ライオンボブ家、虹のバスに乗る(前編)
みんなー!夏、マンキツしてるぅ?
ライオン三兄弟の末っ子、ボブぞだよっ。
おで、今年の夏に、どぉしてもやりたいことがあってね。
ケンイツエンチョーにおねだりしてみたんだ。
ねーねーねねーねーねー!エンチョー!今日、なにして遊ぶぅっ?
おっきな声で話しかけて、おではエンチョーの後ろから、左肩の上にトンって乗った。おでの定番の、おねだりポーズだ。
なぁなぁ、エンチョってばぁー!なにして遊ぶのー?なんか楽しいことしよ?どっか行こ?
おー!ボブぞ!朝から元気印だなぁ。
じゃあさ。ついに、「例の場所」、行ってみっかー?ボブぞ、バスが通るたびに、いつか行ってみたいって言ってたよね。
エッ!ホントっ?おで、行きたーい!!!やったぁ!
リーンくーん、ねね、バスの時刻表調べてっ!ホラっ!はやく着替えてっ!行っくよー!
おでが今年の夏に、どぉしてもやりたいこと。
それは、「虹のバス」に乗って、終着駅まで行くことなのだ。
ちょっちょっちょっと!急だねぇ!
・・・バス、あと25分後に来るみたいよ。ソッコーで家を出ないと!
何いってんの、おでらはもう準備万端だよ、エンチョーももう準備できてるし、リンくんだけだよ。はやくっ。ホラ!置いていかれたくなかったら、「40秒で支度しなっ!」
ぐふふ、いちど言ってみたかったんだよねー、なんてのんきに構えていたら、リンくん、本当に40秒とは言わないけど、一瞬で身支度を終えた。
おまたせ!
よーっし!いざ!シュッパーツ!
スタスタと早歩きで最寄りのバス停に向かった。時刻表を改めて眺めると、朝9時台は2本。10時台は1本しかない。時計を見ると、いつバスが来てもおかしくない時刻だった。
ふぅ。間に合ったね、たぶんだけど。
今日は少し雲が多いけど、やっぱり暑いことに変わりはない。陽射しがないだけまだありがたいけどね。はやくバスに乗ってヒンヤリしたい。
定刻より10分ほど遅れでバスが到着。小さなバス停だから、ちゃんと停まってもらえるように、おではちょっとだけ背伸びをして待ってたのがよかったかな?運転手さんはおれらの姿を確認して、きっちりと目の前に停車してくれた。
・・・ピッ。・・・ピッ。
PASMOをタッチして、エンチョーとリンくんと乗り込む。ニンゲンの分だけ音がした。ライオン料金はいらないのかな?ハテ?と思ったけど、さっき運転手さんはおでの顔をしっかり見てたはずだし、何食わぬ顔で乗り込むことにした。
さぁ。いよいよ、ライオンボブ家のバス旅がスタートだよ!
今日の目的地は、このバスの終点、「船尾車庫」。
そしてね、このバス、「レインボーバス」っていうんだよ!とってもステキな名前でしょっ?虹の架け橋みたいなワクワクする名前の乗り物なんだ。
なぁなぁリンくん?レインボーバスの車庫なんだから、きっと夢みたいなカワイイバスがいっぱい停まってるんだろうねー!おで、わくわくドキドキ!
おで、夏の大冒険だもん!船尾車庫に一体なにがあるのか、知りたいんだもん!ずっと気になってたんだ。
あのさ、立派なライオンになるためには、ちょっとくらい冒険は必要でしょ。怖くなんかなーいさー!
アハッ、それ言うなら、しーんぱーいないさぁー!でしょ。
あっ、間違えた。でへっ。
ボブぞ、大人っぽくなってきたねぇ。頼もしいね。
おでらが空席だらけのバスの最後部の座席に座って、コソコソとおしゃべりをしている間にも、いくつもバス停を通過していく。乗ってくる人も、降りる人も、ほとんどいないからだ。
このバス路線は、主に県道を走っていくから、これまでにもうちの愛車のモビスケで通ったことはある。あるにはあるんだけれど、バスに乗って見る景色というのはちょっと違って見えた。だってさ、虹に乗ってるんだもんね、ちょっとだけいつもより上から見下ろす感じになって、世界が違って見えるから、おもしろい。
なーぁなーぁ!ここ、こんな建物あったっけ?
