ボブぞカメラマンとジャック・オー・ランタン
「おっ!いいねいいねー!うんうん、いいよ。もちょっと口角上げてみよっか、ハイ!にこーっと!」
カシャッカシャッカシャッ
気持ちの良いシャッター音と軽い振動が、おでの指先からカラダ全身に伝わってくる。
ファインダーをのぞいたときにだけ見える、いつもと違った四角い世界。
柔らかい光のもと、目の前でほほえむ君。華を添える可憐なバラたち。
鳴り止まぬリズムとわきあがる高揚を秋の風に乗せて、おではシャッターを切り続けるのだ。
・バラ園でロケハン!新しいレンズ”オムぞう”を試しちゃうぞ
オトモダチのみなさん、こんにちわーに!
おで、ライオンのボブぞです。
今日のおでは、カメラマン!!!
リンくんと一緒に、ご近所のバラ園へロケハンしに来たんだよ。
「ロケハン?ボブぞ、照れちゃってぇ。デートでしょ?おデート!」
リンくんが横からやんやと口を挟んでくる。
「違うやいっ!ロケハンだよ、ロケーションハンティングぅ!おではね、カメラマンだからね、いつ次の撮影に入ってもいいように、撮影スポットの確認のためにいろいろ出歩かなくっちゃいけないわけ。」
「はいはい。うん、そういうことにしておこうね。」
「あとね、あとね、おで、この新しいレンズつけたマイニューカメラ、”オムぞう”を試したいのだっ!」
“オムぞう”とは、我が愛機OM SYSTEM社(旧OLYMPUS社)製のカメラ、OM-1 MarkⅡのことで、おでが名前をつけたのだ。つい先日、リンくんが新しいレンズを買ったので、今日はそれを装着して初めての屋外撮影会ってわけさ。
(”オムぞう”のお話はコチラ → 「新しいレンズが来たぞう!名はオムぞう!」)
「むふふ。新しいレンズ、おうちのなかでしか使ってなかったから、どんなもんか楽しみだねぇ!」
「リンくん、今日はおでがカメラマンなの!リンくんはアシスタントに徹しててよね。」
そういっておでらはテクテクとバラ園までやってきたってわけさ。
朝起きたときには日差しを感じるほどだったのに、家を出た瞬間から曇りはじめ、気がつけばどんよりと重い空になってしまった。
「むふぅ、秋の青空とバラは無理だったかぁ。」
そうそう。ここ京成バラ園に来るのは、実は久しぶりだ。えーっと、前回来たのは、忘れもしない、6月のこと。バラ園主催の推しぬいイベントが介開催された日に、ぬいのオトモダチたちが集まってくれて一緒に遊んだんだよね。
「リンぐーん、あの日はめっちゃ楽しかったよなぁ!!!しっかしさぁ、気がつけば、もう4ヶ月以上経ってるじゃん・・・!年パス、使わないと元取れないよ?」
「うーうぅぅぅ、仕方ないじゃん、あのあと入院しちゃったんだから・・・。こうやって無事に治って、また元気にバラ園来られるようになったんだからさぁ。」
そう。リンくんはその推しぬいイベントから帰宅した後、高熱と発疹で苦しみ、翌日から2週間の入院生活となったのであった。
(リンくんの入院のお話はコチラ → 「リンくんの外泊 – リンくんが入院した その1」)
(推しぬいイベントで、オトモダチと遊んだお話はコチラ → 「バラ園ぬい会の思い出」)
ま、そんなわけで。
すんごい楽しかった記憶と少しほろ苦い記憶が混ざり合うこの場所で、おではさっそくカメラを首に下げて、ぶらぶらとロケハンを始めることにした。
・いざ、入場。秋バラは見頃
「こんにちはー。お願いしまーす。」
まだまだ元の取れてない年パスを、チケット売場で見せて、いざ、入場。
