コキコキの実
コキコキの実をひろった。
深いムラサキ色の固い皮におおわれていて、どんな中身なのかは食べた者しかわからない。
コキコキの実を食べたママちゃんは、ケラケラといっぱい笑って、あのねそういえばねといっぱいお話をして、塩辛い味のする温泉でお肌がすべすべになったとはしゃいで。いま、フカフカのお布団ですぅすぅとよく眠っている。
ニガテな食べ物だって、残さず平らげたし、ワインもよく飲んだ。
やるぅ、コキコキの能力。
そう。わっしは、ママちゃんにコキコキの実を与えたクマ。名前はころすけ。
コキコキの実は、人生に1度しか食べるチャンスがないの。
ラッキーだった、ママちゃんにプレゼントするために、コキコキの実が、わっしの近くで待っていてくれたんだと思う。
ある日突然、コロン、と急にやってきたように思う。でも、本当は、少しずつ1日ずつ、近づいて来て、まさに今日このとき、というタイミングでわっしの前に現れて、ママちゃんに渡すように仕向けてくれたんだ。
ホッ。
シンプルに、ホッとした。来てくれてありがとう、コキコキの実さん。
だってね、みんなに平等にやってくるとは限らないんだ。やってくる前に別の実を食べてどうにかなっちゃって、コキコキの実に出会えずじまいの人もいる。
コキコキの実は70歳のお祝いの悪魔の実。ママちゃん、コキ人間。
ママちゃん、良かったね。
おめっとさん。
すぅーすぅー。
まだ寝てら。へへっ。わっしも二度寝しよぉっと。
ころすけ