梅の枝ぶりと花つぼみ
ブルブルブルブル・・・。
人っ子一人いない、早朝の偕楽園。まだかろうじて太陽の光を感じる程度で、お気に入りのダウンを着ていても、スッゴク冷えるの。
アタクシ、ボブ子よ。
昨年に続き、今年も水戸の偕楽園へドライブに連れてきてもらったの。我が家のドライブは、いつも弾丸ツアー。前日の夜に出発して、近くのディスカウントスーパーでおつまみとお酒を買い込んで、モビスケのなかで車中泊するの。朝は早くに起きて、そこから目的地へ向かうのが定番なの。
今回仮眠した場所はちょっと冷えるというから、電気湯たんぽと毛布を一枚足して、ぐるぐる丸まって眠ったの。あ、アタクシたちは、専用のハンモックよ。いいでしょ?
朝目が覚めて、魔法瓶のお湯でインスタントコーヒーを作る。
さ、向かうよー!
エンチョーの運転で出発!車窓からは朱色に輝く日の出を見られたの。
30分ほどで目的地に到着。
さぁ駐車場に入ろうとゲートに留まると、営業前です、とアラートがでた。その横の貼り紙を見ると、朝8時~とある。
えええ、、。。。あれれ、まだ入れないの???駐車場ほかに探さなきゃいけないのかな?
エンチョーが戸惑ってたら、オレンジ色のジャンパーを着て、手にトイレットペーパーを2個抱えた初老のオジサマがやってきた。
かもーん。と手招きしてくれた。いいよ、前払いだけどごひゃくえんね、あとで領収書、ワイパーのとこ置いとくから。
しっかし、早いねぇ!!!
あ、あ、、、、。もうそろそろ咲きはじめてと混んでくるのかと思いまして。
エンチョーが応対する。ラッキーなことに500円玉があった。このキャッシュレスの時代に、小銭入れをじゃらじゃらするエンチョー。こういう時、いっつもスマホ片手にぺいぺい言わせてるリンは、まぁったく使い物にならないの。
まだ朝の7時前。無事に常盤神社の駐車場にモビスケを停めて、外へ出る。すっきりとした青空。日はまだ低く、目の前の景色は全体的に青っぽく感じる。神社の境内には梅まつりの屋台が立ち並んでいるけれど、当然、まだひとけがない。あと2-3時間もしたらいい香りを漂わせて人々が行きかう活気でにぎわうのだろうと思うけれど、そのころには私たちはもう帰途の予定。
「昼酒飲めます」の貼り紙を見たリンがつぶやく。
くぅー、いいなぁ。こんな屋台で飲むってずいぶん長いことしてない気がするね。
ま、オープンしたところで今日はモビスケだから飲めないけれどね。
さぁ、神社を抜けて、門の前についた。エンチョーに入場券を買ってもらう。
ニンゲン2人(に、ライオンが3人、クマ2人)ね。
リンくん、みんなと先に入ってて。イップクしてから行くから。
エンチョーはそう言って喫煙所へ。リンと私たちは先に園の中へ。
おはようございますー。
係のオネエさんにご挨拶。もしかしたら私たち、一番のりかもしれない。だって、本当に人っ子一人いない。
ピゥピゥ。
鳥の鳴く声に呼ばれた。黄緑色をした小さな鳥が、入口近くの紅梅の木に留まっている。さっそく咲いてるね。
門のところに示してあった開花状況は2割。ちょっと早いかな?でもね、ちょっと早いくらいのほうが、人も少なくていいし、枯れちゃってるより好きだねって、リンと話す。
お待たせー。エンチョーが合流。
さ。ボブこさん、さっそくどぉぞ。好きに散策しよう。
リンに抱っこされて、そこここらを歩き回るの。紅梅の”八重寒紅”がぽつぽつと咲き始めている。
でもね、花が咲いてなくたって、梅の木はおもしろくて好きなの。丸みを帯びたつぼみやその色づきの仕方。まったくまだつぼみを固く閉じている種類もある。そんな木もスルーするのではなく、幹や枝のカタチ、その名前の札を見ながら歩くの。
梅は、エダブリがいいよね。
エダブリ?
そう、枝ぶり。
これまで、そんなコトバをなかなか使う機会はなかったけれど、そうね、この偕楽園の梅の木々こそ、枝ぶりが立派、とか、枝ぶりが美しい、とか、そういった表現がぴったりなのだろうと思う。
1842年に開園したという偕楽園。ん?180年・・・???もしかすると、その頃から残ってる木もあるのかもしれないと思ったら、自然の力ももちろんなのだろうけれども、それ以上に、開園以降の歴代のお庭のプロたちがずっと手入れをしてきたであろうそのことに、重みを感じる。
ほら、みて、あの幹、グルングルン巻いてる。
決して太くはない幹の、しかも一部分しか残ってない一本。いくつもの支えに守られてかろうじて立っているようにも見える。それなのに、しっかりと花つぼみをつけているその姿には、すごくタフさを感じる。
あぁ、ようやくお日さまの光が高くなってきた。
逆光で眺める木のシルエットも美しくて、影絵で遊んでいるかのようだ。
しっかし、まだ寒いねぇ・・・・!!!そろそろモビスケに戻ろう。
天気予報によれば、今日はこの後、昼間は15度まで気温が上がるのだという。それが信じられないくらい、手の指先もつま先もキンキンに冷え切ってしまった。
早春を知らせる梅の花つぼみ。これから少しずつ寒さが緩んで、あたたかな春がやってくるんだね。
この後、きっといっぱい人が来て、その賑わいと熱気でまた花がいっぱい開きそうだね。
寒さに耐えながら力強くそこで立ち続ける梅の木々に、パワーをもらったの。
満開に向かう梅園を想像しながら、一足お先に、おうちに帰りましょ。
ありがとう、偕楽園。また来るわねー!
ボブこ
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