すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第25回 オナガさんが遊びに来てくれたの
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ギョエェェェェェェェッ!
ギョエェェェェェェェッ!
オトモダチのみなさん、こんにちわーに!
鳥さん大好き、ウサギのすずこと鈴之助です。
密かに人気のこのコーナー、すずちゃんのぉぉぉぉぉぉっ!野鳥にびっくりでSHOWぉぉぉぉぉっ!(「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW」)
第25回の今回は「オナガさんが遊びに来てくれたの」をお送りしまっす。
まだまだ寒いとある日の、昼下がり。
すずはね、お昼ごはんを食べたあと、うっとしうとうととお昼寝をしていたの。
「ふわぁー。ガスストーブのお部屋ってあったかいねぇ。」
大好きなモーフにくるまって、大好きな仲間たち、フクやペンやボコちゃんと一緒にソファでゴロゴロする。
とってもシアワセな時間なのね。
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すず、でも、ホントはお出かけするのも好きなの。
鳥さんを見るのが好きだから、お天気さえ悪くなければ、毎日でも、鳥さんに会いにアッチコッチお出かけしたいんだ。
今朝。
「リーンくーん、今日はお出かけしないの?」
洗濯物を干そうとみどりテラス(ベランダのことだ)に出ようとするリンくんに話しかけると、こう返ってきた。
「うーん、最強寒波でめっちゃ風が冷たくて強いらしい。だから、今日はおうちにいよ?」
フーン。そっか。今日はお出かけはナシなんだってさ。
確かにね。暦の上では立春を迎えたというけれど、最強寒波が日本列島を覆うとかで、すずが暮らすチーバでも、連日冷たい風が吹きすさんでいる。
我がみどりキャンプ場(我が家のことをそう呼んでいる)は、建設から半世紀以上経った巨大団地の端っこの棟の、5階にある。みどりテラスに出れば、細い生活道路いっぽん挟んで目の前には雑木林が広がっている。整備はされているものの自然環境は残されているから、鳥さんをはじめ野生動物たちが暮らしていて、朝日が昇る前から夕暮れ時まで、なにかしらの鳴き声が聞こえてくるんだ。
「はー。今日はどんな鳥さんがいるのかなぁ?すずに会いたくて、みんな寂しがってないかなぁ?」
お昼ごはんに梅ちりめんおにぎりを食べてふくらんだおなかを抱えながら、ゴロゴロとお昼寝をしながらそんなことを夢うつつに思う。
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すると。
ギョエェェェェェェッ!
ギョエェェェェェェッ!
尋常ではないすさまじい音が、窓の外から聞こえた。
ギョエェェェェェェッ!
ギョエェェェェェェッ!
「ン?!」
隣の部屋にいたはずのリンくんが、すずたちのいる居間のソファの横へ慌ててやってきた。
そして、そぉぉぉぉっとカーテンを開けて、眼下をみやった。
「すず!起きて起きて!鳥さんが近くにいるよ!」
「え!」
夢のなかかと思ったら、現実だったみたい。
リンくんは急いでカメラを取りに行って、それから、すずのことを抱き上げて、外を見せてくれた。
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「このギョエェェェェェッ!って声、オナガさんだね?」
「すず、大正解!」
みどりテラスに出てみると、右手の雑木林の間を飛び交う鳥さんが数羽見えた。アタマが黒くて尻尾が水色、サイズはヒヨちゃん(ヒヨドリ)をもうひとまわり大きくしたような、というか尻尾を伸ばしたような、それくらいのサイズ。シュン!と直線的に飛んでいく。
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ギョエェェェェェッ!
「わ!コッチにも飛んで来たよ!」
なんと、雑木林の中から、うちの団地の1階の植え込みの松の木をめがけて飛んでくるコがいるのだ。
「ひゃぁー!オナガさん、近いよ!近いよー!」
「そだねぇ、なかなか鳥さんを頭上から見られることってないから、貴重かもね。」
そのオナガさんは、松の木の枝の、その針のような葉の奥をしきりにつついている。
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「何やってるんだろ・・・?」
「うーん、ちょっと静かに観察してみようか。」
リンくんは望遠レンズを抱えたまま、そして、すずはジィっと静かにオナガさんの様子を見守った。
ツンツン、ツンツン
葉の陰に隠れてしまってオナガさんが何をしているのかわからないけれど、これだけ一生懸命なのだからきっとゴハンがあるに違いないなぁと思う。けれどこんなまだ寒い時期に、一体松の木でどんなエサを確保できるのかな?
