おではカメラマン in ローズガーデン

「おでっ、今日、いっぱい写真撮るの!」

「ハイ、では、ボブぞカメラマン、どーぞ。」

リンくんから渡された今日のカメラは、”ミラこ”だった。ソニーのミラーレス一眼カメラのことだ。白いボディとシルバーのレンズがかわいくて、手もカラダもあまり大きくないおでにピッタリのサイズだ。

“今日のカメラはソニーのミラーレス一眼、その名も”ミラこ””

クンクン。

スッキリ晴れた青空の下、あぁ、今年の秋バラは長持ちしている感じがするな。バラの花って春と秋と年に2回楽しめるんだけどね、秋のほうが香りが強いらしいんだ。

ふぅわーり

“おなじみの京成バラ園だよ。秋バラが見頃だよ”

ホンモノのバラの花からこんなに華やかな香りを楽しめるんだ。リンくんがたまにつけるバラの香りのハンドクリーム、あのニセモノ感とは全然違うんだ。(それはきっとリンくんが買ったハンドクリームがやっすいやつだからで、きっとお高いのはホンモノのローズオイルが入ってるんだと思うけれど。)

“「カレイドスコープ」という品種”
“こちらは「プレーボーイ」という品種。おでのこと?”

平日だというのに、ちょうどこの満開のバラたちを見に、お客さんはソコソコ入っているよ。2人組のマダムがおしゃべりしているのが聞こえる。どうやら、韓国ドラマの話題のようで、大きな声の片方の話だけが聞こえてくる。

(「あーた、今何話、見てるの?」)

(・・・)

(「アタシはネットフリックスとフールーで見てるから。あーた、BSは古いのよぉ!見逃し復習とかいって古いのばっかりよ!あっはっはは!」)

うーん、どうやら、自分は有料放送で最新話を追ってるけれど、お相手はBSで古いシーズンを見ているようだ。おー恐ろしい、そんなことでマウント取らなくたっていいじゃない。同じ趣味のオトモダチとバラ園にまで来て、ディスらなくたって・・・ねぇ。

ニンゲン模様を観察しに来たんじゃないや、おで、今日は写真のレンシウ(練習)に来たんだ。

カシャカシャカシャ

バラの花とひとくちにいっても、赤・黄・オレンジ・ピンク・茶色・白、それから、いろいろな色の組み合わせのグラデーション・・・、八重に一重に、形もサイズもさまざま。盛りの花を探しては、一生懸命シャッターを押してみた。

「なぁなぁ、リンくん、どうかなーあ?」

「どれどれ?見せて?」

おではミラこの液晶をリンくんに見せる。

「ボブぞ、いいじゃーん。センスある、ある!ちゃんとピンも合ってるしボケもあるしさ。」

「む。エラそうだな!リンくんのくせに。」

おでらはふたりでバラ園のなかをアッチコッチ歩き回っては、他のニンゲンたちが画角に入らなそうなフォトスポットを探した。

今日はおでがミラこを専有しているものだから、リンくんってばスマホのカメラでずぅっとおでのこと撮影してくるんだよ。写真を撮るおでを撮るリンくん、ってやつだな。

「リンくーん、おで、集中できないんですけど?」

「あー気にしない気にしない。ボブぞ、超カワイイんだもーん。うふふふ。」

「あーん、おで、モデルさんも得意だからさーぁ、どっちつかずになっちゃうじゃない?」

「はい、撮影に集中してていいよー。」

パシャッパシャッ

他のニンゲンたちから見たらさ、おでらって変わってるのかなぁ。
カメラを首から下げたライオンと、そのライオンを撮りまくるニンゲンのリンくん。しかもリンくんはブツブツずっとおでに話しかけている。

おでらにとってはこれが日常だし、大切な生活なんだよ。
おでがもし大きくなってオトナのライオンになって、いまよりももっとタテガミに迫力が出ちゃったら、バラ園を出禁になるのかな?誰にもメーワクはかけないから、どうかお願いしますって、このおもしろおかしい時間を、生きていたいんだよ。

おでってばフシギ。バラの写真を撮りながら、ずぅっとそんなことばかりを考えていた。

「ボブぞと一緒にいると、楽しい。ホラ、ボブぞ、わたしの横に来て。」

「ン?・・・あ!」

パシャッ

リンくんがニコニコしながらスマホのインカメラを向けてきて、おでとツーショ(ツーショット)を撮る。

「おわん、いいよぉ、ツーショは恥ずかしいよぉ。」

「何いってんのー、記念、記念。わたしたちが一緒に生きていることの、証でしょ。」

「うっせー!あんまりベタベタすんなよぉ。」

「あー照れちゃってぇーボブぞってば、カワイイなぁ・・・!キュンです。うっふ。」

ハァ。まったく、いつまでたってもリンくんはおでが赤ちゃんライオンだと思ってるんだ。昔のあまえんボブぞのままだと思ってるんだよ。
おで、もう8才のおニーさんライオンだもの。いいかげん、ライオン離れしてほしいんだよな。

「あ。ボブぞ?」

「ン?何?」

(チュぅ!)

「・・・ンガーーー!ちっす反対!ちっす禁止!ヤメテ!」

「うふふふ。ボブぞのほっぺにチュぅしちゃったぁー。」

ンもぅ。。。ホンット、自由すぎるよリンくん。

リンくんがニヤニヤしておでとのツーショットを撮ったそのバラの品種を確かめてみると、なんと、その名も「凛(りん)」だった。
ンー、だからかぁ・・・。リンくん、嬉しかったんだね。仕方ないなぁ、もう。

“その名も「凛(りん)」”
“ちゃんとバラの品種もチェックして、来るたびにちょっとずつ覚えるよ”

「おではカメラマンに戻りますぅ。集中したいんでいいですかぁ?」

「あ、失礼しました。どーぞどーぞ。」

いつもの京成バラ園だけれど、今日もとってもいい景色だったんだ。季節や天気、時間帯によって見どころも変わってくるし、やっぱりワクワクして楽しいなぁって感じたよ。

帰ってから写真をパソコンに取り込んだら、全部で347枚あった。おでの撮った写真と、リンくんがおでを撮った写真と、それから、うぅ・・・恥ずかしいけどおでとリンくんのツーショットが何枚か。うむぅ。コレはお蔵入りだな。

「ボブぞ、コレ、待ち受けにしていーい?気に入ったぁ。」

「絶対、ダメー!」

「じゃ、プリントして飾ろかな。」

「それも、ダメー!」

おではカメラマンだもん。撮られるよりも撮る練習したいんだもん。
また撮影行くぞー!

ボブぞ

京成バラ園 公式ホームページ (千葉県八千代市)
https://www.keiseirose.co.jp/garden/

「ロケハン隊長より愛を込めて」
https://bobingreen.com/2023/07/25/5796/

「ボブこのバラ園ハロウィン」
https://bobingreen.com/2023/10/30/6750/

「アザラシ フク vs. メンフクロウ ふくちゃん」
https://bobingreen.com/2023/07/03/5475/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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