お不動様のお庭で赤い羽根を伸ばす

「ジーッ・・・・・！！！！！」
こんにちわーに。鈴之助こと、すずだよ！

ゴールデンウィークまっただなかの5月4日のこと。
朝早起きしたらとってもお天気が良くてね。何して遊ぶー？って、エンチョーの近くをパタパタと飛び回ってたらね、急におでまめに連れてってもらえることになったの！エンチョーはフットワークが軽くて、お休みの日になるといろんなところに連れてってくれるんだ。

今日はライオンのボブ家のカミとおやびんとボコちゃんも一緒だよ。あ、カミってのはボブおさんのこと、おやびんはボブぞさんで、ボコちゃんはボブこちゃんね。

カミとおやびんとボコちゃんと一緒におでまめ用のバッグに入って、エンチョーに抱っこされて、バスと電車にゴトゴトと揺られる。電車はこれまでにも乗ったことあるんだけれどね、すず、バスは初めてなの。

チラっと窓の外を見ると、どんどん建物がなくなると同時に、緑色と茶色と水色の景色が広がっていた。草と、土と、空だ。リンくんはというと、電車の窓の外に向かってわちゃわちゃしゃべってる。

あー！先月チューリップ見に来た時には一面まだ土だったのに、水、はいったねぇ。田植えがはじまったんだねー！おわー！

目の前には、大きなタブレットで飛行機の写真を凝視する少年。その隣には大きなスーツケースを膝の間に抱えて楽しそうに話すカップル。そう、この電車は特急成田空港行き。おやびんから教えてもらったんだけれどね、ここ2年は連休とかゴールデンウィークと言っても旅行どころか遊びに出かけるのも気が引けるようなご時世が続いていたから、本当に久しぶりの感覚なんだってさ。すずはねー、もっともっと、長い間、暗くて狭くてジメジメしたところで、誰ともしゃべらずジーっと耐えていたから、よくわかってないのだけれど。とにかく目の前のものが、全部キラキラして見えるよ。どんな景色だって初めて見るから、なんでも楽しいの。
目的地に着くまで、ほわーってしながら耳をパタパタさせてジーっとバッグの端から外を眺めてたんだ。

到着したのは成田駅。オフドーさん、ってところに行くんだって。すず、オフドーさんが何なのかはよくわかってないけど、みんなでわざわざお休みの日に来たんだ、きっとすごいところなんだよね？ね？おやびん？

そうだよ、すず。オフドーさんはすげぇんだぞ。すっごい広い境内のなかにあるでっかいお堂の中で、ドーンと構えてらっしゃるんだ。すず、ちゃんとご挨拶してな。

あーい、おやびん。すず、ご挨拶、スルー！

ボブぞおやびんはとっても親切で優しくて強いんだ。おやびんみたいになりたいなって憧れてるんだ。いっぱいことばも覚えて、自由におしゃべりできるようになるよ。

よっし、いざ、お参りだよ！

“成田山”の総門をくぐる。ボブ家ではこの成田山新勝寺に来ると門のくぐり方にルールがあって、柱で区切られた真ん中、右、左、とある入口のうち、真ん中は通らないんだって。しかもリンくんはなぜかいつも目をつぶってくぐる。
つい数年前まで成田山にはお参りしたことがなかったから、まだ緊張するよー、とのことだ。リンくんは今回が人生で3度目の新勝寺だ。
今回も左側から入った、みんなでギュッと手を握って。