ふるさとの満開のコスモス
ニチヨービの朝9時過ぎ。愛車のモビスケを小一時間走らせて、やってきたのは我が家みどりキャンプ場の隣町にあるお花畑、おなじみチーバは佐倉のふるさと広場よ。
雲がほとんどない真っ青な空には、ピーヒョロロとトンビが二羽優雅に旋回している。
刈られた後の田んぼは秋の終わりを知らせ、スズメたちが朝のごあいさつに忙しそうにしている。
丘のふもとには京成電鉄の線路。複雑な乗り入れを象徴するかのように、新旧さまざまな車両が通り過ぎていく。
こんにちわーに!わたし、ライオンのボブこよ。
「ココはやっぱりサイコーねぇ。気持ちいいわ!」
ひとつゆっくりと深呼吸をして、わたしは満開のコスモス畑に足を踏み入れたの。
春のチューリップ、夏のヒマワリ、そして、秋のコスモスと、今年は三度目のふるさと広場。実は去年はタイミングが悪くコスモスの季節には来られなかったのよね。
風車をバックに南に向かって咲きこぼれるコスモスたち。
遠目に見ると、ピンクの濃淡に見えるのだけれど、ひとつひとつのの花弁は、なかなかデザインに優れていてね。うすいピンクをベースに濃い赤むらさき色でふちどりのあるコ、クリーム色や白の花もあれば、いわゆるキバナコスモスってやつね、黄色やオレンジ色のコスモスも混じっている。
ぶーん。
一輪、また次の一輪、さらにまたその隣、とアチコチを飛び交うミツバチたちは、仕事に忙しくて、ライオンのわたしのことには気が付かないみたい。
「ちょっとお邪魔しますね。」
そういってわたしはコスモス畑のなかで、写真を撮らせてもらうの。
行き交うニンゲンたちはワンちゃん連れが多くて、まさかライオンを連れてるリンくんになんて目もくれない。
「ねぇ、リンくん。わたしはポーズも上手に取るし、勝手に動いたりしないから、いいモデルでしょ?」
「ほんと、ボブこさんは姿勢もいいし、美しいねぇ。コスモスがとってもお似合いだよ。」
カシャカシャカシャ。
リンくんは2台のカメラを抱えて、アッチコッチの角度からシャッターを押している。
「あ、ちょっと待ってて。ボブこさん、一旦中入ってて。」
「ン?はぁい。」
わたしの撮影パートが終わると、リンくんはロケハンがてら、ひとりでコスモス畑の撮影に行ってしまった。
「エンチョォ。」
エンチョーのトートバッグに入って抱っこされて、次の出番を待つの。
通りすがりのご夫婦の話では、先週はまだ丈も短くて花も少なかったらしいの。この一週間でずいぶんと開花したんですって。
「でも、今日コスモスフェスタ、最終日のはず。明日には花が刈り取られちゃうんだよね。こんなに満開で、なんだかもったいない気もしちゃうけれど。」
ちなみに、ココは来訪者向けの刈り取りサービスもあって、100円で5本、300円で刈り取り放題でおうちに持ち帰ることもできるの。まぁ、我が家は植えるスペースもないからやり過ごすのだけど。
「ボブこさーん!コッチコッチ!ココらへん立ってみて?」
「はぁい。」
そう、またリンくんに呼ばれて、別のショットを撮り始めた。
ふるさと広場、いつもどうもありがとう。
すてきなお花畑、わたしの大好きな場所。
ふるさとの満開のコスモスは、秋のひとつの楽しみね。
明日にはきっとまっさらになってしまうけれど、次の春に向けて今度はチューリップの準備が始まる。
そうやって、季節が巡って、わたしも少しずつお姉さんになるのね。
気持ちよくスッキリ晴れた空に向かってまっすぐに伸びゆくコスモスの茎のように、わたしもグッと背伸びをしてみた。
コスモスさん、いい秋の日をありがとう。
ボブこ
佐倉ふるさと広場 千葉県佐倉市
https://www.city.sakura.lg.jp/soshiki/koenryokuchika/3/5/15384.html