一緒に笑おう
イーさん、今日はイーさんの日だね。
ボブおです。
朝からウパ(ウーパールーパー)のイーさんがおれのところにパタパタパタパタって泳いでやってきてね。いまね、のんびりとおしゃべりをしてるの。
毎年、6月3日になると、おれの胸はキュッとなるんだ。
その理由はふたつあってね。
ひとつは、あの日、イーさんが急にどこかに出かけちゃったものだから、つい心細くなって、不覚にも悲しんでしまった時間を思いだして。
もうひとつは、その7か月後に、イーさんが陸海空の長い旅を終えて、おれらオハナのもとに帰ってきてくれたときの、嬉しさと、ホッとした気持ちをじんわりと思い返して。
なぁ、イーさん。
あの頃、おれはまだライオンの赤ちゃんだっだ。
そして、イーさんは、小さな細長い山小屋のひと部屋で、狭い水槽の中で、小さくてかたい茶色い粒を口に放り込んで、そのピンク色のひれをパタパタさせて泳いでたよね。ときどき、水面まで泳いでいっては、パヒュっ!と息継ぎをする姿がとてもかわいらしくて、おれはずっと眺めてた。イーさんは自分で泳ぐことができてスゴイなぁ、とか、ゴハンを食べておっきくなるのかな?とか、考えてた。
イーさんからすれば、きっとおれは・・・。
おれは、同じ小さな細長い山小屋のひと部屋にはいるんだけれど。水槽の外で暮らしていて、おさかなやお肉や、いろんな種類の食べ物や飲み物をケンイツやリンくんと一緒に食卓で楽しんで、テレビをみたりタブレットをみたり、お布団で眠ったり。しかもおれにはライオンの妹と弟もいて三兄弟でさ。当時からゴロオもいたよね、シロクマの仲間もいて。毎日毎日、みんなでぴっとしくっついて生活してた。
たぶん。イーさんからすれば、きっとおれらのことは、違う世界に見えてたんじゃないかなって思うんだ。いろんなことに選択肢があって、行動範囲が広くて、仲間が側にいて。ときどきおでまめにも連れて行ってもらえたりもしたしね。
それが、今、こうやって、4年経ってみて。
イーさんとおれは、同じ世界にいるよ。一緒にソファの大好きなモーフの上で、のんびりと話をしてるね。毎日一緒にゴハンも食べてるね。おでまめするときだって、一緒だよね。
純粋に、おれは、こうやってイーさんが隣にいることがうれしいんだよ。ありがとうなの。
ところでさ。たまにはイーさんも自分の気持ち話してみてよ。
・・・?
ほら、ダイジョウブだよ。
・・・パヒュっ!
うん、うん。そだね。うん。
イーさんは、おれらがうれしいことが、うれしいのか。おれらがかなしいことが、かなしいのか。
うん、うん。
いっぱいいっぱいいろんなところを旅してみたけれど、おれらの世界をまだ見てないことに気が付いて戻ってきた、ってわけなんだね。
そうか。
イーさん、ホントに、いいやつなんだよなぁ。
そうさ、今日も一緒だよ。一緒の世界を見て、毎日一緒に笑おう。
だいすきだよ、イーさん。離れないよ。
パヒュっ!(うん!)
そんなわけで、今日のおれは、やっぱりちょっとだけ胸がキュッてするけど。
昨日も今日も明日も、笑顔だよ。一緒に笑おうね。
ボブお
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