そんなことを考えながら、オナガさんが雑木林から真下の松の木にやってきてから3分ほど経ったところで、動きがあった。
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ツンツン、ツンツン
・・・にゅいん!
「・・・?!にゅいん?!」
なんと・・・まぁ!
すず、目撃しちゃった!
ツンツン、ツンツン、と一生懸命松の葉の間をつついていたオナガさんが急に顔を上げると、にゅいん!と突然口元から、白い物体が現れたのだ。
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くちばしの長さ・・・いや、それどころか頭部の長さよりも長い、推定5cm程度の白い棒状の何かは、幼虫のようにも見える。
「リンくん!見た?見た?」
「うん、見えてる!シャッターも押してる!」
リンくんは、カメラのファインダーをのぞいてシャシャシャッと連写をしつつ、力強く応えた。
「ひゃぁーなんだろ、アレ?白い、フニャン?という感じの・・・。柔らかそうな棒状の・・・、、、。」
「うーん、虫?こんな2月の寒い季節にも幼虫っているのかな?」
「いやぁ・・・ゴメン虫のことは全然わからないけど・・・。」
はうーん。
はうーん。
ハテ?
ハテ?
すずもリンくんもアタマのなかがハテナでいっぱいになっている間に、オナガさんはその白い物体を大事そうにくわえて、雑木林の方へ飛び去っていったのだった。
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ギョエェェェェェッ!
ギョエェェェェェッ!
ここからは想像。
「ゴハンの時間だよー!」の合図なのだろうか?白い物体をくわえたオナガちゃんが、待ち受ける仲間たちのもとに戻ると、ぴょんぴょんと木の間を小さく跳ねている。
遠くからだったからよくは見えなかったけれど、まるで声をかけながら、個体同士でコミュニケーションをとっているように見えた。
その後、我が家から見て奥側の木に飛んでいってしまったので、残念ながらオナガさんたちのお食事の様子は見ることができなかった。
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ふぅ。
「あー、行っちゃった。でも、すごい瞬間、見たなぁ。」
リンくんはカメラをテーブルの上に置くと、一呼吸置いて、そうつぶやいた。
「リンくん、リンくん。あのさ、多分だけどさ、オナガちゃん、すずのところに遊びに来てくれたんだよね。『すーずちゃん、あーそぼ!いいとこ、見せてあげる!』って。すず、びっくりびっくり!とってもびっくりしちゃった!」
「ホントだねぇ!いつも隣の林を飛んでることはあっても、ここまで近くにやってくることってめったになかったもんね。あの松の木、以前はコゲラちゃんが来たことあったよね。それから、メジロちゃんやシジュさん(シジュウカラさん)はときどきやってくるけれど・・・。いやー、オナガちゃんサイズともなると鳴き声も大きいし、なかなかの迫力だね。それにしても、エサを取るところをこんな眼下に見られるとは・・・!」
リンくんは興奮冷めやらぬ様子でまくしたてている。
「ホント、迫力あったね。オナガちゃんってさぁ、尾の長さまで入れたら30cm以上*あるもんね?もしかすると、すずよりも全長は大きいかも?!」
「そーかも!いやー、オナガちゃん、来てくれてどうもありがとうだね。」
「うん!オナガちゃん、遊びに来てくれて、おうちでつまんなーいってなってたすずたちを楽しませてくれて、どうもありがとうなの!」
パタパタパタパタ!
今日は、お外は北風ぶーぶー寒い日でおうちおこもりだった。けれど、まさかの窓の外で、びっくりびっくりなシーンを目撃できちゃったのでした。
「鳥さん見るのって、ホントに楽しいねー!すず、鳥さん、大好き!」
「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW」、第25回は、オナガさんが遊びに来てくれてびっくりびっくりでした!
以上、野鳥レポーターのすずこと鈴之助がお送りしましたよーっと。
また次回お会いしましょーね!まったねー!
すず(鈴之助)
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*普段使用している野鳥図鑑によれば、オナガの体長は37cmとありました(p.206)
参考文献: 樋口広芳 監修 高野丈 著・写真 『探す、出あう、楽しむ 身近な野鳥の観察図鑑』、ナツメ社、2022年
https://www.natsume.co.jp/np/isbn/9784816371677
▼「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW」アーカイブはコチラ▼
「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第24回 今年もバードフェスへ!」
https://bobingreen.com/2024/11/07/11261/
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https://bobingreen.com/2024/10/17/10850/
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https://bobingreen.com/2024/05/21/9241/
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