すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW – 第17回白く染まる並木はカワウさんのコロニー

キィーキィー
キャァーキャァー

まるで、何十人もの幼稚園児たちがものすごいハイテンションで元気いっぱいにはしゃぎまわっているような、かん高い声がそこらじゅうに響いているの。

目の前には、数百羽いるんじゃないかという、カワウさんの大群がお出迎え。

みんな繁殖期なのか、木の上の巣に入ってわたわたと羽を広げたり、ときにはお隣さんと争ったりしているように見えるんだ。

みなさーん！こんにちわーに。
ウサギのすずこと鈴之助です。

すずちゃんのぉぉぉぉぉっ、野鳥にびっくりでSHOWぉぉぉぉぉ！
今日はね、江戸川にかかる上葛飾橋を渡って、富士山や筑波山を眺めながら、なんとサイターマ県（埼玉県）は三郷にある、みさと公園までやってきたよ。

あのね。すず、ひとめ、遠くから見たときにはホントにびっくりしたんだ。
真っ白に染まる並木は、まるでソメイヨシノが咲いてるかのようだと思ったの。

「あれぇ、アッチの奥、ほら、川の向こう岸の並木さ、なんか白い花咲いてるのかな？え？ソメイヨシノには早いよね、いや、梅ってこともないか？エー？」

公園に到着するやいなや、リンくんがリュックからカメラを取り出しながら、不思議そうに話しかけてきた。

「すずもわかんなーい。ハテ？」

リンくんとふたりで、ちょっとずつ近づいてみたら・・・・、あぁ、わかってしまった。

白く見えていたのは・・・なんと、カワウさんのうこ💩、うこ💩、うこ💩。

「ひー！なんと！」

そう。大量のカワウさんのフンで、木が真っ白く染まっちゃってたんだ。

「あぁーびっくりした！」

「そうかー！うこか！あんなに真っ白くなっちゃうんだねぇ。」

たしかニュースなんかで、文化遺産がカワウのフンで被害を受けているっていうのを聞いたことがあったけど、まさにこういう景色になるってことなのかぁって理解をした。一例に、世界遺産に認定されている厳島神社のあるヒロシーマ県の宮島では、カワウ被害が増大していると聞く。

「カワウさんって、ただでさえすずよりもカラダが大きいのに、こんなにも大群を見ると、ちょっと近づきがたいなぁって思っちゃった。」

「だねぇー。鳥さんたちにとっても、ニンゲン社会は近づきがたい、コワイものなんじゃないかな。だからこうやって、ニンゲンが簡単に入ってこられないような場所に巣を作って繁殖するんでしょ？」

ふーむ。そっか。リンくんにそう言われて、すず、自分が感じていた違和感について、ちょっとだけ理解できたの。
カワウさんの生まれ持った生態として、群れをなして子育てするのは当然のことなんだよね。その場所がたまたま文化遺産だとか景勝地だとかだったりすると、とたんにニンゲンたちは「被害」っていうコトバを使うことになる。

でも、ニンゲン社会の都合は、鳥さんたちには関係ないこと。すずはニンゲンと一緒に暮らすウサギさんで野生ではないから、ニンゲン側の社会にいるってことになると思う。鳥さんに限らずだけれど、ニンゲンと野生動物が上手に棲み分けできたらいいよねって口で言うのは簡単なようだけれど、本当に難しい問題なんだなぁって、目の前の真っ白い並木を見て感じたんだ。

ちなみに、あとで地図を見てわかったことだけれど、すずたちがみさと公園側から見たカワウのコロニー（繁殖地）は、実際には小合溜（こあいだめ）という小川を挟んで向こう岸の、東京都立水元公園のバードサンクチュアリーに位置するらしい。バードサンクチュアリーという名の通り、あの場所は鳥獣保護区として管理されている場所だから、ココはカワウさんたちにとっては安心できる場所なんだろうね。