ずっと一緒にいる?
ジィーっと。
明け方、おれのおなかのうえで、ジィーっと見つめる白いまぁるいカタマリ。
アザラシのフクだ。
「ねぇ。ずっと一緒にいる?」
痛いほどまっすぐな黒い瞳で、彼はおれに話しかけた。
夢の中だったのか、それとも、覚醒していたのか、今ではわからない。
ただ覚えているのは、フクのあのまぁるいカラダのずっしりとした重みだ。
生命と言葉と精神の重み。
「ねぇ、フクとずっと一緒にいてくれる?」
そういって、おれの目の前で不安げに微笑んだ彼。
うん。一緒にいよう。絶対に。
おれはそう約束した。
ケンイツ