ころすけとラアコの温泉デート – ころすけの旅日記(箱根編)その1

「あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁー。」

おれは声にもならない音が自分のカラダの奥底から湧き上がるのを感じた。胸のツキノワのマークがちょうど隠れるそのあたりまで、温かな湯に浸かり、そして、すだれのすき間から木々を見やった。

こんにちわーに。ツキノワグマのころすけでっす。

2025年2月下旬某日。
おれ、久しぶりに旅に出てます。

行き先はハコーネ、箱根!そして旅のお供は、コアラのラアコさ。

ニンゲンたち(リンくんとリンママちゃん=リンくんの母)が宿について荷解きをしている間、さっそくおれは部屋付きの露天風呂を見学がてら、一番風呂をいただいてるってわけさ。

石造りの浴槽には木の板で蓋がしてあり、開けてみると、そこにはなみなみと湯が張ってある。

うっすらとにごる乳白色のそれは、外気の冷たさに思わずワッと湯気を上げ、ほのかな硫黄の香りをおれの鼻先に心地よく届けてくれる。

すだれを上げれば目隠しのーーといっても冬の間に葉を落としてしまって随分とこころもとないがーー枝葉越しに、早川の流れが目に優しい。ちょいと外をのぞきこめば、鳥さんたちが川べりで遊ぶ姿を見ることさえできる。

「ころすけ、なんでお洋服着てるの?」

ラアコに聞かれてふと気がついた。

「あ、そうか。おれ、これから風呂に入るんだったね。あ、ラアコは・・・?」

「うん、ワタシはいつもハダカんぼだもん・・・。えへへ。」

「そっか。んじゃ、ちょいと失礼して・・・。」

おれはいつもの一張羅の赤いポロシャツを脱ぎ、丁寧にたたんでおいた。

カラダのちいさなラアコとおれにとっては、この石風呂は深すぎるから、ハテどうしたものか?と思ったら、ちょうどよさそうな木の桶があった。

硫黄の優しい香りと湯気を感じながら、おれとラアコはふたりでしっぽりと温泉の湯を堪能したのだった。

風呂から上がると、リンくんが待ち構えていた。

「あのぉ、ニンゲンもそろそろ入っていいかな?」

「アハッ!どーぞどーぞ。」

着替えと浴衣を持って脱衣所へ行ったリンくんを見送ると、部屋の中はガランと広く感じた。リンママちゃんはすでに部屋の外にある貸切風呂へ行ってしまっていて不在だった。

「ねぇころすけ、今日のお庭、キレーだったねぇ!」

ラアコが話すお庭、とは、強羅公園のことだ。今日からの箱根2泊旅。一日目の最初の目的地は、強羅公園だった。

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新宿駅で待ち合わせたおれとラアコは、ロマンスカーのなかで久しぶりのデートにワクワクしていた。リンくんからガイドブックを受け取ると、最初にラアコが行きたいと言ったのが、箱根強羅公園だったのだ。

「うん、お天気が良くてよかったなぁ。遊歩道はなかなかの勾配だったけどね。ラアコ、疲れてない?」

「ラアコ、抱っこしてもらってたから、疲れてないよ。アリガト。ころすけ、優しいぃ。」

えへへ。
えへへへへ。

あ、おれらイチャイチャしてるわけじゃないぞ。いや、ううん、イチャイチャでもいいんだけど。

あ、えっとーうーんと。照れるな。

風呂上がりのラアコの毛並みは少しだけつややかにしっとりとして、いつものあまえんぼうさんのときよりも、少しだけオトナっぽく見える。

ドキドキするから、自分を茶化すくらいしか言えなかった。

「ま、おれも抱っこされてたんだけどな。アハッ!」

雲のない真っ青な空に呼応するかのように、噴水の池はエメラルドブルーにきらめいていて、おれらは何枚も記念撮影をしたんだ。

「ねぇね、あと、お昼ゴハン食べたカフェも良かったね。」

「そうだなぁ、うまいサンドイッチだったよな!」

「うん、おヤサイのサンドイッチ、もぐもぐいっぱい食べちゃった!」

「カフェの建物も天井が高くて窓が広くて、いい席だったしなー。」

おれらが今日ランチに訪れたのは、強羅公園内の「一色堂茶廊」というカフェだ。八角堂のようになっている吹き抜けの空間は、真っ白い天井やクリーム色の優しい壁の色によって、気持ちの良い開放感のある造りになっている。一方家具類はどっしりとした木目調で、ニンゲンふたり客には大きすぎるほどのテーブルとしっとりとした布張りのチェアは座り心地がよく、ゆったりと時間を過ごせる工夫がされているように感じた。

おれらの注文は、「燻製鶏ハムサンド」と、フルーツにんじん・濃密アボカドサンドのミックスの「ニ色サンド」だ。

急勾配の坂道にあるこの強羅公園は、少し歩いただけでもこの春みたいな陽気のなかでは汗ばんでしまう。だから、いつもコーヒーはホット派のおれだけれども、暑がりのラアコに合わせて、今日ばかりはアイスコーヒーをオーダーしたのだった。

ちゅるちゅるといたずらっぽい表情でストローに夢中のラアコは、時折チラッとおれのほうを見て、それからニコッと笑いかける。おれはその瞬間がたまらなく愛おしくて、あぁこの旅行にラアコを誘ってよかったなぁと心から安堵したのだった。

そんな今日の素敵なできごとを思い返しながら、おれとラアコは慣れない畳敷きの広いお部屋でのーんびりと過ごしている。ニンゲンたちは今頃まだ箱根の湯を堪能しているはず・・・。

ガラッ・・・

「あぁら!ころちゃん、ラアコ、ずいぶんと仲良しさんねぇ。かわいいわね。うふふ。」

あ!リンママちゃんがお風呂から戻ってきた。おれらがぴっとし仲良くお話しているところ、見られちゃった。えへへ。

では、お話の続きはまた今度ってことで。

(その2へつづく)

ころすけ

▼ころすけとラアコが訪れた観光スポット▼

サンドイッチ料理店 一色堂茶廊 (強羅公園内)
https://www.hakone-pic.com/home

箱根強羅公園
https://www.hakonenavi.jp/gorapark

「ラアコところすけの紅葉デート」
https://bobingreen.com/2024/12/13/11782/

「ニチヨービの東京駅の洗礼 – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)その1」
https://bobingreen.com/2024/05/23/9254/

「初デートは東山動物園 – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)その2」
https://bobingreen.com/2024/05/29/9335/

「コアラのラアコがやってきた ラァ!ラァ!ラァ! – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)その3」
https://bobingreen.com/2024/06/03/9399/

「リンママのぬい撮り旅デビュー戦 – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)その4」
https://bobingreen.com/2024/07/11/9803/

※ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)は未完のままでございます・・・申し訳ありません(2025年4月現在)

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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