「の」の魔力に引き込まれる
小人さん、どうぶつさん、ニンゲンの子ども。
ピエロさん、怪物さんに、悪魔さん。
いろんな生きものたちが、紙の上で命を表現しているの。
列車や建物、森に街、あちらこちらの線が繋がって、複雑に絡み合う。
こんにちわーに。オハナ学園ゲージュツガクブ(芸術学部)のすず&フクコンビだよ!
あのね、チーバは佐倉にある佐倉市立美術館で開催されている、juinaidaさんの展示会にやってきたよ。junaidaさんは、絵本や挿絵、本の装丁で活躍している現代画家さんなんだ。
タイトルは、”IMAGINARIUM”。想像のイマジンとプラネタリウムとかアクアリウムとかのホニャララリウム、というコトバをくっつけた造語らしいんだ。
展示会のポスターには「光も闇も引き連れて 絵筆に灯る 想像と空想」というコピー。それから、赤いコートを着て黒い帽子をかぶった三つ編みの女の子の後ろ姿。その帽子には空想の街ができていて、そこにはたくさんの生きものたちが活動している。
「ふぅん?フシギー!」
「そうだねぇ、不思議なメルヘン世界。」
すずが小さな声でつぶやいたら、リンくんもほぉっとひとつ息を吐いた。
展示室の中に足を踏み入れて、まずは全体を俯瞰して見てみる。だけれど、すぐに引き込まれて、額の目の前10cmまで近づいてしまう。息を大きく吹きかけないように静かに呼吸をしながら、よぉくよぉく目を凝らして、端から端まで、眺めていく。
遠視と乱視の混じったリンくんは、メガネを忘れたことをたいそう後悔していた。(日常生活では面倒くさがって裸眼で過ごし、パソコンや読書のときだけかけるからだ。)それくらい、ものすごく緻密に描き込まれた絵なんだ。
想像力とか?創造力とか?到底そういったコトバでは足りない、宇宙だと思う。
junaidaさんのアタマの中って、一体どうなってるんだろうってとても興味がわいたの。
特にね、すずが興味を持ったのは、『の』という絵本の原画なの。赤いコートを着た女の子の一枚の絵から始まる。文には、たくさんの「の」。すずはニンゲンのコトバのことはあんまりよくわかっていないけれど、リンくんに言わせれば、ぜーんぶを「の」で繋いで紡いでいって、物語の世界を創り上げているんだって。
始まりは、「わたしの お気に入りのコートの ポケットの中のお城の」。
あまりにおもしろくて引き込まれてしまって、左から右へと何度も行ったり来たりしてクスクス笑っちゃった。
作品一点一点を撮影するのはNGだったから、会場の雰囲気だけをカメラにおさめてきたよ。
あ、そうそう!佐倉市美術館はね、元々銀行だった大正時代の建物を保存して活用しているんだ。特に、エントランスがすてきなんだよ!
この秋、ぜひチーバは佐倉へアートお散歩に来てみてねー!
すずでした!
「フクも一緒にいるよー!プクプクプク!」
すず(鈴之助) & フク(鰒太郎)
junaida展 「IMAGINARIUM」@佐倉市立美術館 / 2023年8月5日(土)~9月24日(日)
https://www.city.sakura.lg.jp/section/museum/exhibition/2023/202308junaida.html
junaida 公式ホームページ
https://www.junaida.com/
佐倉市立美術館(千葉県佐倉市)
https://www.city.sakura.lg.jp/section/museum/
junaida 『の』、福音館書店、2019年
https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=5969