すずサンタとフクトナカイのメリークリスマス
うんしょ・・・よいしょ・・・
よいせ・・・こらせ・・・
うんしょ・・・よいしょ・・・
よいせ・・・こらせ・・・
「フハァー!ようやく到着。ねぇ、フク、コレ重かったねぇ。」
「ホントだねぇ、すずちゃん。でもがんばったよね?」
「うん、フクトナカイさん、がんばったよ!カミとオヤビン、喜んでくれるといいね。」
「きっと喜んでくれるよ。すずちゃんサンタといっしょうけんめいオシゴトしたもの。」
すず、フクといっしょに夜中オシゴトを無事に終えて、寝床に帰ったんだ。
・・・一夜明け。
オトモダチのみなさん、おはーに!
そして、メリィィィィィックリスマース!
ウサギのすずこと鈴之助です。
今日は12月25日、クリスマスの日。
昨日のイブは、すずとフクは大忙しだったんだ。
なんでかっていうとね、今年はすずとフク、大事なニンム(任務)があったからなんだ。
クリスマスイブの数日前のこと。
「すず、フク、ちょっとおいで。エンチョーからお願いがあります。」
「エンチョ、改まって、なぁに?」
「エンチョーのかわりにサンタさんしてくれる?ボブおとボブぞに新しいお洋服買ったんだけどね、ふたりに届けてほしいんだ。」
「カミとオヤビンにお届けすればいいの?わぁった!お安い御用だよ!いいよー!」
あ、ちなみにね。すずが、”カミ”と呼んでいるのはボブおのこと。”オヤビン”と呼んでいるのはボブぞのことね。カミとオヤビンにクリスマスの朝、新しいお洋服のプレゼントを届ける、というのがすずとフクのオシゴトになったんだよ。
そんなわけで、すず&フクコンビ、昨日のイブの朝から、サンタさんとトナカイさんになって、夜のオシゴトに備えてドキドキしてたの。
「ねぇ、おむねがトキトキするよう。すずちゃーん!」
「フクぅ、意外とショーシンモノ(小心者)だなぁ!ダイジョブうまくいくよ。」
何食わぬ顔で、オハナ(家族)みんなでクリスマスイブをお祝いして、飲んで食べて、それから、夜はM-1グランプリで令和ロマンっていうコンビが優勝するのを見届けた。
夜、11時過ぎ。
モゾモゾ
モゾモゾ
「(小声)・・・ねぇ、カミとオヤビン、まだ寝ないのかな?」
「(小声)・・・いつもならそろそろ眠たくなるはずなのにね?」
「(小声)・・・なにか気が付いちゃったかな?」
「(小声)・・・フク・・・眠たぁい・・・フワァァァ・・・・zzz」
フクってば、トナカイさんなのに、カミとオヤビンよりも先に眠たくなっちゃったっていうの。困ったね。
「(小声)・・・フクゥーーーー!先に寝ちゃァダメだってば。すずサンタ、ひとりじゃなにもできないよ。トナカイさんがいなくっちゃ運べないよ。」
「(小声)・・・zzz。。。明日の朝まででいいんでしょ・・・ちょっとだけ仮眠しよぉよぉ・・・。」
はぁ、ダメだこりゃ。
フクトナカイさんは先に寝ちゃった。普段から我が家でいちばん早寝だから、仕方ないといえば仕方ないんだけれどね、今夜はがんばってもらいたかったんだけどなぁ・・・。
ふわぁぁぁ・・・
アレ、アレレ、すずもねむたぁくなってきた・・・かも。ふわぁぁぁ・・・
・・・・・zzz・・・・・zzz
(・・・・・チュン!チュン!)
