入院患者の皆さまへお願い?否、鰻とおれのたんじょうび – リンくんが入院した その2
「ハイ、ボブお。これ読んでみて。」
ほぅ?うん?なに?
「”入院患者の皆さまへお願い”?」
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「うん、そうそう。あぁ、時間がもったいないや、うん、ハイ、裏を見て。」
そういってリンくんはみずから手を出してこのお知らせの紙の裏面をおれに見せてきたんだ。
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「お。鰻だ!『おれ おたんじょうび うなぎ くいてえ!』ってなにコレ?」
「ボブお、おたんじょうびおめでとう。ギュッ。」
リンくんはそういっておれのことを抱き上げると、両の腕にチカラを込めてムギュとおれのことをハグした。
オトモダチのみんな、こんにちわーに。
おれ、ライオンのボブおです。
昨日に引き続き、今日もリンくんの入院するビョーインへお見舞いにやってきたぞ。
ん?なになに?エ?あぁ?ハイハイ?ほうほう。うんうん。
アラッ!勘のいいみなさんだから、気付いちゃった?
アハーん。そうそう。それそれ、それよー!
おれ、今日、おたんじょうびなの。
自分で言うのって、こっぱずかしーなー!おい、おい、誰か言ってくれよ。
司会がさ、ステージ上で「今日のゲストはおれでーすっ!」って言ってるみたいってことだろ?
んもーんもー!やだーださーい!おれ、ださいライオンじゃーん!たんじょうびなのにーぃ!
「もし。ニーちゃん。もし。ひとりで盛り上がってる?」
「ン!お!なぁんだ!ボブぞじゃぁないかぁ!」
「そだよ、さっきからずぅぅぅぅぅぅっととなりにいますけど?」
「うん、そだね。」
「気づいてるんかーい!」
フハッ!
いやいやココでライオン兄弟で漫談をやる余裕はないのよ。
だって、制限時間は20分!
そう、今日も、20分。
リンくんの病室に入ってから、出るまでで、20分だ。
(詳しくは前回のお話を読んでね コチラ → 「リンくんの外泊 – リンくんが入院した その1」)
しかも、今日はね、メンバーが多いよ。リンママちゃん(リンくん母)&リンママちゃんちのオハナを代表して、ウサギのフロプシーとコアラのラアコがいらっしゃってます!
パチパチパチパチ!(効果音)
それから、我がボブ家より、ツキノワグマ兄弟登場っ!もぉぉぉぉっつ&ころすけ!
ワァァァァっ!(効果音)
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・・・ってヤバっ!もうあと10分じゃん。
(リンママちゃんはおれらがこうしてる間に、リンくんの入院関連書類を書いてくれてます。)
「ボブお。」
「ん?なに?」
「落ち着いて。今日はあなたのたんじょうびだから言わせてよぅ。」
「うん。いいよ。」
「ボブお。おたんじょうび、おめでとう!リン画伯、ボールペン1本しか持ってなかったから、あと、紙、入院書類一式の裏紙のなかから、コレくらいしか使えるのがなかったんだけど。これでも、しょぼいけど、恒例のバースデーイラスト。来てくれて、アリガト。他のごちそうとかプレゼントとか、そういうのはね・・・ケンイツエンチョーにスルーパスっ!」
リンくん。なんで鰻なの、いやまあおれは鰻好きではあるけれど、あ、なるほど、コレはケンイツエンチョーへのおねだりカードなのか。そうか、ほうほう。
ま、いろいろ突っ込みどころはあるのだけどね。
(恒例のバースデーイラスト 去年のお話はコチラ → 「ボブお、8才になる」)
ふーむ。なんか理解が薄っぺらいまんまだけど、そこをじーっくりとですね、ワイングラスを片手に語り合って相互理解を深めてどうのこうの、というシチュエーションではないのがビョーインという場所、そしてリンくんは、THE 入院患者。
せっかくのリンママちゃんとフロプシー&ラアココンビを差し置いてなんなんですけれども。
「リンくん、あざーっす!ゴチーす!(ありがとーございまーす!ごちそうになりまーす!)」
「あ、いや、ゴチーはエンチョに。」
「ニーちゃん、じかーんだよ。じかーん!」
うおっと。今日のボブぞ、珍しくコトバ少なだと思ったら、まさかのタイムキーパーだったのか。
「うん、だっておで、ピッチャーだからさ、脚より手よ。キーパーよ。エッヘン!おで、やるろ?」
「んじゃねー、おれはまた明日来るから。」
とエンチョー。
「じゃあね、来週平日来るわ、いつがいいかはLINEでね。」
とこれはリンママちゃん。
デジャブのように、昨日と同じくリンくんにエレベーターホールまで送られて、そして互いに手を振り合った。点滴を押して入院着姿のリンくんの、マスクをしたそのすき間から見える目もとは、昨日よりもだいぶん腫れが取れていたよ。右目なんかはね、普段に近かった気がするんだ。
ま、本人に言ったら、「もっとパチッとしてるもん」とか言いそうだけど。
でもリンくんもわかってて、一生懸命に見開いて回復をアピールしてくれていたんだと、思う。
うん、昨日よりさらに元気になってるのを感じられたよ。
そうそう、階下へ降りていく途中でひとつ聞き忘れたことを思い出して、ケンイツエンチョーに聞いてみた。
「リンくんさぁ、なんか知らないけど、入院してから3日しか経ってないけど、サッカーのたとえ、増えた?」
「何か・・・あったかな?」
もっつが、フフッと背中で笑っていたのをおれは見逃さなかったよ。
誰も知らないということにしておこう。
ボブお
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https://bobingreen.com/2023/06/15/5277/
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