コアラのラアコがやってきた ラァ!ラァ!ラァ! – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢編)その3

「さーて、どのコにする?」

「そうねぇ・・・眠たそうな目してるのがいいわね。あ、お耳がかわいい。コッチのコは顔の幅が広いのね。んー、迷っちゃうわね!」

ちびっこでごった返すぬいぐるみ売り場で、コアラさんのお顔選びを真剣にする母娘がそこにいた。母は古希を過ぎ、娘は四十路だが、その表情は目尻を下げてゆるんゆるんだ。

うっす、旅グマころすけです。

4泊5日の名古屋&伊勢旅行、最初の観光スポットに選んだのは東山動物園だった。メンバーは、リンくんとリンママちゃん、そしてリンママちゃんが連れてきたウサギさんのフロプシーと、おれの4名だ。
(ここまでのお話はコチラ「初デートは東山動物園 – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢)その2」

・・・おっと、どうやら、ココで旅の連れがひとり増えることになるらしいぞ!

閉園間際のおみやげショップに滑り込んだおれら旅の一行は、大きなミッションを果たそうとしていた。

「あのね。今日はね、ママのお誕生日プレゼントにコアラさんをお迎えしたいの。だから、お気に入りのコを選んでね。」

「あらぁまぁ!そうなのね。」

「うん。最初っからそのつもりで来てるからね、遠慮しないでね。」

そう、リンくんとおれは事前に相談していてね。
リンママちゃんにとって人生初めてのコアラさんを見てもらってから、コアラさんのオハナ(ぬいぐるみ)をお迎えしてプレゼントしようっていう計画を立てていたんだよ。

なにせリンくんの母親だもの、根っからのぬいぐるみ好きだ。そして今回の旅ではウサギさんのフロプシーが同行してきている。ついにぬい旅デビューを果たしたわけだから、これからの残りの人生ももっとぬいたちと楽しく過ごしてもらいたいんだ。旅の思い出に、コアラさんをお迎えするなんてちょっといいでしょ?

店内をぐるぐると歩き回って大中小いろんなコアラさんのぬいぐるみを見たけれど、やっぱり最初に気になった、手乗りサイズのコアラさんの前に戻ってきた。

8体ほどのコアラさんのなかから、どのコをお迎えしようかと目鼻立ちや耳の具合や背中からおしりにかけての丸みを比べている。あぁそのコもいいわねぇ、でも、うーん・・・、と相談するリンくんとリンママちゃん。

「こういうのは直感よね。最初の子にするわ!」

リンママちゃんと目があったそのコは、右目と左目のまぶたの具合が少しアンバランスになっていて、左目のほうがより眠たそうにしているところが愛らしい。両手足を前に突き出しておすわりする姿は、ついさっきコアラ舎で見てきたリアルコアラさんにそっくりだ。リンママちゃんに「ワタシのこと抱っこしてーぇ」と甘えんぼしてる感じで、すっかり気に入ってしまったみたい。

「オッケー!じゃぁわたしお会計してくるから、店内見て待ってて。」

リンくんはリンママちゃんからコアラさんを一度受け取ると、レジの列に並んだ。


お会計を待つ間、ぼんやりと店内の様子を眺めていると、ちょっと許せない光景があったんだ。
ヘビさんのぬいぐるみを手にどうしてもコレが欲しいんだと言い張る男の子が、おじいちゃんと思わしき男性に、「それだけはどうしてもダメだ、気持ちが悪い」といってレッサーパンダさんのぬいぐるみを無理やり押し付けられているんだ。そのヘビさんは男の子の背よりも圧倒的に長い体長だから、手に持って振り回すたびに、みんなが土足で歩く店内の床に何度もついてしまっている。ビニール袋がかけられているわけでも、ましてや見本品でもないから、れっきとした売り物なのに・・・と見ているコッチがヒヤヒヤする。近くにはママさんもいるし、大声で何度もヘビはダメだと言うおじいちゃんだってその光景が見えているはずなのに、その行為には一切お咎めなしだ。

