みどりテラスで過ごす日常
ほーほけきょ
ほーけきょ!けきょ!
ボブおです。
リンくんが昼寝から起きてきた、夕方5時過ぎ。昼寝というには長いね。
昨日退院してみどりキャンプ場(我が家のことだ)に帰宅したリンくんは、まだまだリハビリ中。朝のんびり起きて、ちょっとの洗濯や食器洗い、極簡単な料理をしつつ、あとはクスリを飲んで横になっている。
うん。それでも帰ってきた。よく、帰ってきた。
おれはガラガラっと窓ガラスを開けて、みどりテラスに出る。我が家の愛すべきベランダだ。団地の5階、目の前には雑木林が茂っていて、あちらこちらから鳥さんたちの声がする。今日はウグイスさんが優勢だ。
眼下の生活道路は団地の奥深くまで続いていて、早めの帰宅や送迎のクルマたちがエンジン音を鳴らし、タイヤを舗装路にこすりつけている。あぁ、最近は電気自動車も増えてきたからね、あの独特な、ふぁーんふぁーんっていう電子音も混じってくる。
今日は朝から曇りがちだ。梅雨に入ったというのに、ここ数日、雨は降っていないや。でも明日からはここチーバでも雨降り予報だからね、リンくん、買い物へ行くなら今日のうちだよ。
「そうそう、リンくんはさ、まだどれだけの距離歩いて買い物の荷物持てるかわからないからなぁ。しょうがないからおれがついていってやるよ。」
おれがそう言うと、リンくんは、「さすがにボブおに持ってもらう荷物はないよ。」と、おれのことを抱っこしてきた。
「そか。おれってそんな非力かな?一応、ライオンのはしくれだけど?」
「いんや、そういうことじゃないけどさ。ボブおはおうちで待っててよ。一緒に食べるおいしいものを買ってくるよ。」
「わかった!気をつけるだよ。」
おれはリンくんの腕に抱かれて、そう答えるしかない。
この1年くらいで、お腹まわりにお肉がついたーだの体重が減らないーだのうだうだ言って、テレビの前でストレッチしたりなかやまきんに君の世界一楽な筋トレをしたりしてたリンくんは、どこかへ行ってしまった。
おれを抱っこするその腕からはずいぶんと太さと力強さがなくなってしまった。つい先日まで超望遠レンズを担ぐぜーなんて言ってたのに、たった数週間で体重は3kg以上落ちたらしい。
ま、歩かなかったらしいから当然ちゃ当然だけどね。
「そんなんじゃこれから暑くなる梅雨と真夏、乗り切れないぞ?」
おれはリンくんに忠告してやった。
「うむ。徐々に食べる量も運動量も増やして体力戻すさ。あ、でもおなかの肉は減ったままでいきたいけど!」
おっしゃ。その心意気。
「なぁ。風がキモチいいな。」
「ね。風が気持ちいい。」
おれらはそうやって、みどりテラスで過ごすんだ。
「ボブお、抱っこさせてくれて、ありがと。」
ンー。ありがとなのかな?なんて返していいかわからないけど。
「ん。リンくん、戻ってきてくれて、よかったよ。」
リンくんがいなくちゃ。
リンくんがおれを抱っこしてくれなくちゃ、おれはこの大好きなみどりテラスで過ごせないのだから。
いい夕方だ。
ボブお
「帰ったらしたいこと – リンくん退院できるってよ 番外編」https://bobingreen.com/2024/06/26/9619/