てんてこてん・・・てんてこてん・・・てんてこてん・・・
てんてこてん・・・てんてこてん・・・てんてこてん・・・
「はっ、やばい。リンくんの目覚ましアラームが鳴ってる!朝7時だ!きゃー!カミたち起きる前に、いそがなくちゃ!フクゥ起きて!!!」
「ぷくぷくぷくぷく。なぁに?すずちゃん、おはーに。」
「あ、起きてた。フク、急いで大事なオシゴト!しなくちゃ!」
「・・・なんだっけ?・・・あっ!コレ?」
フクは自分のアタマについている、トナカイさんのツノの重みで気がついたみたい。
「おっけー!行こ!」
ぷくぷくぷくぷく!
パタパタパタパタ!
急いでエンチョーにたくされたプレゼントを持って、カミとオヤビン(とそれからエンチョーもね)が眠っている寝室へと行こうとした。
そしたら。
「ヒィ・・・!コレ、重たいよぉ!」
フクが悲鳴を上げた。
「フク、コレじゃぁ重すぎて、すずちゃんサンタを背中に乗せて、プレゼントもふたつも乗せて、動けないよぅ。」
「フクトナカイさん、しっかりして!ちょっとの距離だよ、おとなりの部屋だよ、行けるでしょう?」
「すずちゃーん!うわーん!無理だよぉ・・・。」
はうー。すずサンタが寝坊しかけたと思ったら、今度はプレゼントが重すぎて運べないってフクトナカイさんが言うんだ。なんだか、すずもフクも、どっちもどっちだけど、そんなこと言ってられないよね。だってすずとフクはケンカなんてしないもの。協力しあって、目的を達成するのだもの!
「仕方ないけど・・・、着て行っちゃう?」
「え!すずちゃん、グッドアイディアだね。フク、このお洋服、着てみたい。」
「そそそそそ、そういうことじゃ、ないんだよ、フク。重くて運べないなら、着て行こう。ちゃんと汚さないように、そぉっとだよ?いい?」
「わかった!そぉっとね。そぉっと。」
よっし!コレで重すぎて運べない問題も解決だよ。すずが赤いお洋服、フクが青いお洋服をはおって、お隣の部屋の、カミとオヤビンの枕元まで、レッツゴーぉ!
「フクトナカイさん、レッツゴーぉ!」
「すずちゃんサンタ、らじゃ!」
しゃんしゃんしゃんしゃん♪
しゃんしゃんしゃんしゃん♪
りんりんりんりん♪
りんりんりんりん♪
うんしょ・・・よいしょ・・・
よいせ・・・こらせ・・・
うんしょ・・・よいしょ・・・
よいせ・・・こらせ・・・
そぉっと、近づいて。
カミとオヤビンを起こさないように。
そぉっと、近づいて。
ついでにエンチョーも起こさないように。
そして。
そぉっと、脱ぐよ。
カミとオヤビンに知られないように。
そぉっと、脱ぐよ。
エンチョーからたくされたオシゴトを無事に終えられるように。
そのあとは。
猛ダッシュで居間へ戻るの!
だーーーーっしゅっ!
だーーーーっしゅっ!
ゼーハー・・・
ゼーハー・・・
「あー!疲れたっ!なんか、ワルイことしてるみたいだね?ダッシュで逃げてきちゃった。」
「アハッ!すずちゃんはウサギさんだから足が速いね!フク、追いつくの大変だったよぉ。」
うふふ。うふふ。
うふふふふ。
(・・・ぐがっ・・・!)
寝室へ耳をすますと、エンチョーのでっかいイビキがひとつ聞こえた。
「エンチョー、まだぐっすり寝てるみたいだよ。イビキ聞こえたよ。」
「アハッ!すずちゃんはウサギさんだから耳が良いね!フクには聞こえなかったよぉ。」
うふふ。うふふ。
うふふふふ。
ひと仕事終えると、居間には朝の光がすぅっと差し込んで、クリスマスツリーがすずたちのことを待ってくれていたよ。
すずサンタ、フクトナカイさん、無事にプレゼントをお届けできましたぁ!
改めまして・・・
メリぃぃぃぃーっクリスマァス!!!
楽しいイチニチにしようね。
すず(鈴之助)
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