「なぁリンくん。ヘビさんもレッサーパンダさんも、どっちもかわいそうだよな。おれ、動物のことは・・・あぁ、ぬいのことは、大事に扱ってほしいんだ。」

おれは耐えられなくて、リンくんについ本音をもらしてしまった。

「むむぅ・・・言ってやりたいけど、こういうのは店員さんに対応してもらうほうがいいかな。」

「んまぁそうだな。そうしよう。それが賢明だな。」

それ以上首を突っ込むのはやめにしたけれどね、本当にぬいのことは大事に扱ってほしいものだ。おれがこんなおっさんになっても旅をできているのは、リンくんが大切にしてくれていたからだからね。そう。30年以上生きてるおれが言うんだから、間違いない。

さあて、気を取り直して。
リンくんがレシートを受け取っているすきに、コアラさんはおれとフロプシーの間に、するするるるーと入ってきた。

「んまぁ!何ごと?!」

何も知らなかったフロプシーは突然侵入してきたコアラさんに、たいそうびっくりしていた。

「あぁゴメンゴメン。説明不足だったよね。こちら、コアラのラアコ。新しいオハナ(家族)になるんだよ。」

店の外で待っていたリンママちゃんに、ホォラ!とお顔を見せて、無事にコアラさんはファミリーの一員になった。

“ホォラ!コアラのラアコです”

「ン?ラアコ?」

リンママちゃんは首をかしげている。

「あぁ・・・!ゴメンゴメン、それも説明しなくちゃね。あのね、このコのお名前はラアコっていうの。」

「もう決まってるの?」

「そう。おれとリンくんで、ママちゃんにコアラさんのぬいをプレゼントしようって話をしてたときに、もうお名前も決めてたんだ。コアラを逆から読んでラアコ、音がカワイイでしょ?もしお顔を見て全然違うと思うなら変えてもいいけれど・・・どぉかな?」

「コアラのラアコちゃん、いいじゃない!」

「うん、ラアコちゃんは女の子だよ。」

「ラアコちゃん、ようこそ!これからよろしくね。」

ホッ・・・!
おれは胸をなでおろした。無事にコアラのラアコをお迎え完了っ!

「ラアコ、これからリンママちゃんちのコになるんだよ。ちょっと先輩のウサギのフロプシー、そしておれはツキノワグマのころすけ。あ、おっと、このニンゲンは、リンくんっていうんだ。どうぞ、仲良くしてね。」

「はぁい?」

ラアコはわけがわからないといった雰囲気でキョトンとしたまま、おれらに微笑みかけて、それからヤァっと両手を前に突き出した。それはなんだかワクワクする出会いだった。

“ヤァ!ワクワクする出会いだね!無事にお迎え完了っ!”

コアラのラアコがやってきた ラァ!ラァ!ラァ!🎵

閉園まではあと5分。頭上には灰色の雨雲が迫っている。
急ぎ足でおれらは正門を抜けて、東山公園駅へと戻っていった。

「よっしゃ!栄でデパ地下寄るよ。大好きなお惣菜屋さんがあるの。今夜はホテルのお部屋で、ラアコの歓迎会しようー!」

おっ!なんだか夜もお楽しみがありそうだな!

(その4につづく)

ころすけ

「初デートは東山動物園 – ころすけの旅日記(名古屋&伊勢)その2」
https://bobingreen.com/2024/05/29/9335/

東山動植物園 公式ホームページ
https://www.higashiyama.city.nagoya.jp/

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Rin(リン)

ぬいぐるみブロガー、Rin(リン)です。 ライオンのボブ家と愉快な仲間たち、そしてニンゲンのケンイツ園長と一緒に、みどりキャンプ場で暮らしています。 ボブ家の日常を、彼らの視点でつづっていきます。

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