真夏の「ふなばしアンデルセン公園」とおでのヒマワリ

「さぁて、今年はドコのヒマワリを見に行こうかね?ねぇ、ボブぞ?」
「お?あで?佐倉のふるさと広場じゃねーの?」
「ホラ、今年はさ、春のチューリップが終わったあとは、あのエリア一帯、リニューアル工事が入るって話だったじゃない?だから、ヒマワリのイベントはないんだよ。」
リンくんとそんな話をしたのが、ちょうど先週のことだった。
オトモダチのみなさーん、こんにちわーに!
おでだよ、ライオンのボブぞ!ライオン三兄弟の末っ子のボブぞぅだよぅー!
「アハッ!もう読者のみんなはボブぞのこと、よく知ってくれてるんじゃない?相変わらずアピール激しいね。」
いいんだよぅ。ねぇ聞いてよぅー!
「ハイハイな。」
おでねぇ、あのねぇ。毎年言ってるけどさー、ナツオトコなの!ナ・ツ・オ・ト・コ!
8月生まれの正真正銘の夏男なの!
そんでね、そんでね。おで、だから真夏に咲くでっかい黄色いお花、ヒマワリがとっても好きなの。
ヒマワリ見るとねー、おでも元気もらうの。元気印の証みたいなもんなの。
だから、毎年必ずヒマワリの咲いている場所へ行って記念撮影してもらうんだけどね・・・。
「そーゆーわけなのかぁ・・・。」
そう。リンくんが先週話していた通りで、ここ数年定番で見に行っていた佐倉ふるさと広場では、今年はヒマワリのイベントはないらしいの。
「んで、じゃードコ行くの?」
7月下旬の超晴れて超アッツイ、最高気温35℃だという猛暑日に、リンくんに連れ出されたおでは、もう家を出た瞬間からグダグダだった。
「えー!例年だったらクルマだったのにぃ・・・!今年は電車とバスで行くの?ハァ・・・?」
「ゴメンよー。まぁ、ホラ。ボブぞはわたしのリュックの中でゆっくりしててくれればいいから。モデルさんはね、撮影するときに出てきてくれればいいから。ね?ね?」
そんなわけで、リンくんが今年の撮影場所に選んでくれたのは、お隣町フナバーシ(千葉県船橋市)にある、「ふなばしアンデルセン公園」。もちろん運転手(ケンイツエンチョーのことだ)がいればクルマで・・・という選択もあったけれど、今回は平日に行くことにしたんだって。(ちなみにリンくんは超ハイパーゴールドなペーパードライバーでしかも不注意極まりないので、絶対にハンドルは握らない。)
「アンデルセン公園って、めっちゃくちゃ人気なんだよ。しかももう子どもたちが夏休みに入っちゃったから、土日になんて行ったら激混みだよ?無理無理。」
というのが理由だそうな。
おうちから電車とバスを乗り継いで、1時間・・・と、もうちょっとかな?千葉県のなかでも船橋市というと船橋駅付近の繁華街のイメージがあるかもしれないけれど、この「ふなばしアンデルセン公園」のあるエリア周辺は、林や畑、それから工場や倉庫が立ち並び、民家さえも多くなく・・・というかなりのどかな場所である。近くには大きな基幹病院があって、その病院へ行くバスに乗っておでらは途中下車をし、そこからテクテクと歩いてやってきた。



バス停からイチバン近いのは北ゲートだ。入園すると、すぐ目の前に現れた巨大な像にごあいさつをした。
「おぉ。よぉ!太郎じゃねーか!」
「アハッ!ボブぞ、偉そうすぎるでしょ。岡本太郎だぁねぇ。」


「ふなばしアンデルセン公園」に来るのは今回で4-5回目といったところだろうか。ざっとした地図はアタマに入っているけれど、あの広大な敷地を、このクソあっついなか回り切れるほどリンくんに体力があるとは思えない。
岡本太郎の「平和を呼ぶ」像を横目に、ぐんぐんと公園の中を進んでゆく。
「ヒマワリの時期に来るのは初めてだからなぁ・・・?ドコで咲いてるんだろ?」

