うろこ雲と秋のTシャツ
「おわー!いい雲!なんだか、ようやく秋だねぇ。」
リンくんがTシャツを取り込むというから一緒にみどりテラスに出てみたら、頭上にはいい空が広がっていた。10月は5日、初旬の、これぞ秋の空。
こんにちわーに。ライオンのボブおです。
今朝の最低気温、16℃だったんだって。目が覚めておフトンから出て居間へ行くと、ちょっと肌寒いくらいでビックリした。先に起きていたリンくんは、部屋の換気のためにアチコチを網戸にして、扇風機まで回して、ストレッチして小汗をかいていた。
「なぁ、リンくん、寒くね?」
「あぁ、ボブお、おはーに。ゴメンゴメン、ストレッチしてたから。」
リンくんはガラガラガラと窓を閉めてから、再度、テレビの前に陣取った。画面には気象予報士の片岡さんが、寒暖差の話をしている。今日は最高気温28℃だって?エ?ホント?いま寒いくらいなのに?ビックリしちゃた。
そして、今16時過ぎ、おれはリンくんと一緒に秋風を感じている。
「なぁリンくん、今日って、ホントに28℃まで上がった?」
「いやぁ・・・さすがにそこまでは上がった感じしなかったよね。昼過ぎから日差しは出てきたけどね。ホラ、Tシャツのポケットのところ、まだイマイチ乾いてないもん。」
「それは、リンくんの干し方が悪いんでしょ、なんで裏返したまま干したの?」
「アハッ・・・すみません・・・。」
リンくんの家事は、ほんと、ズボラなんだよ、まったく・・・。
空を見上げると、西側に向かって、うろこ雲が広がっている。スゥっと、涼やかな風がおれのたてがみをなでていく。これを秋といわずして、いつ秋というんだろう。
だってさ、つい先週にもまだ30℃超えてたんだよ?夏がずうっと居座ってたからさ、急いでこの瞬間、秋の時間を楽しまなくっちゃ。あっという間に、冬が顔をひょっこり出してきそうだもの。
「ボブお。晩ごはん、何がいい?」
「ンー?うろこ雲・・・、おさかな?」
「だよねぇー。ボブおはおさかな大好きなライオンだもんね。」
「フハッ!そうだなぁ、でもまぁ、高騰してるからサンマってわけにもいかないしなぁ。サバとか?」
「そういえば、うろこ雲の仲間で鯖雲っていうのがあるらしいよ。秋鯖の季節に出る雲だからだって。」
「フーン。じゃ、サバ!」
「おっけー。じゃ、お買い物行ってくるから、ボブおも部屋のなか入って待ってて。」
うろこ雲を眺めて、秋の献立が決まるだなんて、あまりに食い意地が張ってるかな?ま、いっかぁ。
「リンくん、きのこも食べたいぞ。」
はいよー、と言いながらリンくんはエコバッグを抱えて玄関を出ていった。
秋を楽しむって、なんだかゼイタクなことなんだなぁ、うむうむ、と思いながら、リンくんが室内に干し直したTシャツを眺めた。扇風機の風にあおられてたけれど、やっぱり裏返したままだった。
ハテ、半袖も、いつまでかなぁ・・・。
ボブお
「うろこ雲・さば雲・いわし雲・羊雲…「秋の雲」の見分け方 All About
https://allabout.co.jp/gm/gc/220767/
「うろこ雲とひつじ雲 簡単に見分ける方法 東北から九州の広範囲で出現」 ウェザーニュース
https://weathernews.jp/s/topics/202010/070045/
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