ライオンボブこ、”彼女”たちに憧れる
わたくしの目に飛び込んでくる、1,800cm四方の巨大なキャンバス。
そこには、ショートボブヘアの”彼女”がジィっとこちらをのぞきこんで手を差し伸べてくる姿が描かれていた。
1歩、2歩、3歩。
だんだんと近寄ってみると、黒いマーカーペンで塗りつぶした生き生きとした線の重なりが見える。さらによく目を凝らすと、少し盛り上がったような白の修正痕もわかる。
“Eguchi 2022.10.30″のサイン。この場所で、観客を前にしてライブペインティングで描かれたものだという。
「うーん!わたくし、生で見てみたかったぁーーー!」
ついため息をもらしてしまった。
ライオンボブこです。
今日はね、バスと電車を乗り継いで、チーバは千葉みなとエリアにある、千葉県立美術館までお散歩に来たよ。漫画家でイラストレーターの江口寿史先生の展示を見に来たの。
タイトルは、「江口寿史イラストレーション展 彼女」。”彼女”たちを愛らしくも雰囲気たっぷりに描く江口先生の作品がたーっぷり楽しめると聞いて、ワクワクしてやってきたよ。
入場料は破格の500円。さすが、県立美術館。館内写真撮影もOKだというから、わたくしはリンに抱っこされたまま、入り口からずぅっと一緒に見て回ったの。
企業広告や雑誌の表紙、CDやLPのジャケットなんかでも見かけたことのあるポップなタッチと発色。何よりも、伸びやかでスムーズな曲線の重なりが、四角い空間の中に柔らかい空気を生み出してる。
そして、シンプルに、みんな、すっごくすっごくかわいい!!!
スニーカーやジーンズのカジュアルスタイルのファッションの表現がすごく好き。オシャレさがあるのに、ただのファッション画じゃなくて、その”彼女”の人となりが伝わってきそうな、声が聞こえてきそうな、そんな表情がすてきなの。
「いいなぁ、いいなぁ。わたくしも、江口先生のモデルになって描いてもらいたいなぁ・・・。うふふ。ねぇねぇ、ライオンでも絵のモデルに、なれるのかしら?」
リンくんにそう話しかけて振り返ってみると、リンくんは惚けた顔をしてぼんやりしていた。
「うぅ・・・。あやうく涙出そうになっちゃった・・・。」
「エ?どうしたの?」
「うん。この絵、すごく、いいな、ってね。」
それは夏の夕暮れ空と、窓際に横座りする”彼女”と猫が二匹、描かれた1枚だった。猫は逆光で黒く影のように表現されている。”彼女”はマドラスチェックのサマードレスを着て、目を閉じて夕暮れの音に耳をすましているような、そんな姿だ。
「夏の音、聞こえるね。」
わたくしとリンくんと、その場でしばらくぼんやりと佇んで、この”彼女”の人生の一瞬を妄想して遊んだ。
それぞれの展示室にはテーマがあって、音楽関連の作品だったり、街や自治体の広告だったり、ワイン雑誌のアートワークだったり、はたまたデビュー当時のギャグ漫画作品の原画だったり。江口先生ワールドをおなかいっぱいココロいっぱいになるまで堪能したの。
展示構成の最後の方に、公募した一般人をモデルに、江口先生がボールペンでライブスケッチした人物画がたくさん貼り出されていた。
「ねねね、ボブこー!私もコレ描いてもらいたかったーーー!モデルになったら家宝にして遺影にする。」
「・・・ほらね。さっき、わたくしも、同じこと言ったのにね。もう、、、リンくんってば、まったく人の話、聞いてないんだから。」
大満足の展示。たくさんの”彼女”たちに会って、すごく楽しかったよ!
江口先生、次のモデル公募の際には、ニンゲンだけじゃなくって、ライオンも混ぜてくださいな。お願いします!
ウフフ。
ボブこ
※Rin注: 千葉県立美術館での開催は2023年1月15日(日)までだそうです↓↓↓
「江口寿史イラストレーション展 彼女-世界の誰にも描けない君の絵を描いている-」
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/ART/contents/1657180201211/index.html
千葉県立美術館
http://www2.chiba-muse.or.jp/www/ART/index.html
※Rin注: *吉田拓郎『一瞬の夏』のインナージャケットのアートワークだそうです。
※過去のアート散歩のお話はコチラからどうぞ↓↓↓
「おひさまの色、どうぶつの気持ち」
https://bobingreen.com/2022/11/01/2911/
「勘九郎ペンギン、水丸先生に会う」
https://bobingreen.com/2022/08/22/2500/