公園内の遊歩道は舗装されていて、真夏の日差しの照り返しが激しい。芝生エリアにはちびっこたちがびしょびしょになって遊べる水遊び場があり、その周辺にポップアップテントがたくさん並んでいる。子どもたちを遊ばせつつ、日陰で荷物番をしているパパさんママさんや、じぃじやばぁばの姿が目に入った。
「うひょー!気持ちよさそうだぞー!・・・でも、おで、水ニガテ・・・。」
「アハッ!そうだよねぇ、そうだよねぇ。ボブぞはお水はNGだもんね?」
「そーさぁ。おでが濡れちゃったら、乾くまですげー時間かかるろ?なによりも、”水も滴るイイ獅子”になっちゃうしな!」
リンくんは汗だくになりながら、ヒマワリスポットを探して歩みを進めていく。
園内でいちばん大きい池にまたがる「太陽の橋」を渡り、「メルヘンの丘ゾーン」に入る。橋を渡りきったその向こうに、「ふなばしアンデルセン公園」のシンボルでもある風車が現れた。
「おー!風車、カッケー!」

チーバ県内には風車が3つあると言われていて、ひとつめはおでらがお花の季節ごとに訪れる、「佐倉ふるさと広場」(ただし、先述の通り、今年の春のチューリップを最後に、しばらく一帯の改装工事に入っているためイベントはしばらくない。)。ふたつめは、カーシワ(柏市)にある、「あけぼの山農業公園」。そして、みっつめが、ココ、「ふなばしアンデルセン公園」だ。
それぞれ風車のサイズ感やデザインが異なっているから好みはあるかと思うけれど、ココ、「ふなばしアンデルセン公園」の風車のいいところは、世界観が統一されている、ということだと思う。要するに、公園の名の通り、アンデルセンの描くメルヘン世界を体験できるのだ。デンマーク風の建物の数々とよく手入れのされた庭園のなかにそびえ立つ風車は、なかなかに美しいもので、まるでちょっと旅行してきたかのようなキモチにさせてくれる。

まるでテーマパーク(いや、「ふなばしアンデルセン公園」はれっきとしたテーマパークなのかも?)のような作りだから、ドコを切り取っても絵になるのはすごいいいと思うんだな。
「おで、佐倉ふるさと広場のあのだだっ広ーい田舎の景色と京成電鉄が見えるのは大好きで親しみがあるけれど、コッチもいいなぁ!いいなぁ!」
平日に来たということもあってか、はたまた、ちびっこがジャブジャブ遊ぶ池からはちょっと離れているからか、この風車周りにはほとんどニンゲンの姿がなかった。
過去何度か訪れたなかでもこの風車の周りに関してはイチバン空いていて、広角で写真を撮っても誰にも邪魔されないで済んだのだった。
「すげー!コレ、消しゴムマジックしたわけじゃないんでしょ?」
リンくんから見せてもらったおでの写真は、ドーンと立派な風車を独り占めしていた。
「消しゴムマジックするわけないじゃん。ありのままのボブぞですよ。」
「やったー!やったね!おで、今日ラッキーじゃーん!」


風車をぐるりと取り囲む花壇からピンク色の際立つコミュニティーセンターのほうを見やると、そこの花壇で黄色い花々が咲き誇っているのを発見した。


「ヒーマーワーリ!そうだった!今日、おで、ヒマワリと撮りに来たんじゃんっ!」
「ボブぞ、わぁった、わぁった。でもさ、ちょっとだけ、休憩していい・・・?」
入園してからココまでまだ30分ほど。でもすでにリンくんはバテ始めていた。
すぐそばにあった日陰のベンチに腰を下ろす。

「まじ・・・アッツ・・・。。。」
お茶をグビリグビリとやり、首には氷のうを当てている。
「アーッ!アーッ!リンくーん。この向こうに、めっちゃヒマワリ畑あるんですけどー!」
おではついに発見した!「花めいろ」とかかげられたそれの一帯は、一面ヒマワリの花が夏の太陽に向かってめいっぱいに大きな手を広げていた。すぐそこの花壇のヒマワリとは種類が違うんだろう。お花屋さんで見るような花束に入っていそうな上品な花ではなくて、自然いっぱいの陽の光を浴びた、正真正銘のヒマワリのように見えた。


「おぉー!コレコレ!ココで撮ろ!ね?」
「よっしゃ。んじゃー、ボブぞさん、あまりに灼熱が過ぎるんで、30分一本勝負でお願いします。」
「おうよー。おでだって日焼けはしたくないもの、モデルさんですもの。」
リンくんはここでようやくカメラを構えると、おでとヒマワリとの構図を選び、それからカメラの設定をガチャガチャとやり、撮影を始めた。
カシャッ・・・カシャッ・・・
「いいですねーボブぞくん。やっぱりキミはナツオトコだぁねぇ!ヒマワリが似合うね。」
「うふん。うふん。」


