すずフクコンビの急速充電ソング – リンくんが入院した その3
「ほうら、リーンくーんっ!」
ドーン!
ピンク色の入院着をまとったリンくんのおなかの上に乗っかりにいく。
「フク、来てくれたぁー!あぁ、フクの重みを感じる。フクって白くてまぁるくて、ズシッと重みがあるよねぇ。」
リンくんの手の中に包まれて、ナデナデされて、いーい感じっ。
ぷくぷくぷくぷく!
まるまるフクフクまぁるまる!♪
リンくん元気になあーあぁれっ!♪
アザラシのフクこと鰒太郎です。
(アッ、ウサギさんかぶってきたんだった、まっいっかぁ。)
今日はニチヨービ。
リンくんの入院は、4日目に入ったよ。ケンイツエンチョーにお願いして、今日もオハナ(家族、ぬいともいう)みんなで、お見舞いに連れてきてもらったよ。
(前回 その2はコチラ → 「入院患者の皆さまへのお願い?否、鰻とおれのたんじょうび – リンくんが入院した その2」)
(前々回 その1はコチラ → 「リンくんの外泊 – リンくんが入院した その1」)
あのね、あのね。
フク、リンくんのおなかの上に乗って、おうたを歌って、それから充電してあげるんだ。
そう、フクのシアワセパワーを分けてあげるの。
まぁちょっとした、おまじないみたいなものかもしれないけれどさ。
パタパタパタパタ!
「ねーねーフクゥ、すずも!すずもー!」
アッ!ウサギのすずちゃんもやってきたよ!
ふふふ!
「すずも一緒にそのおうた歌っていーい?」
すずフク仲良しコンビ、ふたりで、リンくんへのダブル充電、開始だよっ!
まるまるフクフクまぁるまる!♪
リンくん元気になあーあぁれっ!♪
パタパタ真っ赤な羽根のばし♪
リンくん元気になあーあぁれっ!♪
イェーイェーイェーーーイっ!
すずフク合作の急速充電ソング完成だねっ!
ホントはさ、ずぅっとずぅっと何番までも飽きるまで歌詞をかえて、このまま歌って遊んでいたいけれど。
・・・だってだって!面会時間、たった20分しかないんだもーん。
「すずフク、ふたりとも、素晴らしい歌声をありがとうね。さすがは我が家のゲージュツ学部!だいすきだよ。アリガト。ギュッ!」
ひゃあっ!リンくん急に起き上がって抱っこしてきたよ。
「うん、どういたしましてっ!」
リンくん元気になあーあぁれっ!♪
ぷくぷくぷくぷく!
パタパタパタパタ!
ギュッギュッ!
ささ。すずフク史上最強そして最短の急速充電ソングができあがったところで、今日もおいとまの時間になっちゃった。
「みんな、次来られるの来週のニチヨービだからなぁ。」
「ちょっと先だね。うん、わたし頑張るから、みんなはおうちで仲良く遊んでてね。連絡するから。」
「うんっ!リンくん、もうちょっとだよ。よくなってるよ。頑張ってるよ。」
「アリガト。」
ギュウと全員でお別れのハグをした。
なぁんだ、ケンイツエンチョーもちゃっかり入ってきたよ。ふふ。
スゴイよ、昨日はまだ腫れが残ってた左の目も、今日はもうおっきく開いてた。両のまぶたとも、腫れはひいたみたいだね。
フクたちが帰るタイミングで、今日はリンくんも一緒に、階下にあるコンビニまで降りた。
歩幅がひどく小さく、カラカラと音を立てて点滴棒を押す。その速度は、つい数日前まで1万歩なんて平気で歩いてでっかいカメラ構えてた人とは思えぬ足取りだった。
お茶のペットボトルを2本、約1kgちょっとを点滴棒の金具に引っかけると、ズルズルと再度エレベーターに乗り込む。自分の病棟の階まで戻るリンくんを、今日はフクたちみんなで見送ったのだった。
じゃあねー!じゃあねー!
リンくんはちゃんとうそのない笑顔だ。
もうちょっとだよ。よくなってるよ。頑張ってるよ。リンくん。
ココロの中でそう唱えた。
来週の再会のときまでに、またパワーを貯めておかなくちゃね。
フク(鰒太郎)
https://bobingreen.com/2024/06/14/9441/