うなる空とうなりくんのおなーりー
(ゴォォー・・・)
鼠色に重くのしかかるその雲のさらに上空で、姿の見えない飛行機が、うなっているの。
2月ももう折り返してしまった。19日のニチヨービ、まだ朝の10時前。
ついこの間まで、ガクガクブルブルとモーフにくるまっていたのに、今日は急にあったかくなった。でも、空を見上げれば青い部分は思いのほか少なく、風が動いているのがよくわかるの。
みんな、こんにちわーに。ウサギのすずだよ!
今日はね、ニチヨービだけど、みんなで早起きしたんだ。
それでね、いつものトートバッグに入って、みんなでおでまめ(おでかけ)に来たの!
さて、突然ですが、問題です!
ココはドコでしょーかっ?
ヒントはねーぇ・・・
- チーバで飛行機がいっぱい飛んでる町
- すんごいでぇっかくて古い建物があって、近くではおいしいものを売ってるお店がいっぱいある
- お不動さまのいる、広いお庭
ハイッ!正解はぁっ!
成田山新勝寺の中にある、成田山公園でぇす。
去年、すずがこのボブ家に仲間入りして間もなくして、遊びに連れてきてもらった思い出のお庭なんだよ。小川が流れていたり小さな滝があったり、きれいに手入れされた木々が茂っていたり、ココでパタパタ遊ぶだけでとっても気持ちいいんだ。
成田山では2月の中旬から梅まつりっていうのが始まったんだって。それでね、成田市のアイドル“うなりくん”が、今日、成田山公園に遊びに来るっていうから、すず、会いに来たんだ!
今朝のこと。
いつもの目覚ましがなる前に、すず、パチっパチパチっ!って目が覚めてね。横でまだねむねむしてるリンくんに話しかけたの。
「ねーねー!リンくん!起きて!起きて!今日ね、今日ね、うなりくんが、成田山に来るんだよ。だからさ、会いに行こうよー!」
「あぅうあー!すず、おはーに。ニチヨービなのに、早いねぇ!急にどした?」
「リンくん、おでまめしよぉよぉ。成田山連れてってよぉ。」
すずがパタパタはしゃいでたら、ケンイツエンチョーも起きてきた。
「おわぁー!すず、おはようさん。もう起きたのかー!早いのぉ。」
「ねーねーエンチョ!エンチョ!うなりくんって、ちょっとすずと似てると思わない?今日うなりくんに会いに行こぉよ!」
「アハッ!確かに、きれいな青で、まぁるっこいアタマで、くりくりお目めで、オナカが白くって、羽根があって。似てるかもなー!」
「ホラホラ!そうでしょ!すず、うなりくんと写真とりたいな!会いに行こうよー!」
「おっしゃ、みんなでお散歩しに行こうか!」
そんなわけで、すず、リンくんをたたきおこして、エンチョーにおねだりしてね、連れてきてもらったんだ。
園内は梅まつり、と言うにはまださほど花は開いていない。固いつぼみがようやくちらりほらり少し開いてきたかな?くらいの、いわゆる咲き始めだ。
でも、すずは花よりだんご・・・じゃないや、花よりうなりくん!ってなわけで、梅の木をボンヤリ眺めてるリンくんを急かしながら、会場までパタパタ飛んでいった。
パタパタパタパタ・・・
パタパタパタパタ・・・
「すずちゃーん、待ってぇ待ってぇ。」
「あぁ、フクごめんんよぉ。すず、急ぎすぎちゃったね。ごめんね。」
アザラシのフクが、エンチョーが抱っこするトートバッグのなかで、不思議そうな顔をしている。
すずはというと、リンくんに抱っこされて、会場のアッチコッチを飛びまわって、キョロキョロしてる。
段々と会場には人が集まってきた・・・といっても、ちびっこ連れのファミリーが数組。それから、うなりくんグッズを身にまとった大人たち。その後ろで、すずは姿勢を正して、シャキーンと立っているの。
「ねぇねぇ、リンくん。うなりくんファンのウサギさんは、すずだけかなぁ?どぉ思う?」
「ふふ。そうかもねー!それから、すずみたいなかわいいウサギさんを連れたニンゲンも他にいないでしょ。ほら!一緒に写真撮ってもらえると、いいねぇ!」
「うんっ!」
わーくわく!わーくわく!
わーくわく!わーくわく!