アレやコレやポーズを取る余裕もない。本当は、とにかくこの日差しから逃れたくて、早く終わりたいのだ。朦朧としながらちょいと遠くに目をやると、三人組のおネーさんたちが、おでらが来るよりも前からずぅっと撮影を続けていた。ひとりはでかいカメラを構え、ひとりはレフ板を持ち、もうひとりはド派手で露出の高い衣装を身に着けてポーズを決めていた。
「おぉー・・・コスプレ撮影会っぽいね。こんの暑いのに、タフ!すごーい。」
ボソボソとしゃべりながら関心をしているリンくん。
「いいから、おでのコト集中して撮ってよー!」
「あぁ・・・失礼しました!ハイ!じゃーもうワンカット!」

おでとリンくんとの撮影会はいつもこんな感じでグダグダしているけれど、そーか、おでもそのうちレフ板とか当ててほしいなぁ・・・って思っちゃった。
ま、そのためにはもうひとりニンゲンが必要だけどなぁ。
この「花めいろ」の中には先の三人組のほか、ちびっこ連れのファミリーやカップルが数組、出たり入ったりしていたが、広さの割には決してニンゲンの数は多くはなく、撮影には絶好の日だった。
その代わり・・・といってはなんだけれど、数え切れないほどのヤツらがブンブンと楽しげに飛び回っていた。
ミツバチさんたちのことだ。
リンくんってねー、あのねー、毎年のことなんだけどねー・・・おでとヒマワリ畑の写真を撮るんだ!って言いながらね、後半はミツバチを撮ることに一生懸命になっちゃうの。なんだか知らないけれど、ハチの飛んでる写真を撮りたくなるんだって。
わかってる、、、毎年のことだから、おで、知ってるけどね・・・。
ブーン・・・ブンブン・・・!
(ミツバチはクマンバチほどブンブン羽音はたてないけれど)近くにいるハチにピントを合わせ始めた。
「おぅい!おでじゃないの?おではもう終わり?」
「あ。。。えーっと。うん!終わりにしよっか!暑いし!」
「あっ、ソーォ?いい写真、撮れたんだよね?ならいいけど・・・。」
「撮れた撮れた、うん、だからね、えっとね、リュックに入って休んでていいよ。」
リンくんは急に早口になっておでにそう告げると、ギュウギュウとおでのことを自分の背中のリュックのなかに押し込めたのだった。
「リンぐーん!ハチさんの写真撮ってもいいけど、絶対に倒れないでよ?10分だけね。ホントだよ。」
おではリュックのなかからそう叫んだ。できるだけ大きくて、切実な声を出したつもりだった。
「おーげー。りょうかい。」
ひとこと返すと、リンくんはファインダーのその小さな世界に集中したのだった。


フゥ・・・。
ってなわけですよ。それでまぁ、結局さすがのリンくんもこの暑さには耐えられなかったみたいで、ちゃんと約束どおり10分で切り上げた。
おでとリンくんとのヒマワリ撮影会は、今年も無事に終了した。
来た道を同じように再度戻って行く。
風車の広場ではまるでびびびびびとビームが発射されたかのようにハッキリとした飛行機雲が伸びていて、それは天気が下り坂になるかもしれない合図だというのをおでは知っている。

「リンくん、帰ろ!雨降るかも!」
「えー?マジで?こんなめっちゃ晴れてるのに?」
「いいから!いいから!」
おでらは真っ青な空のもと、ヒンヤリとしたミストを浴びてうひゃぁとかうひょぉとか言いながら、帰りのバス停を目指したのだった。

おでの大好きなヒマワリが今年も咲いた。
おでの長い夏はまだ始まったばかりだ。
ボブぞ






ふなばしアンデルセン公園 公式ホームページ
https://www.park-funabashi.or.jp/and/
「ひまわりまつり」(ふなばしアンデルセン公園)
日程:2025年7月19日(土)~2025年8月31日(日 )
場所:園内
園内が約2万株のひまわりで彩られるほか、メルヘンの丘 ゾーンに広さ約600㎡のひまわりめいろがオープン。
https://www.park-funabashi.or.jp/and/aevents/event_himawarimaturi.html
「ロケハン隊長より愛を込めて」
https://bobingreen.com/2023/07/25/5796/
「夏をぐんぐん進む」
https://bobingreen.com/2024/08/09/10029/
「夏のお日さまにはライオンだってさからえない」
https://bobingreen.com/2023/07/16/5641/
「ヒマワリ畑のミツバチさんのこと」
https://bobingreen.com/2022/07/17/2310/
「元気印のひまわり畑」
https://bobingreen.com/2021/08/09/1112/