6日間と10分とアワ – リンくんが入院したその7

「聞いて。今日はわたしね、アワ飲むって決めてるのよ。」

「いいじゃーん！ボコちゃん、帰りに缶の小さいやつでも買ってもらったらいいね。」

「ウフフ。そうね。リンくんも早く飲めるといいわねぇ。」

「うーん。退院してもしばらくはノンアルでいいかなー。ノンアルワインはおいしいの売ってるしね。」

ライオンのボブこです。
昨日の梅雨入りから一転、晴れのドヨービ。ようやく週末がやってきた。
リンくんが入院してから2度目の週末ね。

実はね、我が家が暮らすみどりキャンプ場（団地の部屋のこと）は、今週のゲツヨービから今日まで、まるまる6日間、工事が入っていたの。半世紀以上経った貫禄ある団地ですもの、水回りは悲惨な状況に追い込まれていたらしくてね、下のおうちにまで漏水してしまう事態だったの。

賃貸で借りている我が家では、今回、オーナーさんの判断でお風呂の防水&リフォーム工事が入ったってわけ。

「ホントアナタ、ラッキーよね。わたしなんて1週間お風呂入れないのよ！」

「えー！アハッ！ボコちゃんは普段はお風呂入らないじゃん！フワフワの毛並みはブラッシングのたまものでしょ？」

「うん、わたしが言いたいのはそういうことじゃなくてねー・・・。」

そう。6日間まるまる、お風呂が使えなかったのだ。わたしたちライオンはいいわ。でも、この団地と同じくらいの歳を重ねたニンゲンのオッサンがどうなるか考えてみて！

ジーッ。
わたしの視線の先にはケンイツエンチョーがいる。

「え？オレのこと？ちゃんと洗面台でアタマ洗ってるし、カラダ拭きめっちゃしてるし。くさくないだろー？」

フフン。いいの、くさくてもくさくなくても。とにかく、お風呂のリフォームが終わった今日は、プチお祝いよ。ずっと家の中を業者のオジサンたちがうろうろしてるし、シンナーみたいなニオイはするしで、ホントにストレスだったんだから！

「エンチョー、帰りにアワ買ってちょーだいなー！」

「あいよ、ボコちゃん、りょーかいですよ。」

リンくんはというと、ビョーインのお風呂で毎日シャワーを浴びることができるらしいの。・・・といっても今回の症状は皮膚疾患だから、清潔に保つためにむしろ毎日のシャワーは必須でお医者さんの指示らしいけどね。

となると、ホント、タイミングが良かったというべきかなんというべきか。在宅では、療養のしようもなかったのかもしれないわね。
なんていう運の持ち主。

「さー。もう帰り支度よ。」

今日の滞在はたった10分。それでも、リンくんの顔を見られただけで、十分だった。

このビョーイン、面会時間のルールは、午後1時から4時までで、時間は20分間のみなのね。

それで、今日、我が家のリフォーム工事が全て終わって業者のおじさんたちが帰ったのが、もう3時だった。渋滞にハマってしまって、病室に着いたのが3時50分だったの。

いつものドヨービなら、昼から一杯飲み始める昼酒飲みのエンチョーだけれど、今日ばかりは弟のボブぞに止められてた。

「いやぁさ、昼めしのときに、プシュッと飲もうとしたらさ、みんなから大ブーイングだよ！午後2時半までに工事が終われば、お見舞い間に合うでしょー！って。」

後ろを振り返ると「そーだそーだ、それ言ったのおでだよ！」って感じで、ボブぞってば、エラソーな顔してふんぞり返ってる。

「我が家にはバスケ好きライオンはいないはずなのに、『あきらめたらそこで試合終了ですよ。』とかって、ボブぞが安西先生の真似するもんだから。。。なので待機してた！」

「そーだったのかぁ！ボブぞ、やっぱり優しいじゃん！アリガトねー。エンチョーに運転のためにお酒控えるように言ってくれたんだね。」

「うむっ。うむうむ。おで、偉いろー？」

そんなわけでね。
リンくんも今日はわたしたちがお見舞いに来るとは思ってなかったから、クスリが効いて横になっていて、寝ぼけ眼のままだった。

それはそれで、無理してない素の姿のなかから、ちゃんと回復してる様子を見て取れたから安心したよ。
あ、でも、そのテンションのまま、わたしたちにダイブしてハグしてきたのにはびっくりさせられたけど！

「リンくん、明日また来るわねー。んじゃぁねー！」

「ボブこさんはいつも軽やかだねぇ・・・爽やかさん。また明日ね。」

さ。
おうちに帰って、リフォームしたてのお風呂に（気分だけ）入って、アワ飲んでリラックスしーましょ。

そしてまた明日、気持ち新たにお見舞いにやってくるわ。
ダイジョブ。リンくんは良くなってるよ。

早く一緒にアワ、飲みましょうね。

アーワっ！アーワっ！♪

ボブこ