すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW — 第35回オトナの鳥見さんぽ

「あ、ソコにジョウビタキいますよ？ホラ、あの木の上。」

以前にもお会いしたことあったかしら、完全防備の様相のマダムバーダー。かなり本格的な双眼鏡と、それからネオ一眼カメラ（野鳥も撮れる超望遠タイプのレンズ一体型カメラ）も携えて、リンくんに話しかけてくれた。

「そうですね。声がしますねー。」

ヒッヒッヒッという小さな声で鳴き続けるジョウビタキ。指さされた先を見ると、メスだった。

「あ、そこ。メスですね。」

リンくんはそう言うと、カメラのファインダーではなく、双眼鏡を手に取り、のぞきこんだ。

ヒッヒッヒッ

ジョビ子ちゃん、逃げることなく木の枝の又のところでたたずんでいるの。

パタパタパタ！

こんにちわーに。鳥さん大好き、野鳥レポーターのすずちゃんこと鈴之助です。

さぁて、今年も残すところあと2週間。おそらくこの谷津干潟に来るのは年内最後になりそうなの。

今日はリンくん、いつもの望遠レンズではなくて、小さいレンズを装着してきてるの。

「リンくん、そのレンズで鳥さん撮れるの？」

「うーん、まあ、どうかなぁ。遠景なら撮れるだろうけどね？今日はどーしてもこのレンズを試したかったの！」

フーン？

一昨日ゲットした新しいレンズをお試しするためのおさんぽなんだってさ。
（新しいレンズのお話はコチラ → 「オムぞう用のニューギア、イチニーヨンゴーがやってきた！」）

オムぞう用のニューギア、イチニーヨンゴーがやってきた！

「でも双眼鏡も持ってきたし、鳥さんはたくさん見られるよ。ね？いいでしょ。」

「わかった！じゃぁ、今日はオトナの鳥見さんぽだぁ！いつもみたいに鳥さんを見つけたらカメラを向けて連写しまくるんじゃなくて、耳で探して目で見ることを楽しんで、鳥さんとの時間を共有するってやつ？」

「そうそう。ゆるっと歩きつつ、鳥さんの声を楽しんで、自然と一体化できたらいいね。」

そんなわけで、2025年最後の「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW」はしっとりとオトナっぽくお送りしますよー。
ウフフ。

冒頭のマダムだけどね、リンくんがカメラを持っているにもかかわらず、ジョビ子ちゃんを撮らなかったことを不思議に思ったみたいなの。

「リンくん、撮らないの？」

すずが小さな声でリンくんに聞いてみる。すると。

「うん、このレンズじゃ豆にしか写らないからねーぇ。。。」

「あっ、そっか。。。そうだった。」

着けてるレンズが違うだけで、鳥さんを見るときのスタンスがこんなにも変わるんだね。

いつもなら、「撮ってやるぅー！！！」っていう圧がおのずと出てしまってるのかもしれないけれど、今日のすずとリンくんは違うよ。

「耳と目で楽しませてもらいますね。」くらいの気楽さだ。

肩のチカラをふぅーッと抜いて、周りの風景を見ながら歩く。
いつもの道が全然違って目に映るから不思議だ。

あれ、こんなに水面がキラキラしてたっけ？とか、あ、柵にも鳥さんの模様があったんだね？とか、改めて気がつくことが多い。

「あ！ハマシギの群れ！」

ボンヤリと遠くを眺めていたら、ハマシギさんの群れが干潟のなかで飛び回り始めた。鳥さんたちって、なんであんなに一斉に同じ動きができるんだろう？と不思議に思う。だれかリーダーがいて、そのリーダーの動きを真似しているんだろうか？不思議だねぇ！

しばらくの間、文字通り右往左往したのちに、干潟の外の船橋の海の方へ飛んでいってしまった。
あとから観察センターのレンジャーさんに聞いたところによると、このときハヤブサが出たんだって。それで逃げていったみたいだよ。

そうしてハマシギが出ていってしまったあと、また穏やかにキラキラと光る干潟を見ていたら、ヒョイ？とお隣にお客さんがやってきた。

「わ！ツグミん！」

そう、ツグミがすずのすぐ2m先、柵の上にちょこんと止まったのだった。

「こんにちわーに！」

すずがそう言うと、ツグミんは何食わぬ顔でバサバサっと干潟の中へ入り、飛んでいってしまった。

いつもだったらリンくんはすかさず望遠レンズをジャキーン！と構えるところなのだけれど、今日は違うよ。小さなレンズだから、なんとなくだけど、鳥さんにも圧をかけずに済んでいるようなそんなキモチがするの。だからこそ、あちらから近くにやってきてくれたんだよね。

ね？ツグミん？

バラ園の方へ歩いていくと、凄まじい声でギャーァギャーァギャーァと鳴きわめくオナガちゃんの集団に出会った。

今日はどアップでは撮れないけれど、その代わり、青い空に映える水色の羽根が美しいね。

さぁて、ぐるりと反時計回りに一周したあとは、いつもの観察センターで休憩。

センター内はあちらこちらにクリスマス飾りが設えてあって、すっかり年末の雰囲気だね。

すずのお昼ごはーん（2025.12.19 Fri）

帰りがけにオオバンちゃんの水飲み風景を見に立ち寄ったよ。

先日のオオタカさんハンティングのあと数週間、いよいよオオバンの群れたちも学習したらしく、観察センターの近くにはあまり近寄らなくなったんだって。その代わり、干潟の東端にある土管の近くにゾロゾロと行列をなして、そこで真水を飲んでいるらしい。
（オオタカさんハンティングのお話はコチラ → 「すずちゃんの野鳥にびっくりでSHOW — 第34回オオタカさんとオオバンさんとの距離」）