平日の朝10時前。思っていた以上にバラは開花していて、園内はカラフルに彩られていた。今年は猛暑の影響でバラの開花が遅れている他の園もあると聞いていたから、それを思うとさすがの京成バラ園、キッチリ仕上げてきてるなぁとホレボレする。
おでは小さなライオンの、カメラマンのはしくれだけれども、実はバラ園での撮影はもう数え切れないくらい、経験をしている。カメラ機材がそのときそのときによって違うからなんとも言えないけれど、ピーカンで晴れているときは光が強すぎることもあるから、実は薄曇りくらいがちょうど良かったりすることも知っているのだ。
「バラの撮影でいちばん好きなのは、雨上がりに晴れ間が出たときだよねー。」
「なになに?ボブぞカメラマン、ちょっとカッコいいじゃん?」
「そうさ、おではカッコいいカメラマンなのだよ。バラの花びらに水滴が残っていて、そこに光がさす感じ、いちばん好きなんだよなぁ。」
「ふーむ。今日はどうかねぇ、雨降ってたわけじゃ、ないからね。」
「そこを探してよね、リンくん。アシスタントでしょ!」
「はぁい。ボブぞカメラマン、承知シマシタ。」
バラ開花のピーク期のわりには園内にお客さんは少ないと感じる。前回来たのが推しぬいイベントという特殊なイベント日でわりかし混んでいたからかもしれないけれど、それにしても落ち着いている印象だ。純粋にお散歩に来たマダム4人組、みたいな方もいれば、おでらみたいに、カメラを持ってウロウロと撮影しているおひとりさまカメラマンも目立つ。
・ジャック・オー・ランタン発見
ニヤリ。
「・・・?!」
おでは、急に、誰かからの視線を感じた。
「うわぁ!びっくりしたぁ。ジャック・オー・ランタンだ!」
そうだった、そうだった。すっかり忘れてしまってたけれど、この時期はハロウィンの飾り付けもしてあるんだったよね。去年のまさに今頃、うちのボブこネーちゃんが、ジャック・オー・ランタン氏と一緒に記念撮影していたのを思い出した。
(ボブこのハロウィンのお話はコチラ → 「ボブこのバラ園ハロウィン」)
「よぉー!一年ぶり。元気にしてたかねぇ?今年はなになに?三兄弟なの?アレ?まるでおでらボブ家三兄弟みたいじゃん?あ、ねぇ、写真撮らせてよ。」
おではジャック・オー・ランタン氏に撮影許可を取り、カメラを構えた。
「ンー・・・なんだか構図が違うぅ・・・。リンぐーん、どーにかしてぇ。」
「あぁ、そのレンズ、広角単焦点だからねぇ。ズームとかできないんで、ボブぞ、自分の脚で近づいたり遠ざかったりして画角調整してね。」
「ンー!だぁかぁらぁ!おで、ひとりじゃ動けないでしょ・・・?」
「あはは!アラ、ボブぞもたまにはそうやって甘えてくれるのね。いいですよぉリンくんがボブぞを抱っこしてこうやってあぁやってお手伝いして差し上げましょぉねぇ!」
ヒィィィィィィッ!
目の前のジャック・オー・ランタンたちは、おでとリンくんとのやり取りを聞いて、ニヤニヤニヤとニヤけるばかり。どーぞご自由に撮っていいよ、とばかりに、その場にでーんと鎮座している。
よいしょ。よいしょ。
よいしょ。よいしょ。
おでは大胆にも、芝生の上に寝転ぶことにした。
「せっかくの広角、下からのアングルでズバーンと、ね!」
「あー、このアングルだったらもし空が青ければもっと良かったかもねぇ、そればっかりは仕方ない。」
(不本意ながら!)リンくんにおでの体勢を支えてもらって、おでは熱心にレンズを向けたのだった。
カシャッカシャッカシャッ
「ジャック・オー・ランタンのみなさん、ご協力ありがとーございました!キレイに撮れてるよ。」
「・・・。」
彼らは何もコトバを発することはなく、ただニヤリニヤリとおでとリンくんとを見送ってくれたのだった。
・バラの花びらに水滴発見!
