ライオンとウサギが「はぁって言うゲーム」をやってみた
「ほらほら、見て見て!みんなでやろっぜー!」
ある日、ケンイツエンチョーがおみやげを買って帰ってきた。めずらしく食べものじゃないらしい。ニンゲンの手のひらサイズよりちょっと大きいくらいの箱の表面には、こう書いてある。
「はぁって言うゲーム」
こんにちわーにっ。ライオンのボブぞです。
前からね、ケンイツエンチョーはこのゲームのことを話していたの。「最近流行ってるらしいよ。リンくんの大好きな『ぷよぷよ』を作った人が作ってて、とっても面白いらしいんだよ。」ってね。
どんなゲームかっていうと、何人かで集まって、カードのお題にそって演技をして当てっこするらしい。例えばタイトルにもある『はぁ』っていうコトバについて、どんな場面で言っている『はぁ』かを、感情や身ぶりで表現することで他の人に当ててもらうんだって。
「へぇぇぇぇっ!おもしろそーう!すずもやってみたーい!」
パタパタパタパタ!
ウサギのすずが赤い羽根をパタパタさせてうれしそうにやってきた。だから、さっそくおでとすずでやってみることにしたよ。ホントは3人以上でやるものらしいんだけど、我が家はニンゲンがふたりしかいないから、ちょっとアレンジして2チームにわかれてチャレンジだよ。
すず&リンくんチーム、おでボブぞ&ケンイツエンチョーチームで対決だぁっ!最初のお題は、『はぁ』。ACT CARD(アクトカード)と呼ばれるアルファベットを書いてあるカードをそれぞれ1枚ずつ引いてから、順番に、自分には見えないように相手にだけ見せて、そのアルファベットに応じた表情をやってもらうよ。
先攻はおでだ。まずはすずが引いたカードをおでに見せる。そのカードには”E”と大きく書いてあって、Eに応じたお題はというと、『怒りのはぁ』だった。
おで、普段怒ったりすることはあんまりないからなぁ?・・・あ、いや、前言撤回。リンくんがおでの嫌なことやってきたら怒ってるや!そのときの感情を思い出して、思いっきり嫌ぁな感じで言ってみた。
ボブぞ「・・・ンはぁぁぁぁぁぁ?(下からナナメを見上げてちょっとつけながら)」
すず「いやーん!ボブぞオヤビン(親分)こわーいっ!えーっとねぇえーっとねぇ・・・。”E”の『怒りの「はぁ」』、かな?」
ボブぞ「オッ!正解ッ!おで、演技派だろォ?でへっ!」
すず「すず、わかっちゃったもんねー!えーっと次はすずの番ね。」
後攻のすずにバトンタッチする。おでは引いたカードをひっくり返して、自分には見えないようにすずの方に向けた。おでは自分自身が何を引いたかは見ていないから、すずの表情と声で当てるのだ。
すず「はぁぁぁぁぁ・・・(シュンと下を向いて)」
ボブぞ「ンー難しいなぁ。”C”の『ぼうぜんの「はぁ」』かなぁ?」
すず「えーっ!ちがうよー!」
ボブぞ「むむっ。違ったかー。じゃぁ、すず、もいっかいお願いします!」
すず「・・・はーぁ・・・(シュンと下を向いてため息まじり)」
ボブぞ「アハッ!さっきと違うし!えーっと、”H”の『失恋の「はぁ」』だね?」
すず「せいかーい!!!わーい!わーい!オヤビン、ワンペナね!」
ボブぞ「おー、おでが負けってこと?ハテ?この遊び方だとドッチが勝ちでドッチが負けなのかよくわからないな。」
やっぱり2人用じゃないから無理はあるみたいだ。でも、演技力を競うのか推察力を競うのかでどっちを勝ちとするのかはさておき、お題を見て演じて、当ててもらうっていうのはとってもおもしろい遊びだってことはわかったぞ!
その後もおでとすずはお題を変えながら、いろんな演技をして遊んだんだよ。積んであった最後のお題カードが終わったところで、ケンイツエンチョーが実は・・・と話しだした。
エンチョー「実はね、お題のカード、表情だけのやつも入ってたんだけど、抜いておいたよ。『ウィンク』、とか『うなずき』、とかね。ちょぉっとみんなにはハードル高いでしょ?」
ボブぞ「あっはーそういうことねぇ!うなずくことはできるけどな?ウィンクはー・・・確かに難しいかもな。」
すず「じゃぁさ、じゃぁさ、エンチョー、ねぇねぇ!すずにお題くださぁーいっ!」
エンチョー「おー!オリジナルのお題ってことだなぁ?」
ケンイツエンチョーはしばらく考え込んで、それから、すずが喜びそうなお題を出した。
エンチョー「えーっとじゃあねぇ・・・、動かないはずのハシビロコウが目の前で飛びったときの、『おお』」
すず「ォホゥ・・・!(にゅーんと首を伸ばしながら)」
エンチョー「カワセミさんがアタマの上にとまったときの、『おお』」
すず「・・・ぉー(声を出せない)」
アッハ!カードにそって一回やってみたら、なんだか別の遊びに発展しちゃったの。でもね、すずがずぅっと「ハァ?」とか「オォー!」とか言って、うれしそうにはしゃいでるから、良かったかなぁって、思ってるよ。
後日譚。
この「はぁって言うゲーム」を気に入ったケンイツエンチョーは、近所のディスカウントスーパーにあったガチャガチャで、ミニチュア版を見つけて持って帰ってきたの。ホンモノよりも4分の1くらいの小さいサイズだけど、箱を開けるとちゃんと中にはカードが入っていて遊べるようになってるんだ。
我が家の最小クマコンビ、ムツゴロオ&シチゴロオがのこのことやってきて、ふたりで遊び始めたよ。
「ハァ?」
「はぁぁぁぁ・・・」
「は?」
「・・・ハッ!!!」
「ンーーーハァっ」
最近の我がボブ家では、日々「はぁ」ってコトバが飛び交ってるんだ。
ケンイツエンチョー、おもしろいゲームを見つけて買ってきてくれて、どうもアリガトなのー!
「はぁって言うゲーム」、ぬいのオトモダチ同士でもちゃんと遊べるから、やってみてね!
せーのっ
「はぁー!」
ボブぞ
「はぁって言うゲーム」 幻冬舎公式ホームページ
https://www.gentosha.co.jp/s/haa-game/