初体験のナマラッカセー
今日は久しぶりの晴天。9月最後のニチヨービだなんて、びっくりしちゃうよね。
ライオンのボブぞだよ。
世の中シルバーウィークだというのに遠出もしない我がボブ家では、お休みの日には、おうちでみんなでゴハンを食べることが楽しみ!お休みの最終日、腹ペコライオンのおでらをテレビの前で待たせて、リンくん、普段はあまり行かないちょっと遠目のスーパーまで買い出しに行った。
おかえりー!!!今日のメシ、なぁに?なにかいいものあった?
ホクホク顔で帰ってきたリンくんにわざと聞いてみると、思いもよらない答えが返ってきた。
あったあった。ナマラッカセー!
ナマラッカセー?ナマラッカセーって、なんだ?
生の落花生だよぉ。
あっ、生の、落花生。
そうそう。おうちで茹でて食べられるらしいんだよね。ほら、今年はさぁ、春には生のたけのこ茹でたじゃない?今しかないのよ、掘りたての生の落花生!食で季節を感じるってすばらしいと思わない?落花生はチーバの特産品だし!しかもねー、うちのご近所のあそこの農家さんが作ってるやつが並んでたのよ。八街まで行かなくても、落花生、あるんだねぇ。塩茹でするよ!待っててね!
リンくんは、コーフン気味に話し終えると、我が家でいちばん大きいアルミ鍋を取り出した。
ビニール袋に入ったナマラッカセーは、少し汗をかいているように見えた。普段そのまま食べる落花生はカラカラと音がして乾いているから、確かにちょっと違う様子だ。裏を見ると50円引きのシールが貼ってあって、あぁだからリンくん手を出したのか・・・と納得した。これまでにも見切り品の救出だと称して、未知の食材を仕入れて試すことがあったからだ。
えーっと、水から茹でる、塩は3%・・・茹で時間は40分くらいが目安・・・、おっけ!
しょっぱくなりすぎないように薄めにするからね。
リンくんはスマホでポチポチとナマラッカセーの茹で方を調べている。どうせ雑だから、3%の塩水なんて量ってもいないだろうに、自信満々に減塩を宣言するから、リンくんの料理にはつくづく驚かされる。
ナマラッカセーを茹でる匂いというのは、こういうものなんだなぁ。香ばしいような少し泥くさいような、そんな香りが台所から漂ってくる。晩ごはんの準備が着々と進むのを見計らって、おでらは食卓の定位置に着いた。
もうすぐ茹で上がるはずなんだけど、ほかはもう出来ちゃったから、先につまんでよっか。
カーンパーイ!
いつもだったらおビー(ビール)で乾杯するのだけど、今日は茹で落花生が出来上がるまではチューハイを飲んでおくことにした。
ちくキューに、ちょいちょいとわさびをつけてつまみながら、落花生を待つ。
かつおのたたきに、ちょいちょいとしょうがポン酢をつけてつまみながら、落花生を待つ。
今日の我が家の食卓は、メインディッシュの落花生様の登場を待ちわびる形になった。
リンくんは茹で上がりの見極めに忙しい。クピクピと飲みながらも、台所をうろうろとしているものだから、おでらも落ち着かない。
よっし、もう、いいかな!
ざぁぁぁっ。
ザルに上がった落花生はもうもうと湯気を立てていた。ホッカホカのホッカホカ。あっちっちーだ。
うぉぉぉ、人生、おっとライオン生で初めての、茹でたて落花生!
あっ、ホラホラ、おビー、飲もう。
バタンっ。・・・プシュッ!
冷蔵庫から350ml缶を出して、みんなで分け合う。
もういっかい、カンパーイ!
茹でた落花生の殻は、全然固くなくて、キュっと少し力を入れるだけでホロリと割れた。中にはふた粒の大きな実が入っていた。
コレ、めっちゃ粒大きいね?!おでが知っているいわゆる塩味のピーナッツの1.5倍はある。
口に含んでみると、食感はホクホクとしていて、カリカリのピーナッツとはまったく違うのだ。
うふーん。コレ、おいしーい。
パクリパクリと立て続けに口に放り込んでいると、土っぽい味とほんの少しのえぐみを感じる。
旬のナマラッカセー初体験。うっすらとした塩味だけの、ぜいたくなお味。
おうちで茹でたてを堪能してね、とっても秋を感じたんだよ。
あぁ、おではどうぶつだから、しっかり秋に栄養をたくわえなくちゃってね。
あ。そうそう。
翌朝、リンくんのあごの周りに、ポチポチとふきでものができてたのは、ナイショの話、ね。
ボブぞ