イーサン・ハンぞうのミッション – リンくんが入院した その8
じゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっ♪
ちゃららーちゃららーちゃららーららっ♪
おではイーサン・ハンぞう。
IMF唯一にして最強のライオンエージェントだぞ。
今日のミッションは、リンくんにペンを届けることだ。
ペンといってもただのペンじゃないぞ。ペンギンでもないし、おでんのはんぺんでもない。
フシギのペンだ!
おでらボブ家の絵がもちょっとまともに描けるようになるフシギフシギのペンをリンくんに届けるのだ!
だってー!
リンくんってばさー、超テキトーなんだもん。こないださ、せっかくおでらの絵を描いてくれたらしいんだけどさー、ボールペンでささっと描いてくれたのはいいけどさー。
「似てないぞ!」
「へたーっぴ!」
送られてきた画像見て、思わずニーちゃんと顔を見合わせちゃったよね。
だからおで、ケンイツエンチョーに提案してみたの。
「なーな、リンくんだんだん回復してきてベッドから起きてる時間もありそうだしさ、フシギのペン、届けよーぜ!タブレットでお絵かきしたら、おでらのこと、もちょっとはうまく描くんじゃね?」
「お?んだなー!それ、いいな。よし、じゃぁ、ボブぞ・・・おっと違った!イーサン・ハンぞう、ミッションお願いできるか?」
「おう!おで、やる。やり遂げてみせる!」
じゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっじゃっ♪ちゃららーちゃららーちゃららーららっ♪
ニチヨービの午後1時過ぎ。
面会時間開始早々、堂々と正面玄関入口から入館、受付を通過。
ミッションを邪魔する者は、どうやらいないように見える。おそらく、ルーサーが近くのトラックのなかから、超高速処理のラップトップを駆使してゲートを操作しているのだろう。
(あ、ちなみに我が家のルーサーは、ツキノワグマのもっつだ。風貌が似てるの。)
「いやしかし油断するな!おで、ちゃんと届けるまでは、サングラス外さないもん!」
ベンジーよろしくケンイツエンチョーは、おでをトートバッグのなかに忍ばせてエレベーターを上がっていく。
チーン。
リンくんの病室のある階でエレベーターが止まった。ホールに出るとすぐそこはナースセンターだ。
ここは立ち寄らないわけにはいかない。
( 「べンジー!クールにスマーイルね。」)
おでは小声でケンイツエンチョーに指示をする。
(「イーサン、おれはベン・・・エンチョーだぞ。そういうのは得意なんだ。」)
エンチョーはそういって首もとの蝶ネクタイのゆがみを直した。(ミッション・インポッシブルシリーズにありがちなパーティー潜入シーンをご想像くださいな。)
「こんにちはー!(満面のスマイル)」
よしっ!最終関門通過。
暗号や指紋認証、顔認証システムはないらしい。
あとはリンくんの病室まで一直線だぁ!
スタスタスタスタスタ!
スタコラスタコラ!
コン、コン、コン。
ベンジー・・・じゃなかったケンイツエンチョーが、扉をノックする。
3度だ。2度でも、4度でも、いけない。もし中にいるのがリンくんじゃなかったら、サイアク、おでは手榴弾を投げ込まなければならぬからキンチョーする。
「はーい!どぞー。」
あ。リンくんの声だ。いつものリンくんの声がする。
「ボブぞー!あいや、イーサン・ハンぞう!来てくれたー!」
「わーん!リンぐーんっ!おで、来たよ来たよ!イーサン・ハンぞう登場だよー!」
「アハッ!普通に来たねぇ。窓の外からガラス割って来たり、天井の通気口から入って来るのかと期待しちゃったよ。」
「いいのーいいのー。ベンジーのナイススマイルで通過できちゃった。ね、エンチョ?でへっ!」
エンチョーはニコッと笑ったあと、真剣な眼差しで、例のブツを、とおでに指示をした。
おで、到着してすっかり安心したところで、リンくんに、大事なペンを渡した。
「リンくん、フシギのペン、持ってきてやった!コレでもちょっとちゃんとおでらのこと描けるだろ?いーな!」
見た目にはただの白いペン。リンくんが使ってた白い軸のBicのボールペンと並べても、さほど違和感はない。
でも、コレはいまのおでにできる、リンくんへのちょっとしたプレゼントなのだ。
「わーい!このペンがあればタブレットでお絵かきできるね。アリガトぉ!楽しみ。」
「いーか!もちょっとうまく描いてくれよ!ホンモノだぞ。ニセモノのペンじゃないからな!」
「いやーそれはどうかな・・・。ホンモノでもニセモノでも、描くのはわたしだからな・・・。でもさ、楽しんで描くね。」
うむ。それでいい。ヨシヨシ。
おではミッションを終え、サングラスを外して、今朝ベッドメイキングしたての、清潔なタオルケットの上にゴロンと横になった。
そのときだった。
コン、コン。
廊下から部屋をノックする音が聞こえた。
2度だ。ノックは3度じゃない。
2度は、まずい。でもおで、ミッション終えて、イーサン・ハンぞうからボブぞに戻っちゃった。ぬおー無防備!
