ボブおの雨宿り — アジサイさんぽ 2026

「今年もこの季節がやってきたのなぁ。」
おれはリンくんのリュックのなかに入って揺られている。
リンくんとふたりでお出かけすることはそうそうあることではない。いつもほかのオハナ(家族)大勢と一緒か、むしろ留守番しているか、ドッチかだ。
でも、年に一度、この6月のアジサイの季節だけは、特別。
リンくんと連れ立って、ふたりで観に行くんだ。

行き先は、いつも京成バラ園。
アジサイが自生する名所と言われるところは多数あるとは思うけれど、おれらはご近所のココにやってくる。
名前の通り本来はバラで有名なスポットだけれど、季節に応じてさまざまな花木を楽しむことができるんだよ。
梅雨といえばアジサイ。
6月生まれのおれは、アジサイにはとても親近感を覚えるんだなぁ。

ココに来るまでは雨に降られずに済んでいたんだけれど、、、着いた途端、ポツポツときだした。
「ありゃ、、、降ってきちゃったね。」
おれを抱っこするリンくん、おれのたてがみが濡れないようにと、レインコートをリュックを背負ったその上から着てガードしてくれた。
「うん、まぁ、梅雨だしなぁ。」
「アジサイはカラッカラの晴天のもとよりも、少ししっとり濡れてるくらいのほうが雰囲気あるけどね。」
「ちゃちゃっと撮影しちゃってよね?」
「オッケー。」




リンくんはカメラを首からぶら下げて、アジサイが美しく見える画角を探しているらしい。
「あ、ココいいねぇ。」とか「この色ステキ。」とか、「あれ?去年咲いてたあの種類、今年はまだ早かったか・・・」とかつぶやきながら、土で覆われた遊歩道をぐるぐると歩き回っている。
今日は、噴水まわりがいい感じだ。
「ねぇ、ボブお?ちょっとそこ立ってみて?」
「ン?はいはい。」








「あ・・・雨強まってきたな。」
「そだねぇ、、、ちょっと退散しよかね。」

おれはリンくんのレインコートのなかへと戻る。
するとリンくん、雨が降ってきたのをいいことに、濡れたアジサイの葉や花を撮り始めた。



「ふぅ・・・!」
アジサイエリアから戻ってくると、ちょうど手頃な雨宿りスポットを発見した。
木製の小さな小屋。小さなライオンのおれには大きすぎるくらい。
今日は園内を散歩するニンゲンたちもまばらで、好都合なことに小屋には誰もいなかった。
(ハイシーズンは映えスポットのひとつ、また休憩スポットとして、ベンチは大概埋まっているのだ。)


「おれはさぁ、今月またひとつ年を重ねて、11才のライオンになったわけよ。」
小屋のなかから、外で撮影を続けているリンくんに話しかける。
「うん?そだね。どした?」
「コレ・・・、来年もやんの?」
「アハッ!12才のおニーさんライオンはもうアジサイとの撮影はお嫌ですか?」
「むふぅ。イヤってわけじゃぁないけど・・・。濡れるのが、イヤ。」
「そだよね、ゴメンね。雨降ってきちゃったからね。」
おれは続ける。
「来年のことはまーまだわかんないけど。とりあえずさぁ、あたたかいコーヒーでも一杯やってこうぜ。な?」
「ふふ。賛成。そうしよっか。カラダ冷えちゃったもんね。」
おれはそう言って話を切り上げた。
去年も来た。今年も来られた。
でも一昨年は来られなかった。
リンくんがちょうど入院していたからだ。
来年のことは、まだ、誰もわからない。
おれがアジサイを好きでい続けるかもわからないし、リンくんがカメラを持ち続けているかもわからない。
でもなぁ、一緒にいるっていう事実が、そうさせてるんだよな。
今年も一緒にいるから、こうやって、一緒に来てる。
だから、来年も一緒にいられれば、きっと一緒に来るだろう。
それだけの、こと。
梅雨空には似つかわない色とりどりの春バラの名残を横目に、おれらはエントランス近くのコーヒーショップまで急ぎ足で戻っていったのだった。
今年も、いいアジサイさんぽだ。
ボブお


京成バラ園 公式サイト
https://www.keiseirose.co.jp/garden/
「大好きなアジサイの花とブルーな思い出」
https://bobingreen.com/2025/06/26/14492/
「ひと月遅れのアジサイ」
https://bobingreen.com/2024/07/24/9884/

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