(ゴォォー・・・)
またひとつ、飛行機が轟音を立てて飛び去っていった。
成田空港に降り立つのか、それとも飛び立ったところなのか、どちらかはわからない。上空はどうやら強風のようだ。目に見えて流れ行く雲の間からうっすらと陽の光がさしては、また別の雲が青空のすき間を隠していった。
「おまたせしましたぁ。うなりくんが遊びにやってきましたぁ!」
MCのおねえさんの声が聞こえた。おまつりの係員さんたちはみんな藤色のハッピを着ている。ステージは用意されているものの、これは午後の音楽会用のものらしい。特にトークも演出もないまま、すずたちの前に、うなりくんが笑顔でやってきた。
「うーなーりーくーん!わぁー!」
会場に集まった人たちから声が上がり、みんなスマホを構えて写真を撮リ始めた。
「うなりくん、ホントに来たね!すずも、近く行きたいなー!」
「そうだね、うなりくん、意外と背ぇちっちゃいなぁ!うなりくんのおなーりー!だね!」
「アハッ!うなりくんのおなーりー!」
リンくんに抱っこしてもらって、なんとなぁくの順番待ちの列に入る。ちびっこたちやうなりくんグッズで固めたねえさんたちの後に、そっと近寄って話しかけてみた。
「うぅなりくーん!こんにちわーに。あのね、ウサギのすずって言います。一緒にお写真撮ってもらってもイィですか?」
(・・・コクン。)
「うひゃぁ!うなりくん、すずのコトバに、うなずいてくれた、気がする!」
(ハイー!撮るよぉ)
「アリガトございましたぁー!パタパタパタパタ!」
すず、うなりくんと似てるのかなって思っていたけどね。
実際にうなりくんの真横に並んでみたら、びっくりするぐらい、うなりくんは大きかったんだ。ううん、すずが小さいのかな。
リンくんはうなりくん、思ったより小さいって言ってたけどね。それよりもずぅっと小さいすずって、すんごいすんごいちっちゃいんだって、思ったよ。
「あぁれーえ。すず、ちっちゃいんだなぁ。」
「ダイジョブ。すずはそのままでいいんだよ。すずが、うなりくんくらいのサイズになったら一緒におでかけするの大変だから、どうか、そのままで、お願い。」
「アァー!そっかぁー!わかった!アハハッ!」
写真撮影が落ち着くと、そのまま園内をお散歩するうなりくん。
段差のある道を、まぁるっこい黒い足で、小さな歩幅で、慎重に一歩一歩進む姿がかわいい。
と思えば、後ろ姿がまたキュート!なんとウナギさんのしっぽの形してたんだ!
「うなりくんは、しっぽまでかわいいんだねぇー!」
しばらくうなりくんを追っかけてお不動さんのお庭をパタパタと飛びまわった。またひとつ、飛行機が飛んでいった。
(ゴォォー・・・)
「ここで一句。
・・・・・、・・・・・・・、・・・・・」
リンくんが急にむっつり黙ったかと思うと、指を折りながら、ブツブツと俳句を詠みだした。
「あっ。できた!コレ、出してこーっと。」
会場の横にあった長机の上には細長く切られた紙とえんぴつ、それから、「梅まつり 観梅句」の看板。
「・・・・・、・・・・・・・、・・・・・」
「どぉどぉ?ウフフ。なかなか良くない?」
すずは俳句ってヤツよくわからない。それに、それを聞いたエンチョーも苦笑いしてた。
「リンくん、それは自己満足ってヤツだな!フハッ!」
「いいんだよぉ!いいんだよぉ!楽しいんだからいいんだよぉ!エヘヘ、出しちゃおー!こういうの出すの初めて!」
リンくんはえんぴつを手に短冊にできあがった句を書いて、ポストへ投函したんだ。すずも書くお手伝いしたんだよ!
うなりくんの後ろ姿を遠くから眺めて、成田山公園を後にした。
「うなりくん、まったねー!」
すず、今日すっごく楽しかったんだ!ダイコーフン!
それに、なんだかリンくんはリンくんで、楽しいイチニチだったみたいだよ。
みんなで、いっぱい歩いて、いっぱい笑って、いっぱいはしゃいだ!みんなニコニコして、すず、とってもうれしかったんだ。
「ふわぁー!すずね、今朝は早起きしたし、うなりくんを追っていっぱい飛びまわったから、おーなかすぅいたーよー!エンチョー!ゴハン食べに行こーぉ!」
その瞬間、エンチョーの腕の中でジィっと待ってたフクが、ニヤリと笑った。
フク、いっぱい待ったんだよね。すずが、うなりくんばっかり追っかけたからさみしかったのかな?
さぁ、一緒においしいもの食べよぉね。
うなりくん、成田山での楽しいイチニチをどうもアリガトウでした!
またあっそぼぉーねー!
パタパタパタパタ!
すず(鈴之助)
うなりくんオフィシャルホームページ
https://unarikun.jp/
成田山新勝寺
https://www.naritasan.or.jp/
成田の梅まつり (成田市観光協会 公式サイト FEEL成田)
2023年2月18日~2023年3月5日 開催場所: 成田山公園
http://www.nrtk.jp/enjoy/shikisaisai/ume-festival.html
すず(鈴之助)の成田山散歩はコチラもどうぞ↓↓↓
「お不動様のお庭で赤い羽根を伸ばす」
https://bobingreen.com/2022/05/13/1994/