笑う門には福来る 笑太朗のこと
「ヴンニャアーッ!!!」
「やぁ、笑太朗。久しぶり。」
「ニャァァァァー!よぉ!久しぶりだニャァ!」
「元気だった?」
「ニャァはいつだって元気だニャァッ!」
「福ちゃん(ふくちゃん)も、元気だった?」
「ニャー!」
「今日はね、笑ちゃん(しょうちゃん)たちに仲間を連れてきたよ。」
「ンニャ?」
「ホラッ。ゴマちゃん。ニコニコ笑っててさ、笑ちゃんと福ちゃんと、目元がソックリでしょ。」
「ニャッ?ネコじゃないの?」
「ま、そういうこともあるよ。ゴマちゃん、昔アニメ見てたでしょ?」
「うん、見てたニャ。どうぞよろしくお願いしますニャ!クックックッ!」
「キュー!」
ツキノワグマのころすけです。
今日は数ヶ月にいっぺんの、リンママちゃんちお泊まりの日なんだ。おれはリンくんと一緒に、チーバからトコトコ電車を乗り継いでやってきた。
リンママちゃんちではいつだってたくさんの仲間たちが待っていてくれるんだけどね、今日はネコの笑ちゃんこと笑太朗と、福ちゃんがお迎えしてくれた。
笑太朗はね、おれの後輩で、長いこと一緒に暮らしていた時期があったんだ。まぁ、・・・たぶん三十路ってところかな?額を見てみて。ホラ、剃り込みが入っているなかなかヤンチャな親分肌のネコなんだよ。
その昔、リンパパちゃんとリンママちゃんがご用事でお出かけしたときに、リンパパちゃんがショウウィンドウで一目惚れして、思わずお迎えしてきたらしいんだ。その時のリンくん(まだ子供の頃だ)は誕生日やクリスマスでもないのに急にやってきたこの幸せな顔をしたネコを見て、とってもビックリしたらしい。名前もリンパパちゃんが付けた。朗らかにずっと笑ってるから、笑太朗(しょうたろう)。いい名前だなぁっていまでも思う。
福ちゃんはというとね、笑太朗よりはだいぶん若い。といっても、もう高校生くらいにはなるのかもしれないなぁ。どちらかといえば、リンママというよりも、リンアニ(リンくんの兄貴)ッコだ。リンアニがリンママへのプレゼントとしてお迎えしたらしいんだけれど、圧倒的にリンアニのほうが福ちゃんを溺愛している。リンくんは一緒に暮らしたことはないから福ちゃんにはあまり絡むことはない。おなかを地面にベタッとつけて伏せの状態でいつだって迎えてくれる、優しいネコだ。(その実は、お昼寝まくら、ということなんだそうだ。)
ふたりが共通しているのは、ニコちゃんマークよろしく、アーチを描いた細いお目めであること。どうぶつのオハナ(オハナ=ぬいぐるみ、としておこう)でこういった目元の子ってなかなかいないでしょ?ほら、おれも真っ黒いつぶらな瞳がキラキラふたぁつついてるもの。
なのに、このコたちってば、ずぅっと、どんなことがあってもニコニコと笑ってるんだ。ほら、その証拠にね、口元だって、笑ってる。口角がスゥっと上がってるんだ。
なんて幸せな顔をしたヤツらなんだろうってね、おれ、思うんだよ。彼らのココロのなかがどうなのかはわからない。ときには悲しいときや寂しいとき、怒りたいときや泣きたいときだって、あると思うんだ。
だけれど、それをグッとこらえて、笑ってる。ほら、笑ってみようぜ、って言われてる気がする。彼らはそういう不思議なチカラを持ってる仲間なんだよ。
あぁ、そうそう。それで、ゴマちゃんの話だった。
今日ここ、リンママちゃんちへ移動してくる途中、うちのリンくんってば、スマホの充電ケーブルを忘れたことに気がついた。リンママちゃんはバリバリのiPhoneユーザーで、リンくんのスマホ(OPPOってやつだ)には合わないから借りられない。ということで、とりあえず安いの買ってこ、と立ち寄った100円ショップで出会ったのが、このゴマちゃんだったのだ。
「むぅー!ゴマちゃんだぁー!ころすけ、どうしよ?」
「ン?どうしよって?」
「お迎えする?しない?」
「ハテ・・・。おれに聞かれても。」
「いや、我が家はさ、ボブおリーダーの判断を仰がないと勝手にオハナ(家族)増やしちゃいけないことになってるから。」
「ふぅむ。気になるのな?」
「うん。あ!リンママちゃんちで迎えてもらおうっと!うふふ。うふふ。」
そんなわけで、ホコリっぽい売り場の片隅に10体以上いたゴマちゃんズのなかから選ばれしひとりのコが、いま笑太朗の肩の上に乗っかって笑っている。
「おい、笑太朗、子分ができたみたいで良かったなぁー!ホント、ソックリだぞ。」
おれが笑太朗にそう話しかけると、ヤツは中年ネコらしい立派な段々腹をゆらしながら笑った。
「ヴニャニャニャニャー!」
「これで、チーム笑太朗ができたね。」
「ニャーはうれしいニャー!」
「福もうれしいニャっ!」
ゴマちゃん、リンママちゃんちでどうぞ仲良く暮らしてくれよな。
ホラ、笑う門には福来る、だろ?
(あぁ。福ちゃんの名前はそこから来たのか!と今気がついた、おれ。遅ッ・・・。)
ころすけ
※Rin注: 今更ながら、笑太朗の正体はなんだろう?と思って、検索してみた・・・、ら!
絵本のキャラクターのぬいぐるみで、猫のヤーコプというらしい。そして、セキグチ社製だったよう。おぉ・・・!貴重なコ!
ちなみに検索ワードは、「ねこ インドネシア製 ぬいぐるみ」。ちなみにリンママちゃんちから自宅へ帰ってきてからこれを書いているので、手元に笑太朗本人はおらず、タグをちゃんと見ているわけじゃないのだけど、画像検索で出てきました。すごーい!我らがセキグチさま、ありがとうございます。今でもかわいがっております、ニャー!
ぬいぐるみのセキグチ
https://www.sekiguchi.co.jp/
「猫のヤーコプ」シリーズ 紹介 / 「食と暮らしの古本屋エクリプスクリュス」 内ページ
https://cookbooks.jp/ef-14/ef-14-j.html
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