チーバのオランダで故郷を思う

ぐちゃっ・・・

「うぉぉぉ！足もと注意！泥んこになってるところあるぅ・・・！ひぇぇぇ。」

周りを見回すと、老いも若きも、ゴム長ぐつをはいた人たちがいっぱい。かたやうちのリンくんは、ニューバランスのスニーカー、しかも去年買ったイチバン新しいやつだった。

「リンくん、ココ来るの、何回目よ？」

「エ？年に3回、かれこれ4-5年くらい・・・？」

「ハァー・・・。」

「やっちゃったね。」

「うん、やっちゃったね。」

わたしたちは顔を見合わせて、クスクスって笑い合った。

こんにちわーに！くろクマのムツゴロオです。
こんにちわーに！しろクマのシチゴロオです。

わたしたち、オランダ生まれのムツ&シチコンビだよ。

毎年恒例、チーバは佐倉市にあるふるさと広場のチューリップフェスタに連れてきてもらったんだよ。
オランダとの交流を象徴するかのようなオランダ風車がランドマークのこの広場。今年は桜の開花が遅かったものだから、すっかりチューリップのことなんて忘れられちゃうんじゃないかってヒヤヒヤしたけれど、ちゃんと無事に来ることができました。

「そりゃあそうだよ。今日はムツとシチが主役でしょ？」

リンくんは、最近導入したばかりのてんとう虫UFO（てんとう虫柄のハット）にわたしたちをふたり乗せて、チューリップ畑のいろんなところで撮影をしているの。

カシャカシャ

「アッ・・・人が入っちゃった・・・。やり直し。」

カシャッカシャッ

「ふぅー、いい感じ！」

例年は朝早く、そう、7時とか8時とか、それくらいに来ることが多かったように思うのだけれど、今年はちょっとお寝坊してしまったから、すでにかなりの人数のお客さんが来ている。もうもうと湯気をあげている屋台も軒を連ねているし、なんなら猿まわしの小屋まで出ていて、お祭りらしいにぎやかさがある。

このふるさと広場はチーバは佐倉市にあるのだけれど、決して交通の便の良いところではなくって、京成電鉄のふたつの駅のど真ん中にあって、どっちから歩いても30分以上かかる。佐倉駅からはバスが出ているみたいだけど、本数は多くないし、このチューリップ祭りの季節は大混雑するみたい。
我が家は歩くのは平気だから駅からテクテクテクテクやってきたけれど、その間にも、線路沿いの田舎道は駐車場待ちのクルマで大渋滞を起こしていた。元来、人混みはニガテなリンくんだけれど、屋外だし、電車で来れば渋滞や行列を待つわけじゃないから、ココは大丈夫らしいよ。