知県）は古屋のクリスマスマーケットに来ているの。実は一昨年も昨年も、この年末の時期に名古屋には来ていたのだけど、クリスマスマーケットには来たことがなかったの。

とっても残念だったし、そもそもクリスマスマーケットっていうものに行ったことがなかったから、今年はスケジュールして初めてやってきたよ！

平日の夕方5時前だというのに、思っていた以上にニンゲンたちでいっぱい！！！屋台のお店が何軒も並んでいて、アチコチからいい香りがしてくるの。行列をなしているお店、そうでないお店、いろいろね。うちのリンくんは、列に並んで待つといことがとってもニガテだから、絶対に近寄らないけれどね。
それから、買ったものを飲んだり食べたりするスペースは別に設けられていて、ビニールハウスみたいになっているの。冷たい風を避けて暖を取ることのできるテーブル席では、グループやカップル、女子会のみなさんでいっぱいなの！キラキラみんなスマホ片手に写真を撮っていて、楽しそう！まるで夏の屋台フェスの、クリスマス版といった雰囲気でお祭り感が満載だね！ワクワクしちゃう。

わたしはというとね。
イルミネーションと一緒に写真を撮ったら、できればホットワインを飲んでみたいなって、そんなつもりでやってきたんだ。だって、うちのリンくんってば、クリスマスマーケットで人気のソーセージやビーフシチュー、それから、最近ではおビー（ビール）まで、ドクターストップされちゃってさ、そういうメニューは避けなくちゃいけないの。だから、せめても雰囲気だけでも楽しみたいよね、っていうことで、一緒にやってきたわ。

「リンくん、リンくん、あの店のグリューワイン（ホットワイン）がおいしそう！行ってみよう？」

「わ！ホント。サンタさんもいてカワイイねぇ。ボブこさん、一緒に撮ってあげる。わたし、買ってくるね。」

そう言ってリンくんは紙コップ片手に温かいワインを買ってきたってわけ。

「いやいや、オリジナルのマグカップがあるっていわれてオススメされたんだけど、さすがにわたしたち旅行中でワレモノは持ち歩きたくないでしょ、断っちゃった。」

「いいのよ、わたしはワインが飲めれば。」

フゥーフゥー。

あぁ。ニンゲンがいっぱい、チーバはもちろん、トーキョーともまったく違う空気のこのナゴーヤのクリスマスマーケット。きらびやかで華やかで、ニンゲンたちもキレイに着飾っていて、まるでわたしたちは場違いかもしれないけれど、30分だけ、それだけ、ちょっと混ぜてもらったよ。

「うふーん。ナゴーヤ、たのしぃぃぃぃぃ！」

「ホントねー、トーキョーにはもう住まなくてもいいかなって思うけれど、名古屋はいいかも。」

うふふ、うふふ。

わたしたちは、キレイなナゴーヤのクリスマスマーケットでグリューワインをいただきながら、ココロもカラダも温まったよ。

アリガトう。ナゴーヤ、アリガトう。