秩父の雨のにおい

“秩父!”

ふぅー・・・。

荒川のほとり。夕方5時。
わっしは1日目の工程を終えて、お宿でようやくノンビリ。ほっと一息ついたところだ。

ころすけです。
秩父に来てます。リンママちゃんのお誕生日祝い旅行のお供なのだ。

“ふぅー・・・。ほっと一息。”

去年、紫色のコキコキの実を食べてコキ人間になったママちゃん。先日、コキ人間になってから1才を迎えた。去年の今頃はまだキンキュージタイセンゲンだったし、リンくんはまだワクチンチンも打ってなかったことを思うと、今年は隣県といえども電車に乗ってお泊まり旅行ができてうれしい。

今日イチニチを思い返すと、起きたのは朝4時。もうすでに13時間近く精力的に活動してると思うと、わっしはもうシジュウのおっさんなのに頑張るなぁって思う。

秩父は初めてだというリンママちゃんのために、リンくんがプランを考えて、わっしが一緒にエスコートした。秩父三社のうち二社をまわったし、秩父のお蕎麦も食べた。新緑のもみじとカエデを見た。
どんなに事前にプランを考えても予想外のできごとは起きるもので、秩父神社の美しい彫りを見てもらいたいと思っていたのに修復工事中だったり、長瀞の岩畳の景色に興奮したリンママちゃんが杖ついてグングン攻め歩くものだからリンくんの方がついていくのにいっぱいいっぱいになったり、お蕎麦屋さんの天ぷらが多すぎて一人前をニンゲンふたりとクマひとりで分けても食べきれなかったり、お宿までのタクシーが捕まらなくて急遽送迎してもらったりした。
そうそう、暑さしのぎのために博物館に入ったら、埼玉の地層について勉強することになったり、パレオなんちゃらっていう秩父鉄道のキャラクターの名前になった恐竜の化石にも出会った。わっしとリンくんにとっては何度目かわからないくらい来てる秩父なのに、新発見がたくさんあった。リンママちゃんはやっぱりケラケラと笑って、よく歩いて、よく食べて、iPhoneで写真を撮りまくった。

ふぅー・・・。
そんなわけで半日を濃厚に過ごしてきて、ようやくの一息なのだ。

風呂上がりのリンくん。片手には缶ビール(めずらしくノンアルコールだ、夕食時のカンパイに備えて今は控えるらしい)。わっしはもう片方の小脇にムギュと抱っこされている。

荒川の上流、このお宿は、川沿いにひっそりと建っている小さな温泉施設だ。リンくん自身も行ったことがなくて、静かそうでアクセスの悪くない場所というチョイスだ。実際のところ、ここまでの道中は、ブドウ畑だとかいちご畑だとかいう看板が並び、町からは離れている感じがする。

チェックイン後はひとしきり部屋の設備や窓からの景色を楽しんだあと、リンママちゃんとリンくんは早速大浴場へ。オスくまのわっし、ひっそりと女湯に同行しようかとも思ったけれど、オッサンだしさすがに言い訳がきかないと思って、気が引けたので部屋で待ってることにした。無駄なくらいでかいベッドの上だ。

“ベッドの上で帰りを待つ”

小一時間してリンママちゃんが戻ってきた。長風呂が苦手だから、リンくんを置いて先に部屋に戻ってのんびりしてるという。そうこうしているうちにリンくんが、わっしを連れに戻ってきた。

ころすけと一緒に、ちょっとお宿探検してくるね。

2階にある部屋から階段を下りてラウンジに出ると、大きなガラス窓の扉の向こうには、一面の緑のモコモコが見える。眼下には荒川が流れていて、ゴツゴツとした石の川端には、「荒川ライン下り」の小さな白いバンが止まっている。空は灰色で、どんよりとしているが、その重さが川の景色には似合うと思う。

ガチャっ。

リンくんが大きなガラス窓の扉を開けて、畳敷きのスリッパからテラス用の外履きに履き替えた。わっしは抱っこされているから、はだしのままのチビクマだ。

あれっ、雨粒。

誰もいなくなった隙を狙ってテラスにでたつもりだったのだけれど、そぉか、どおりでついさっきまでテラスにいたカップルが、室内のテーブルに移動したわけだ。彼らはラウンジで残りの瓶ビールを酌み交わして楽しそうに話している。雨を避けようと移動した様子だった。

ポツ、ポツ、と水玉になったテラスのデッキが、すぐにびしょびしょになる。サーッっと本降りになった。けれど、リンくんとわっしは、気に留めずにテラス席を選ぶことにした。さっきまでカップルのいたテーブル席ではなく、頭の部分が建物のひさしで守られている、独り用のチェアを陣取った。

そう、この川の景色を望むテラスを独り占め、いや、わっしとリンくんとの二人占めにした。

“でっかいチェア。わっしがちびクマだから?”

プシュ。

いい音。風呂上がりのおビータイム、最高。

さ、ころすけ、わたしのお膝においで。

おう。

ころすけ、今日はおつかれ、カンパイ。

おう、おつかれさん。カンパイ。

わっしはおとなしく従って、リンくんの膝に座った。

リンくーん、ママちゃんお祝い、おつかれ。

ころすけ、ママちゃんお祝い、おつかれ。

そうやって、わっしらは今日の朝から半日の、互いの功績をねぎらった。

さ。この後は夕飯だ。どんなごちそうかねぇ?ワクワク。

リンくん、お願いだから、飲みすぎ注意ね。

はいはいな。気を付けてるよ、だからいまもノンアルじゃん。

はいはい。わっしちゃんと見張ってるからね。おうちでお留守番してるみんなからきつく言われてるんだ、リンくん飲ませすぎないでよって。

そうだね、ママちゃんお誕生日おめでとうの、楽しい会にしようね。

うっす。

さぁ、リンママちゃんコキ人間1才おめでとうの準備しよう。

雨のにおいをクンクンにかぎながら、わっしらはラウンジの中へ戻っていった。

ころすけ

“朝4時起きだったのよ・・・”
“ラビューん!!!”
“めんまちゃーん🥰”
“コロちゃんというカエルさんところすけ”
“想定外に野菜天ぷら、盛り良すぎ!”
“名物長瀞の川下り。わっしとリンくんは泳げないので川遊びはパス”
“秩父鉄道のキャラクターは「パレオパラドキシア」がモデル?”

“りらーっくす!!!わっしだってもうシジュウですからね。”
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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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