どしよ、どしよ、どしよー!
焦っていたら、看護師のおねーさんがガラガラの上にでっかいラップトップ載せて入ってきた。ハッもしかして実は彼女がルーサーだったのかも・・・?
そんな想像を一気に駆け巡らせていたら、おではすっかり逃げ遅れていた。リンくんのベッドの上で、おなかを出してゴロゴロゴローンと甘えんぼしてるところをバッチリと見られてしまった。
「リンさーん、失礼しまーす。お昼の体温測らせてくださーい・・・って、アっ!」
チラッ!
目が合っちゃった!おねーさんと目が合っちゃったよー!
「あー!なんかかわいいコちゃんがいるー!ご面会中でしたら後ほど出直しますねぇー。失礼しましたぁ。」
「ありがとうございますー。カワイイでしょ?すみませーん。のちほどお願いします。」
リンくんは看護師さんと気軽に会話している様子だったけれど、おでは内心、ドッキドキだった。
わっ!おで、看護師さんに見られちゃったよー!恥ずかしーよー!
でへへっ!
「なーなーリンぐん。おで、もしかして最後の最後でミッション失敗?正体バレちゃったかな?おでがただのライオンじゃなくって、IMF…」
「アハッ!IMF唯一にして最強のライオンエージェントね。イーサン・ハンぞうでしょ。バレてないよ、バレてない。今は、ただの甘えんボブぞだもん、ね?カッコいいサングラス姿のイーサン・ハンぞうはバレてないよ。」
リンくんはそういって、おでのことをギュぅッっと抱きしめた。
ぐるじい・・・けど、おで、ちょっと誇らしいキモチになったぞ。
「んじゃ。イーサン・ハンぞう、ペンお届けミッション完了!ってことで!」ちゃらーっ♪
イーサン・ハンぞうのミッションは・・・続く?
ボブぞ
※リン画伯にザザッと描いてもらったぞ!おで、イーサン・ハンぞう!
「んもー、ちゃんと色とかも塗ってよ!」
「いやとりあえず、フシギのペンをペアリングして使えるかどうかのテストってことで。しばらくクリスタ(お絵かきソフトの名前ね)使ってなかったからすっかり忘れちゃったよ。」
コレ、ミッション・インポッシブルの1作目だな?
ジャン・レノがやってた役、ウサギのすずがロープ持ってくれてるけど、ずいぶんと弱々しいなぁ・・・アハッ!
※おでの大好きなイーサン・ハントが活躍するミッションインポッシブルシリーズについてはコチラをどーぞ!↓↓↓
「リンくんの外泊 – リンくんが入院した その1」https://bobingreen.com/2024/06/14/9441/
「入院患者の皆さまへのお願い?否、鰻とおれのたんじょうび – リンくんが入院した その2」https://bobingreen.com/2024/06/15/9456/
「すずフクコンビの急速充電ソング – リンくんが入院した その3」https://bobingreen.com/2024/06/16/9467/
「くまーなカフェの差し入れ – リンくんが入院した その4」https://bobingreen.com/2024/06/19/9495/
「もっつは一時失業中 – リンくんが入院した その5」https://bobingreen.com/2024/06/20/9515/
「夏至の梅雨入りとシャイなメイ – リンくんが入院した その6」https://bobingreen.com/2024/06/21/9532/
「6日間と10分とアワ – リンくんが入院した その7」https://bobingreen.com/2024/06/22/9544/