いちばんはしゃいでたのは、実はケンイツエンチョーだ。いつもモビスケの運転手をしているから、車窓から道の両側をキョロキョロしては、新たな発見をして声を上げている。
おでらライオンを乗せた虹のバスは、交差点を、右折した。
真夏の大冒険、ついに、右折!!!そう、ついに、「船尾車庫」へ向かうのだ!
おでがワクワクドキドキしながらドラマチックなゴールを思い描いていたら、車内放送が流れた。事前に吹き込まれた女性の声の、ちょっと機械的なアレだ。まもなく、船尾車庫、終点です。この先、お乗り継ぎの方は、乗継乗車連絡票が必要となりますので、運転手にお申し出ください、的な内容だった、だけど、ちょっとよくわからなかった。
ン?なにか言ってた?乗り継ぎがナントカって?何?
え?なんか今言ってたね。んーっと、このあと、どうしよう。車庫についたはいいけど、そのまま折り返すのも・・・ねぇ?ま、運転手さんに聞いてみよっか。
運転手さんはちょうどバスを停車させたところだった。最後部の席を立ち上がって、降車口まで向かう。他に客はおらず、降りるのはおでらだけだ。
ご乗車ありがとうございました。終点の「船尾車庫」に到着です。
あのー。乗り継ぎナントカ票っていうの、お願いします。
そう言うと、運転手さんはピンク色の紙を取り出した。ちょっとした切符みたいのが出てくるのかと思ったから、大きくてビックリした。おおげさじゃなく、おでの顔くらいある。
えーっと、次の行き先はどちらですか?
ペンを取り出して、何かを書き込み始めたのだ。
ン?ほぉ?・・・・・?
初めて見るこの仕組みがよくわからないままだったけれど、リンくんがとっさにこの後の行き先を伝えた。おでらは、運転手さんからピンク色の紙を受け取って、ようやく下車することができたのだった。
トン、トン、トーン!
足取り軽やかに、バスのタラップを降りる。
ついに、あこがれの「船尾車庫」の地に、とうちゃーく!
おでのアゲアゲテンションに反して、そこには、ゆるやかな空気が流れるバスたちの寝床があった。
鼻をクンクンさせると、ガソリンの臭いに混じって、草と土ぼこりの匂いがする。敷地内には、平屋の建物があり、よく見ると表札が出ている。
「ちばレインボーバス株式会社」
どうやらこの「虹のバス」の本拠地のようだった。
おれ、ちょっとイップクしてくるね。
エンチョーは隣のコンビニで小休憩だ。おではその間に、憧れの「船尾車庫」で記念撮影をさせてもらうことにした。
わふっわふっ!鼻息荒くはしゃいでいると、一台のバスが停留所スペースにやってきた。
あ、もしかしてこれ、乗り継ぎのバスかも。エンチョー戻ってきたら、乗るからね。
ウンっ。
ボブぞ、終着駅、こんな感じだったねぇ。
ウンっ。
来てよかった?
ウンっ。
そっか、ならよかった。・・・。
明らかに、リンくんのテンションは上がりきっていないように見えたけど、おではそんなこと気にしない。来てみなくっちゃ、見てみなくっちゃ、わからないもん。おで、なんでも楽しい。みんなで来られて良かったって思ってるもん。
プスン、バゥるるるる・・・。
エンジンがかかった。行き先の表示は、「木下駅」行きだ。運転手さんはさっきとは別の人で、不思議そうな面持ちを隠すことなく、おでとリンくんのことをじっと見ているようだった。
前振りなく、急遽ライオンを自分のバスに乗せることを不安に思ったのかもしれない。もしくは、さっきの運転手さんから、この後、ライオン家族が乗るから、どうか丁重にもてなすように、と引き継ぎを受けてきたのかもしれない。いずれにしても、エンジンがかかった以上、発車時刻が近いのかなと思い、エンチョーと合流して、再度、「虹のバス」に乗り込んだのだった。
ライオンボブ家、虹のバスの旅路は、後編に続く。
ボブぞ
※Rin注: 後編では千葉NT駅へ行くよ!お楽しみに🎵
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後編はコチラ!
「ライオンボブ家、虹のバスに乗る(後編)」
https://bobingreen.com/2022/09/02/2575/
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