夏の出口と秋の入口
リゥリゥリゥリゥ。
ヒュイヒュイヒュイヒュイ。
虫の声ってなかなかマネするのがむずかしいな。
ボブ男です。
みどりキャンプ場、夜、11時。
まわりは結構みんな早寝だからとっても静かで、キャンプ場では虫のこえが響いてる。
ついこないだまで、夜になってもセミが暴れまわってたのに、すっかり、秋の入り口だ。
おれはクンクン、ってしながら、リンくんに連れられて、みどりテラスに出てみた。
ここ、みどりキャンプ場は、おれの生まれた場所。おれの実家であり、いまも暮らしてる、大切な場所。
クンクン。クンクン。クン。クン。
鼻をきかせると、音まで鮮明に聞こえてきて。
おれの気持ちはなんだか落ち着く。
クンクン。クンクン。クン。クン。
鼻をきかせると、目までよく見えるようになってきて。
おれの好奇心がちょっと沸き立つ。
ねえ、リンくん。星、見えるね。
星、見えるねぇ。なんだろねえ。
うう・・・。ねえ、ボブ男。足、虫に刺されたっぽい。カユイ・・・。
・・・しょうがないなあ。じゃ、部屋の中、戻ろっかね。
リゥリゥリゥリゥ。
ヒュイヒュイヒュイヒュイ。
夏の出口が見えてきて、秋の入口に近づいてる。
今夜はちょっとだけ涼しいといいな。
おやすみなさい。また明日。
ボブ男。