「あっ!ボブぞ。このバラ、被写体にいいんじゃなーい?水滴ついてる。」
リンくんがピンクのグラデーションが美しいバラの木の前で立ち止まった。「ブリリアント ピンク アイスバーグ」という品種らしい。
「どれどれ?あっホントだぁ。いいね。いいね。」
おではさっそくレンズを向ける。するとリンくんが横からニュッと手を伸ばしてきた。
「ほら、このレンズのさ、フォーカスリングっての使ってみなよ。マニュアルでピントの合う位置を変えられるって。カメラ本体は超最新追尾AF(オートフォーカス)まで付いてるのにさ、レンズ側のリングで遊べて楽しいんだよ。」
「はうーん?おで・・・そこまで指が届かない・・・。」
がっくし。残念。おでの小さな手では、シャッターボタンを押すのが精一杯で、それ以上の細かい設定は自分ではできないのだ。
「あ・・・そっか。失敬。失敬。んま、普通に撮ってもちゃんとピント合うからダイジョブよ。」
そんなことを話しながら撮った一輪がコチラ。
「おで、結構ちゃんと撮れてるだろぉ?」
「あぁゴメン、開放値にしたから水滴までボケちゃった。」
「むむ、まぁ、これはこれで、いっか。」
・ローズの香りとキッチンカー
おでらはその後もいい感じのバラを探しては、あーだこーだ言いながら試し撮りをしつつ園内をぐるぐると散策を続けた。小さいバラ、大きいバラ、赤、黄、ピンク、茶、白、色とりどりさまざまなバラが咲き誇る園内は、うっすらとローズの香りに包まれて、とっても心地がよい。おではライオンでどうぶつだから、ニンゲンよりも鼻は効くんだ。
クンクン
クンクン
「・・・ン?いい匂い・・・!」
「え?ボブぞどした?どこからいい匂いするの?」
「あっち・・・。」
おでが見つけたのは、園内の奥でポツリと営業をするキッチンカー。ハンバーガー屋さんだった。マダム二人組の先客が、隣のベンチ付近でおしゃべりしながら出来上がりを待っている様子だ。
「あぁ・・・うーん。ボブぞ、食べられなくてゴメンよ・・・。」
せっかく見つけたハンバーガー屋さんだったけれど、うちのリンくんは牛肉NGなので仕方なくガマンだ。
「バラ園ではさ、いっつもゴハンは食べないじゃない。今日も帰りに何かおいしいもの買って帰ろう?それで、いいでしょ?」
「うむ。それで手を打ってやるぞ。」
・大好き京成バラ園!大好き”オムぞう”!
約1時間半園内をぐるりと歩いて、おでらは帰途につくことにした。
「あいやー。しっかし、このカメラ、楽しいねぇ。シャッター切る感じが好きよ、おで。あと、ファインダーあるのはやっぱりいいねぇ。」
「でしょ、でしょ?オムぞう、いいカメラだよ。その新しいレンズも悪くないでしょ?こんなに曇ってても、明るいしさ。ちゃんとボケるし。」
カシャッカシャッカシャッ
「むふー!楽しーい!楽しーい!わくわくする!わくわくしながら、対象物をのぞきこんで、カシャ、する。これぞ、カメラの楽しみだよね!」
スマホで撮る写真は、便利だし、ぶっちゃけ全然キレイだし、なんの問題はないけれどね、カメラにはそれとは違う楽しさっていうのがあるんだよね。
きっと今日出会ったジャック・オー・ランタンたち、スマホで撮ろうとしたらあんなにニヤニヤしなかったかもしれないもの。ジャック・オー・ランタンとおでとの間に”オムぞう”を介することで、ちょっとだけ、親近感をもって接することができたような、そんな気がするんだよ。
ありがとう、ジャック・オー・ランタンたち。
ありがとう、秋のバラたち。
おではやっぱり、カメラマンなんだぞー!
ライオンだけど、カメラマン!
これからも精進します。
楽しみにしててな!
ボブぞ
京成バラ園 公式ホームページ (千葉県八千代市)
https://www.keiseirose.co.jp/garden/
「おではカメラマン in ローズガーデン」
https://bobingreen.com/2023/12/12/7315/
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