フクはすずちゃんとお花見がしたいの
「すずちゃーん!フクね、あのね、とってもとってもうれしいの。」
「フクぅ、すずもフクと一緒にいて、とっても楽しいよ。」
「すずちゃーん!だいすきだよ!」
「フクゥー!すずもフクのことだいすき!」
きゃっきゃきゃっきゃ!
きゃっきゃきゃっきゃ!
アザラシのフクこと鰒太郎です。
あのね、あのね。フクね、すずちゃんとお花見がしたかったの。
今日はね、ご近所の公園の桜をふたりで見におさんぽに来られて、とってもうれしいんだ。
だってね。聞いてよ。
最近すずちゃんってば、鳥さんに夢中なの。
だから、夜明けに目が覚めて、窓の外から鳥さんの鳴き声が聴こえると、すぐにバッって起き上がって、「鳥さん!鳥さん!鳥さーん!」って朝からコーフンしてね、それから、フクのことおうちに置いてきぼりにして、野鳥観察にお出かけしちゃうんだ。
フクはね、すずちゃんとほぼ同じ時期にこのおうちにやってきて、それから、すず&フクは仲良しコンビとして、常に一緒にいることが多かったの。その頃のすずちゃんは、「フク!フク!一緒にあそぼー!」ってずっと言ってくれてたのに・・・。
それなのに、最近のすずちゃんは、「フク」って呼ぶ回数よりも、「鳥さん」っていうコトバばっかりなの。
「すずちゃんは、フクよりも鳥さんのことを好きになっちゃったの?」
ある日、野鳥観察で遊び回ってクタクタのすずちゃんに、フク、聞いてみたんだ。
そしたらね。
「すず、フクのことだいすきだよぉ!あそぼー!」
「でもすずちゃん、お外でいっぱい遊んできて、眠たいんじゃないの?」
「ううん、フクのお顔みたら、もっと元気出ちゃった!」
すずちゃん、ちゃんとフクのことも好きみたいで、ちょっと安心したんだ。でもやっぱり離れ離れの時間があるのは、さみしいの。
「フクはすずちゃんのことが好きなの。フクはすずちゃんがイチバンなの!だから、すずちゃんのイチバンも・・・すずちゃんのイチバンも・・・フクであってほしぃんだよぉ!」
「うんうん、フクがイチバンだよ。ほぉら。ずっと一緒にいるでしょ?」
そういってすずちゃんはいつもするみたいに、フクの背中の上にのってくれた。
「じゃぁさ、すずちゃん、フクといっしょにお花見に行こう?ホラ、去年も行ったみたいに。」
(去年2023年のすずフクのお花見はコチラ → 「すずフクのお花見納め」)
「もちろんいいよ!」
「その日は鳥さん探しよりも、フクのこと見ててよ?ね?」
「アハッ!そうだね。でも、鳥さんにも会えたらいいけどね。一緒に見られたら、どんな鳥さんか教えてあげるよ。」
「んもー!すずちゃんってば、ホント夢中なんだね。」
そうやって、今日、すず&フクコンビの約束が果たされたんだ。
フクね、あのね、とってもうれしいよ。
すずちゃん、だいすき。鳥さんに夢中になってるすずちゃんのことも好き。
だけどひとつお願い。
鳥さんっていう回数よりもフクの名前を呼ぶ回数を増やしてほしいなぁ!
ね?すずちゃん?
「フクぅー!だいすき!」
すずちゃんは満開のモコモコの桜の木の下で、大きな声でフクのことを呼んでくれた。
フクはそれが、とってもしあわせなの。
「すずちゃーん、だいすき!」
フク(鰒太郎)